「柔道技では“肩車”が巌流島で生きると思います」 柔道界のフィジカルエリート・吉田善行インタビュー
講道学舎→世田谷学園と、柔道界のエリートコースをまっしぐらに歩んできた元UFCファイター吉田善行。今回の「ニッポンの底力」という意味では、この巌流島ルールで小見川同様、ものすごく可能性を秘めた柔道家だ。そんな吉田選手に初参戦の意気込みを聞いてみた。
打撃で勝負しようかという気持ちもあります
————巌流島には初参戦となりますが、対策は考えていますか?
吉田 普段から柔道や柔術の道着を着て練習をしていますので、特に何かを変えるわけではなく、いつもどおりやっています。
————対戦相手はムエタイ王者のクンタップ選手です。ムエタイの印象というのは?
吉田 相手の打撃に気をつけて、いかに組んで投げるかですね。打撃で勝負してもいいかな、という気持ちもあるんですけど。
————おお、ムエタイ王者相手に打撃勝負。吉田選手は柔道出身ながら打撃が得意な印象があります。
吉田 やはり最初は打撃から始まるわけで、そこは避けて通れないので、打撃でもガンガンいきますよ。
————柔道技ではどんな攻めを狙っていきたいですか?
吉田 肩車が有効かなと思ってます。担いで、そのまま場外に投げられるんじゃないかなと。まぁ、でも組みさえすれば、どこからでも投げられます。あと肩車だと見栄えがいいので、お客さんが喜ぶと思って。
————柔道家にとって、場外があるのは大きいですか?
吉田 場外といいますか、やはり道着があるのが大きいですよね。袖はないとはいえ、道着を着ていて掴めるというのは、柔道家にとって非常に大きいです。
————見栄えのよい技で喜ばせたいとのことですが、吉田選手はエンターテイメント性も意識されるんですね?
吉田 総合格闘技では意識していなかったんですけど、巌流島では“魅せる”ことも大切だなって思っています。
————その意識の変化はどこで起きたんでしょうか?
吉田 巌流島を動画で見させていただいて、武道エンターテインメントとして魅せることを考えて演出されているのを感じて、僕のほうも意識の変化がありました。もちろん勝つことが大前提で、そのうえで同時に魅せることも意識したいということですけど。
————改めて、今回、巌流島への参戦を決めた理由は?
吉田 新たなモチベーションがほしかったというか、新しいことに挑戦したかったのが動機です。
————巌流島は異種格闘技の舞台ですが、ご自身の柔道のルーツは大切にされていますか?
吉田 はい。柔道は4歳の頃からやっていて、体に染みついているものですから。総合格闘技でもとっさに柔道の技が出ることは多いですし。柔道を活かして闘うのが僕のスタイルです。
————今回のクンタップ選手との試合は75kg契約ですが、吉田選手は実は無差別級にもめっぽう強いと聞きました。
吉田 そうですね。柔道の団体戦は無差別級でやるんですけど、高校生の頃は70kgないくらいの体重で、140kgの相手と試合していました。それが普通のことでしたので、自然に受け入れてやっていましたね。ただ、小見川にしても、菊野君にしても、巌流島のルールで無差別級でやるのはすごいことですよ。打撃がありますし、普通はすごく怖いことです。しかも相手は弱いやつじゃなくて、実績のある格闘家ですしね。
————吉田選手も巌流島での無差別級には興味がある?
吉田 僕も無差別級には興味がありますけど、それを実際にやるあいつらはすごいなぁって思いますよ。どういう試合になるんですかねぇ。
————今回、吉田選手のほかに、小見川選手、シュレック関根選手、鈴木選手と、40代の方々が多く参戦されていて、日本人の「底力」という大会テーマもあります。吉田選手が今改めて、新たな挑戦をする理由というのは?
吉田 う〜ん。もう少しで43歳になるんですけど、でも、まだやれるっていう気持ちがあるんですよね。周りからはこの年齢で「まだやってるのか」と思われるんでしょうけど、そういうイメージを覆したいですね。
————まだできる?
吉田 はい、まだできますね。
————あるいは、吉田選手にとっては闘い続けることが習慣になっているのでしょうか?
吉田 ああ、それはあるかもしれないですね。小さい頃からずっと柔道をやっていますし、闘うことが当たり前という感覚はありますね。
————それは死ぬまで修行を続ける武道家の感覚なんでしょうか?
吉田 そうかもしれないですね。
————これまで現役引退を考えたことはないですか?
吉田 一度もないですねぇ。
————何歳くらいまで現役を続けたいというイメージは?
吉田 いつまでかは決めてないですけど、50歳になってもまだ現役で闘っていたいですね。
————それはもう巌流島の“達人枠”じゃないですか(笑)。
吉田 そこまでできたらいいですねぇ。いずれは達人として巌流島に出たいです(笑)。
————ぜひ、お願いします! まずは巌流島デビュー戦、がんばってください!
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