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過激すぎる! 喧嘩フットボール「カルチョ・ストーリコ」とは何か?

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ローマ帝国が生んだ地上最も過激な格闘球技の英雄 ミシェル・ベルギネリ、インタビュー

7・31巌流島・有明コロシアム大会に出場し、モンゴル相撲の中量級王者と闘う、イタリアの喧嘩フットボール「カルチョ・ストーリコ」のミシェル・ベルギネリ。そもそも喧嘩フットボールとは、どういうスポーツなのか? 本人に聞いてみた。

1(サムネ)

———– まず、喧嘩フットボールと呼ばれる「カルチョ・ストーリコ」とは、どんな競技なんですか?

ベルギネリ 正式な名称は「カルチョ・ストーリコ・フィオレンティノ」と呼ぶんだが、13世紀から14世紀にかけて、イタリアのフローレンスで生まれたものだ。現代のサッカーやラグビーの源流になっている、本当に伝統的な古式フットボールだ。競技は空気で膨れ上がった楕円形のボールを使い、相手の陣地に運べば得点が入る。しかし、その陣地に行くまでに攻撃と守備が接近戦で本当に殴り合い、蹴り合い、レスリングで投げ合う。各チーム27名で行うんだが、ルールなんてほとんどない決闘をしながら、ゲームを進めていくんだ。伝統的な衣装を着てね。ただし、27人もいるが殴り合いは1対1、1人の相手を集団で叩きのめすようなことはしない。不意打ちも男らしくないということで禁じられているんだよ。

———– そんな過激な球技が、どのような背景で生まれたんですかね?

ベルギネリ カルチョ・ストーリコはどんな手段を使ってでも、敵陣にボールを運ぶことが目的で生まれた競技だった。そうなると、ボールを支配するために、当然接近戦の格闘技の攻防になる。殴り合い、蹴り合い、MMAのようにテイクダウンを奪ってマウントになる。この戦いが兵士たちの間で大ウケし、ローマ帝国時代にはあらゆる地域に広まったんだよ。15世紀後半にはそんなカルチョ・ストーリコがフローレンスの若者たちの間で広まり、そこら中の広場でプレイされていた記録も残っている。メディチ家統治時代にルールが再編成され、フローレンスの若者が男として真の挑戦を行う場になった。チーム名には誇らしげに貴族や時の権力者の名前をつけて盛り上がったものなんだよ。今でいうスポンサーみたいなものだな。

———– 日本では全然知られていませんでした。これを格闘家同士でやったら、面白いだろうなぁ。カルチョ・ストーリコの精神的なバックボーンというのは何かあるんですか?

ベルギネリ カルチョ・ストーリコはまず、スポーツではない。近隣の地域との戦争だ。だから戦う理由は、とても通常のスポーツとか、格闘技の試合に挑む常識とは異なっている。地元への帰属意識は、それこそ血の掟のように固い兄弟愛で結ばれているんだ。だから、オレたちは生半可なスポーツを楽しむ感覚じゃない。隣町、隣の地域、隣の国との負けられない戦争、それこそ自分たちの土地や名誉や、すべてのものを失うような戦いに挑んでいく精神でやっているんだよ。

———– ローマ帝国の格闘球技かぁ。確かに戦争ですね。これもまたボールを使った実戦の場と言えます。

ベネギネリ もちろん、カルチョ・ストーリコでも人道的なルールはあるし、それには従う。そして、自分たちと同じような強い帰属意識を持って戦っている対戦相手にも、敬意を払っているよ。だからこそ、軽々しくギブアップすればいいというもんじゃない。全ての恐怖や痛みを乗り越えないとカルチョ・ストーリコは務まらないんだよ。

これはスポーツではない! 近隣同士の戦争だ!

———– 面白いなぁ。日本では、武士道という精神があります。ローマ帝国の精神っていうのは、どういうものなんですか?

ベルギネリ ローマ人としての起源が私を形成しているのは確かだ。私自身、まるで命がけで戦う剣闘士のように思っている。私の国、ローマは古代文明の発祥の地であり、古代ローマ人は世界を征服し、文明化し、建設してきた。ローマ人にこそ、最高の人間の片鱗があったんだと思う。その血が私の中にも流れている。それはすごく誇りに思ってるよ。

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———– あなたはいつからカルチョ・ストーリコを始めたんですか?

ベルギネリ 私は子供の頃から全てのスポーツが好きで、特に格闘技が好きだった。カルチョ・ストーリコを始めたのは、2006年から。自分がこの戦争の中で、どこまで戦えるかを証明するために始めたんだよ。

———– カルチョ・ストーリコのバックグラウンドは、巌流島で戦う上でどのように役立つと思いますか?

ベルギネリ カルチョ・ストーリコは私に大きな自信を与えてくれた。なぜなら、カルチョ・ストーリコは1試合の中で何人もの相手と戦わなければならないからだ。このカルチョ・ストーリコはキック、パンチ、グラップリングをミックスした接近戦の格闘技だが、そこには当然、従来の多種多用な格闘技のエッセンスが含まれている。しかも、素手で戦っているから、緊張感や恐怖心が違う。そればかりか、次から次へと新しい相手と戦うことになるので、その場の状況に応じて変化しなければならないし、相手の格闘技のバックボーンや力量を見極めながら対応しなければならない。そこはスポーツ格闘技をやっているより、はるかにいい経験になったし、自信になったよ。

———– カルチョ・ストーリコのどんなテクニックが有効でしょうか?

ベルギネリ カルチョ・ストーリコで得たものは頭脳だよ。どんな相手とも戦える頭脳。しかも、私の戦いのテクニックはバラエティーに富んでいる。ただし、私は試合前にあれこれ言うのは好きではない。試合で私の価値をお見せするよ。

———– 相手のモンゴル相撲の選手についてはどう思いますか?

ベルギネリ 先ほども言ったけど、私はどんな対戦相手にも敬意を表してきた。だから、過小評価していないし、油断はしていない。間違いなくいい試合になるだろう。しかし、いい試合をするために、日本に行くわけではない。私は勝つために、巌流島のリングに上がる。

———– 巌流島のルールで気をつける点はどんなところですか?

ベルギネリ おそらく相手は闘技場の外に私を追い出そうとするだろう。その点は正直、慣れていない。できるだけ試合中に早く対応できるように慣れたいと思っている。もちろん、相手の全てのテクニックに気をつけているのは変わりない。

———– 最後に巌流島に対する意気込みを!

ベルギネリ 巌流島は剣士の私にとって、絶好のチャンス。巌流島は一流のイベントだし、世界中の強豪が集まるので、自分の実力や精神力を確認できる最高の舞台だと言えるだろう。全てのエネルギーを出し切り、私を選んでくれた巌流島や日本のファンにお返しするような激しい試合をお見せするよ。

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■7.31巌流島・有明大会の対戦カード、チケット情報はこちら→ http://ganryujima.jp/?grjm_events=way-of-the-samurai-%e5%85%ac%e9%96%8b%e6%a4%9c%e8%a8%bc-final