GANRYUJIMA BLOG巌流島ブログ

武道エンターテインメントの可能性。「巌流島」とは過去の自分を乗り越え、自分を変える場なのかもしれない

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お題………5・6巌流島・舞浜大会、ここに注目!

文◎平直行(巌流島・審判長)

文◎平直行(巌流島・審判長)

 

次回の巌流島の対戦カードが発表になった。今回も新しい選手が参加する。面子を見た瞬間に、谷川さんって持ってる人なんだなと再認識した。よくぞこの3人という面子が集ってきたものだ。3人とも大化けする可能性を秘めている。そしてキャラ的にも素晴らしい。吉田善行選手は実力者であり、そのわりに報われてこなかった選手という印象がある。吉田選手は実は良いキャラを隠しているような気がするのです。ちょうど最近話題の「1984年のUWF(文藝春秋)」に出てくる藤原組長の新日本プロレスでの地味な前座からの大ブレイクとかぶって見える。

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シュレック関根選手に関しては、僕は日本での総合格闘技デビュー戦を見ている。柔術の実力者だが、総合は白帯という印象だった。しかし、試合中の諦めない態度と基礎体力に可能性を感じた。その後、警察官を辞め、プロに専念するようになったという。何かの大きな意思を持っての巌流島参戦なのだろう。そもそも巌流島では寝技系は不利なのだ。そこにあえて飛び込んできた理由を僕は知りたいし、そこに期待感がある。

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鈴木信達選手は、ZSTで何回も試合を見ているし、レフェリーとして彼の試合を裁いたこともある。とにかく強い選手という印象がある。数多くの選手を見てきたが、輝く場を提供したらすぐに化ける可能性があるなという印象を持った数少ない選手。ZSTといえばかつてHERO’Sから大ブレイクを果たした所英男選手がいた団体。鈴木選手にはそれを越える可能性さえ感じる。

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新しい選手も巌流島の常連の選手も、自分を変えるために巌流島という場を選んだのかもしれない。僕の勝手な想像だが、結果的に巌流島でブレイクするには、過去の自分を越えて、前に進む大きな意思、自分を変える決意が必要なのかもしれない。菊野選手も小見川選手も、過去とは別人のような試合を行ないブレイクを果たした。もしかしたら、巌流島とは自分を変える場なのかもしれない。武道とはそもそもそう意味合いも持っている。谷川さんは何か持ってるなと感じる。たぶん本人はそんな意思は持っていない。ところが目を付ける場所がよい。何かが起きる場所を見つけるのにかけて、谷川さんは天才だと再確認させられている。

興行で光り輝ける選手というのは、常人を越えた大きな意思と決意を持って試合に臨む選手なんだと思う。自分を変えるという大きな決意と意思を持った選手の試合は観客を惹きつける。

この原稿を書きながらある出来事を思い出した。もうずっと前、アンディ(・フグ)が生きていた頃。チーム・アンディで毎日一緒に練習をしていた。全員でペアになって、サンドバックに難しいコンビネーションの練習をやったことがある。アンディの難しいコンビネーションは果てしなく難しい。サンドバックに前蹴りをする。前蹴りをした脚を降ろさないで、そのまま反対の脚でジャンプしながら後回し蹴りをする。そんなことは普通は出来ない。案の定、他のメンバーの顔つきが変わった。こんな技出来ない。こんな難しい技をやっても試合で使わないだろう? ケガしたらどうするんだ? そんな空気が漂うなか、みんなサンドバックに向かった。珍しくダラダラした感じになった。チーム・アンディでこんな雰囲気は珍しい。

振り返ると、あの日アンディはわざとみんなに難しくて出来ないことをやらせたのかもしれない。いつもの練習であんな難しい技をやったことはない。あの日、特別な何かを教えるために、難しいことをやらせたのかもしれない。アンディが亡くなる数ヶ月前のことだった。

練習の途中で珍しくアンディが怒った。珍しくというか、初めて怒った。本当は怒ったふりだったのかもしれない。アンディはとても優しく、みんなに気配りをしてくれていた。みんな集まれと言われて、そこに座れと指示された。小学生が先生に叱られるみたいだな、と僕は気楽に思った。周りにいるのは100キロを越えるヘビー級のK-1ファイターなのだが、雰囲気は叱られる小学生たちだった。アンディは真剣な顔つきで、全員に丁寧に話を聞かせてくれた。


「お前たちの仕事は一体何だ?」

「プロのファイターだろう?」

「プロの仕事って何だ?」


いつもと違うアンディの雰囲気に誰も答えられない。

振り返ると、あの日は何かいつもと違う一日だった。

大切なことを僕たちは教えてもらった。


「試合をすればプロなのか?」

「試合はプロじゃなくてもする。ではアマとプロの違いって何だ?」

「プロの試合でも色々あるだろう?」


「俺たちはチーム・アンディはSpecialなプロなんだ」
「そうなってほしい」


「同じことをやって特別な存在になるのがSpecialなプロだと思う」

「特別なことをやれば誰だって目立つ」

「それは見世物なんだ」


「同じことをやってるのに特別な存在になる」

「それが本当のプロさ」


「そのためには絶対に諦めない心を磨くんだ」

「それがチーム・アンディなんだ」


「練習で出来ないことをわざとやる」

「技が上手に出来るとか関係ないんだ」

「今日のテクニックをみんなが出来て試合で使える」


「そんな風に考えてやったんじゃない」

「出来ない時にどう考えて行動するのか?」

「それを教えたいんだ」


「普通の人なら諦めても文句は言わない」

「普通の人にこんなことはそもそもさせない」


「出来ないことに挑む。いつでもその心を持って過ごす」

「その積み重ねがプロを作るんだ」

「誰もが認める諦めない心を持ったファイターの集り」


「それがチーム・アンディなんだ」

「だからSpecialなプロのチームなんだ」


「本当のプロは試合をする前に観客を惹きつける」

「リングでゴングが鳴れば誰だってファイターを見る」

「それじゃ普通だろ」


「お金をもらうんだ」

「試合の前からワクワクさせなきゃいけない」


「バックステージからリングに向かう扉を開けて、観客の前に姿を見せたら」

「観客の期待を一心に集めて、“今日は何をするんだろう?”」

「そんな期待を持って見つめてもらう」


「試合の前から観客を惹きつけて離さない」

「これがSpecialなプロなんだ」


「そのためにはいつも絶対に諦めない心を持って練習する」

「絶対に諦めない心を作るのがチーム・アンディの練習なんだ」


「人は誰でも心を持っている」


「同じ心なのに、誰もが驚き尊敬出来る心」

「決して困難に負けない心」

「困難に逃げないで立ち向かう心」


「ただ試合で勝つための練習だけすればいいんじゃない」

「そんなのは誰でもやっている」

「誰もやらないことをいつもやるからSpecialなプロになれるんだ」


「それがプロの仕事なんだ。だからそういう心で練習する」


「始まる前から期待をしてもらって」

「試合の前から想像して楽しんでもらう。これがプロの仕事さ」

青い目のサムライと呼ばれたアンディの教えてくれたことが、武道エンターテインメントを謳う巌流島のブログを書きながら出てきた。もしかしたらアンディも興味を持って、空の上から見ているのかもしれない。アンディと谷川さんは仲良かったからな。「タニカワサーン」って声をかけてたりして。

谷川さん、“武道エンターテインメント”って言葉、実はすごく深い意味があり、重く、そして大きな可能性があるのかもしれませんよ。

5・6巌流島の大会情報はコチラ⇒
『WAY OF THE SAMURAI 2017 in MAIHAMA』