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青木真也選手から聞いた巌流島とMMAの違い。その最大のポイントは「闘技場」!

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お題………5・6巌流島・舞浜大会、ここに注目!

 

文◎谷川貞治(巌流島イベントプロデューサー)

文◎谷川貞治(巌流島イベントプロデューサー)

 

2月某日、青木真也選手と昼メシを食べました。

選手とのこうしたミーティングはデリケートな話が多いので、僕はなるべく公にしない主義ですが、本人がツイッターで呟いて、ちょっとした話題になっていたので、その時の話をします。

そもそも僕はFEG時代、DREAMの主催者だったので、青木選手を使っていた立場ですが、DREAMは旧PRIDEチームに丸投げだったので、僕のプロデュース・イベントだとは一度も思ったことがない。そのため、青木選手とも挨拶は交わすものの、一度もまともに会話したことさえありませんでした。

もちろん、奇妙なキャラクターなので、興味深く見ていました。そして何よりも強い。特に柔術の技術は、これまで見た日本人選手の中ではピカイチ。僕はグレイシー柔術の考え方、技術が好きですが、青木選手については初めてグレイシーっぽい日本人が出てきたなという印象で見ていました。それでいて顔は童顔だし、顔に似合わず声はしゃがれているし、性格は奇妙だし………… まぁ、僕の苦手なタイプかなと思って距離を置いて見ていたという感じです。だいたい、僕の周りは青木選手と同じAB型の人間が多く、石井館長、ボブ・ザップ、角田信朗、田村潔司、アントニオ猪木と、みんな苦労してきたんだよな~。

ちなみに、僕の中でDREAMの青木真也のベストバウトは、断然シャオリン戦です。ライト級トーナメントの数々や川尻戦、マッハ戦、自演乙との異種格闘技戦、指を立てて物議を醸した戦極との対抗戦などなど、DREAM時代はエースとしていろいろ記憶に残る試合をしている青木選手ですが、僕はなぜかこの試合が一番記憶に残っています。

試合前、一ファンとして「柔術皇帝」のシャオリンと青木選手の寝技対決は、すごくワクワクしていました。ところが試合が始まったら、青木選手は全く寝技に行かず、行こうともせず、立ち技でミドルをパンパン打ちながらポイントを稼ぐ戦法。いつクライマックスの寝技の応酬になるのかと思いきや、そのまま試合が終わってしまい、青木選手の判定勝ち。全く肩透かしというか、こんな期待はずれの試合を見たのは初めてと言っていいほどでした。でも、それこそが青木真也の真骨頂という感じもあり、ますます「変わったヤツだなぁ」と感心もしたものです。あの試合の後ほど、青木選手に「なんであんな試合をしたの?」と、山ほど聞いてみたいことがあった試合はありません。寝技が強いのに、シャオリンとああいう試合をするグラップラーは、世界広しといえども青木真也だけでしょう。

さて、青木選手と昼メシを食ったということは、当然「巌流島」の試合の話もしています。しかし、正直言って寝技師の青木選手にとって、寝技15秒、関節技なしの巌流島ルールは、全くもって向いていません。「巌流島」は「公平な異種格闘技戦」がコンセプトですが、巌流島は柔術家にとっては最も公平でないルールです。しかし、基本的には、寝技15秒、関節技なしの基本コンセプトを変えるつもりはありません。

では、なぜ青木選手なのか?  僕は青木選手にそんなハンデを背負わせて闘ってもらうつもりはありません。青木選手やグレイシーのようなタイプは、寝技制限をあえてつけない巌流島・決闘ルールにした方が面白いと思うのです。「公平な異種格闘技戦」の巌流島での異種格闘技ルール。通常は「実戦」を考えて寝技を制限していますが、その制限を一切なくして一対一の道場や野原でやるような決闘ルールにする。それが一番面白いと思うのです。

もっと言えば、桜庭vsホイス戦のイメージですね。あの試合は15分無制限ラウンドでしたが、バーリ・トゥードのような制約の少ないルールでの無制限一本勝負。これが巌流島における青木選手やグレイシーが一番光るルールだと思うのです。それで、巌流島に出ている○○選手と闘ったら、どんなに面白いことでしょう。

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青木選手との会話ではそんな話もしました。青木選手がどう思ったか分かりませんが、試合の話とは別にこんな面白いことを言ってました。それはバーリ・トゥードルールだろうが、MMAルールだろうが、巌流島のリングでやれば強さの序列が変わるということです。強さの序列…… つまり、最強とか、強さの順番が変わる可能性が高いというのです。僕はその理由を聞いて、あらためて「なるほどなぁ」と感心しました。

そのポイントは「闘技場」にあります。

今のMMAは見ればわかるとおりに、相手を金網に押し付けたり、コーナーやロープに追い込むことが、戦術の基本となっています。打撃の打ち合いをしていても、タックルや立ち技の差し合いになっても、大抵の試合は一方が金網に押し付けられたり、コーナーやロープに押し付けられるシーンに必ずなる。つまり、その金網やコーナーでの攻防がうまい人間が勝つというのが、今のMMAにとって大切な要素になっているのです。これは押し付けた方がもちろん有利ですが、押し付けられた方も、金網を利用して体勢を立て直す技術だってもちろんあります。

ところが、巌流島には金網もなければ、ロープも、コーナーもない。つまり、MMAにとって、勝敗を左右する大切なその攻防がない。押せば、落っこちてしまう。寝技制限があるのが巌流島とMMAの最大の違いという人が多いですが、むしろ一番大きいのは闘技場だと青木選手は言うのです。つまり、巌流島でMMAと同じく寝技ありで試合をしたとしても、順位が変わってくる。UFCでやった試合も、巌流島の闘技場で再戦したら、勝敗が変わってくる可能性が大いにあり得るということなのです。

なるほど、話を聞いていて、巌流島でMMAと同じルールでやってみたらどうなるかという公開検証もしてみたくなりました。確かに、寝技でもリングの中央で極めるには、本当に前に前にお互いに出ていかないとなかなか極まりません。MMA競技のひとつの分かりにくさとして、「ドント・ムーブ」状態がありますが、それがないのが巌流島。今回、初出場のシュレック関根選手や吉田善行選手たちが記者会見で「MMAとは違う巌流島」という表現をしていましたが、やる側(選手)にしてみれば、我々が思っている以上に別モノなのです。そんなところを気にしながら、巌流島とMMAを比較して見ると、さらに格闘技に対して造詣が深くなるでしょう。

特に競技としてのMMAのスペシャリストはどう対応するのか?   やはり巌流島の最大の特徴は、あの「転落」にある。そういう目で、MMAファイターの戸惑いにも注目してください。

5・6巌流島の大会情報はコチラ⇒
『WAY OF THE SAMURAI 2017 in MAIHAMA』