一流の柔道家・小見川道大は、道着を着て巌流島でどう闘うのか？
10・21全アジア武術選手権大会で一番の注目は、柔道家の小見川道大だろう。道着を着て闘う巌流島で、一流の柔道家はどう闘うのか？ それがすなわち、巌流島ならではの新しい闘いの攻防につながるかもしれない。まさに、小見川自身、そんなテーマで巌流島に参戦してくる。これは楽しみな存在だ！
————巌流島参戦が決まりました。今、どんなお気持ちですか？
小見川 僕は6歳から柔道をやっているんですけど、今、巌流島に出会って、映像を見たときに「これは俺のためにある大会だ」と直感したんです。それで参戦を決めました。すごく面白そうだなぁというのが第一印象。アジアの各地から、色んな武術の選手が集まっているトーナメントなのでワクワクしています。
————巌流島のどのあたりが面白そうだと感じましたか？
小見川 舞台にロープもないし、ケージもない。そして場外への押し出しがあるという独特の世界ですよね。そこで武術の一番を競い合うという発想がすごく面白い。あと道着を着ているのが、柔道家にとっては魅力です。道着を利用して、色んな闘いができるので。それに加えて、僕は打撃もできますからね。打撃といいますか、自分は“当て身”という言い方をしてるんですけども。巌流島では柔道に当て身を加えた“ネオ柔道”をお見せできると思っています。
————ネオ柔道というと？
小見川 “ネオ”という言葉は「新しい」と「復活」を意味しているんです。柔道が誕生する前は古流柔術があって、その時代には技術として当て身が存在していた。柔道の技があって、当て身も使う。本来の柔道を復活させて、現代において新しい闘いを見せていくのが、自分にとってのネオ柔道なんです。
————そもそも小見川選手が柔道から総合格闘技に転向したきっかけを教えてください。
小見川 柔道をやっている頃から総合格闘技には興味がありました。その後、アテネオリンピックの選考会で漏れたときに、格闘技をやりたいなと思ったんです。
————アテネの選考会では内柴正人選手（アテネ五輪・柔道金メダリスト）に負けてしまったんですよね？
小見川 そうです。
————オリンピック柔道3連覇の野村忠宏にも勝っている小見川選手ですが、内柴選手がいたのでなかなか一番にはなれなかった？
小見川 次のオリンピック代表は自分だと言われていたのですが、選考会で下の階級から上げてきた内柴選手に負けてしまって。やっぱりオリンピックには出たかったですけどね。でも、オリンピックをあきらめてるわけじゃない。今は道場の子どもたちに夢を託して指導しています。
————その後、PRIDEでデビューしたわけですね。
小見川 吉田秀彦先輩や同学年の桜井“マッハ”速人が活躍しているのを見て刺激になっていたので、やってみようと思って。
————最初は総合格闘技ルールに戸惑ってましたよね？ しかも、いきなり強い相手ばかり当てられていた印象があります。
小見川 いきなりチャンピオンクラスばかりでした（笑）。でも最初は柔道と総合格闘技では勝手が違うと感じましたね。MMAファイターになろうとして、負けが続いたときに、自分は何をやっているんだろう？と思ったんです。自分は柔道家だから、柔道をやらなきゃだめだと気付いてから勝てるようになりました。
————柔道をやらなきゃダメだ！ なるほど、柔道の得意技はなんですか？
小見川 巴投げです。
————巴投げ！
小見川 寝技が得意なので、巴投げで相手を崩してから、寝技で仕留めるのが得意のパターンです。総合格闘技で道着がないのに巴投げをやったら、失敗して自分が下のポジションになってしまいましたけど（笑）。
————巌流島は場外があるので巴投げはとても有効ですよ。相撲取りが巴投げで場外に飛ばされる場面とかあったりするので。これまで経験したことのない闘いに挑む不安はないですか？
小見川 こればっかりは、やってみないことにはわからないですよね。僕としては、あくまでいかに柔道を活かして闘うかだと思ってます。
————柔道技を活かすとなると、やはり投げでしょうか？
小見川 いかに道着をうまく利用するかということですよね。
————道着を持って殴ることもできますよね。柔道家に道着を掴まれたら動けないと思うんです。
小見川 まぁ、色んな闘い方を考えてますよ。それに道着は持つだけのものじゃないですから。持って、そこからどう崩すかが柔道。それをやったら、柔道をやっていない選手は立っていられないですよ。立っていられないということは頭を下げる。頭を下げるということはヒザが伸びる。ヒザを伸ばすのがいやであれば、頭が上がる。そうやって相手の体を操って、こちらの技を仕掛けるんです。崩してから技をかけるから効くんですよ。
————それは楽しみだなぁ。柔道の闘いというと、グレイシーの引き込みみたいなイメージがあるんですけど、本来の柔道の闘いはそうじゃないと思うんです。一流の柔道家が本気を出したら、相手は立っていられない。そういう柔道家の怖さが見たいです。
小見川 僕としても柔道家の凄さを見せられればと思っています。
決勝で菊野克紀を倒すのがモチベーション
————1回戦の相手は散打の選手ですが、どんな印象を持っていますか？
小見川 動画を見せてもらったんですけど、足技のうまい選手ですよね。僕は道着を利用して闘いたいので、いかに接近戦に持ち込むか。
————今回は8人のトーナメント制になり、最大一日3試合やることになります。
小見川 それは僕にとって有利ですね。トーナメントは柔道時代からやっていて得意なので。その日に一番が決まるっていうのがいいですよね。もちろん柔道とはルールが違いますけど。でも僕は柔道をやりますよ。それしか考えてないです。
————柔道家として他に気になる選手はいますか？
小見川 色んなジャンルから選手が集まっていて、どれも興味深いですよね。カンフートーアってなんですか？
————謎のイラン式カンフーということです。映像を送りましょうか？
小見川 いや、別にいいです（笑）。
————ハハハハハハハ。
小見川 でもイランの人達ってめちゃくちゃ強いですからね。身体能力が高いし、柔道でもイラン勢は強いんですよ。誰が勝ち上がってきても油断はできないです。
————菊野克紀選手とは面識はありますか？
小見川 はい、一緒に練習したこともあります。
————お互い勝ち進んだら、決勝で対戦することになります。
小見川 それが今回、僕が巌流島に出るモチベーションのひとつになっています。ぜひ菊野克紀と闘ってみたいです。柔道家として、空手家の菊野克紀を倒したい。そして柔道が一番だと証明したいですね。
————シビれます。ぜひ、決勝で空手vs柔道の異種格闘技戦を見せてください！
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『全アジア武術選手権大会 2016 in TOKYO』チケット情報
