世界初のバーチャルファイト、遂に全貌公開! 異次元空間と全試合・異種格闘技戦に選手たちも大興奮!【5.3巌流島】
ネット上の動画で突如予告された「巌流島VIRTUAL FIGHT」。一部の出場選手以外、その詳細は謎に包まれていたが、ついにその全貌が公開された。
今回の動画で公開されたのは全4試合。動画は各選手の紹介と試合、インターバル中には試合後のインタビューから各ラウンドを振り返る両選手及びセコンドのコメントも挿入されるという斬新な編集だ。
「巌流島VIRTUAL FIGHT」が最も特徴的なのは、試合中の映像だ。リアルの「巌流島」大会では会場内に闘技場が作られるが、「巌流島VIRTUAL FIGHT」で選手たちが戦うのは、異世界かどこかの遺跡の中を思わせる不気味な広間。
しかし、ただ背景が合成されているのではない。数ヵ所に設置され場内を照らす炎は常に揺らめいており、選手の動きに添ってカメラの視点が移動すると奥行きを感じさせる場内も変化する。まさに“そこ”で戦っているようにしか見えず、まるでファンタジー映画の中でリアルファイトが展開されるような体験だ。
1st Battle 「テコンドーの革命家」
そんななかで行われる第1試合は、江畑秀範vsクリスティアン・エスクリグ。
江畑はテコンドーの猛者。一昨年末の「INOKI BOM-BA-YE × 巌流島」ではカポエイラのマーカス・レロ・アウレリオに豪快に場外へと投げつけられる映像がバズってしまったが、その長身から繰り出す蹴りと、何より「テコンドーの技で倒したい」というこだわりは巌流島向き。
対するエスクリグは「スペインの怪力王」。140kgの巨体はパワー抜群。岩のような肉体から繰り出すパンチは破壊力十分で、体重差のある江畑は食らったらひとたまりもないことだろう。
だが、そんな対戦にも、江畑は「怖いけど、140kgをテコンドーで倒せたら面白い」と笑顔を見せる。両者は「キックボクシングルール/無差別/3分3R」で対戦。
1R、闘いを裁くヘルメス(レフェリー)・角田信朗に促されて拳を合わせる両者。ついに異世界、ヴァーチャル空間でのファイトが始まる。
開始早々からハイキックを繰り出す江畑に対し、エスクリグはぶちかましとしか形容しようのない突進を見せる。前に出るエスクリグに対し江畑は冷静に距離を取って蹴りを繰り出し、ミドルでダウンを奪う。唸りながら立ち上がったエスクリグは再びパンチから突進していくと、徐々に距離を掴んできたか、終盤にはパンチ連打を見せる。
今回公開された「巌流島VIRTUAL FIGHT」の映像には、実況・解説は加えられていない。異世界の試合場には観客の姿も確認できず、試合中に聞こえてくるのは両者の動きの中で発生する音と、セコンドの声のみ。特に両者の打撃音が迫力を持って響いてくるのも、注目ポイントだ。
「(バックキックの)カカトが入ったが、立ってきた。予想以上に根性があるなと思った」という江畑の回想コメントを挟んで、2Rへ。このラウンドもハイ、ローなど蹴りを繰り出す江畑にエスクリグが突進するという構図は変わらないが、エスクリグは角度を変えて肩から入るなど、工夫を見せる。この短時間で闘いのリズムを掴んできたと見えて、右フックで江畑に尻餅をつかせ、ダウンを取り返す。さらに試合を決めようと前進し左フックを決めるが、江畑もカウンターで左フックを入れ、右目をカット。激しい流血にドクターチェックが入ると試合はストップされ、江畑のTKO勝利が宣告された。
エスクリグは「切れたことに気付かなかった」と言うが、140kgを止めた江畑の打撃の破壊力を改めて認識させた一戦だった。
2nd Battle「無敵のダークヒロイン」
第2試合に登場したのはキックボクシング無敗のぱんちゃん璃奈。インタビューでは、バイトを転々とする中でキックボクシングと出会いハマったこと、詐欺事件で逮捕されるも、周囲の協力で復帰できたことなどが語られる。格闘家にとって、格闘技は人生そのもの。つまずいても、闘う意志さえあれば再起することができる。そして何もかもを呑み込む「巌流島」の闘いの場は、どんなファイターにも開かれているのだ。
初めての「巌流島」、しかも「巌流島VIRTUAL FIGHT」の場に足を踏み入れたぱんちゃんを待っていたのは、アルゼンチンで12勝2分けと、やはり無敗を誇るルシア・アプデルガリム。母国ではぱんちゃんよりも上の階級で闘っており、本人もセコンドも「今までで一番強い相手」と警戒する。この試合は「キックボクシング・ルール/49.5kg契約/3分3R」で行われる。
1R、ルシアは前に出て圧をかけ、右を伸ばしてくる。ぱんちゃんはワンツー、得意の前蹴りで対応。最近の試合では顔面へのパンチに成長を見せているぱんちゃんは、打撃の応酬にも一歩も引かない姿勢を見せる。中盤にはルシアのボディ、ぱんちゃんのワンツーが決まる場面も。ぱんちゃんは「一番パンチが重かった。気持ちも強い」、ルシアは「強いことは分かったが、メンタルのトレーニングをしてきたので怖くなかった」とコメント。
2R、ルシアはパンチのターゲットを顔面に切り替えてきた様子。右をヒットさせてぱんちゃんの鼻血を引き出すと、ドクターチェックが入る。この時、左で右目も負傷させていたようだ。これは再開されたが、その後もルシアはパンチを連続でヒット。ルシアが押す場面が増えてくる。
3Rに入ると組み合う場面が増える中、ぱんちゃんはルシアのボディ、顔面にヒザを入れていく。逆転にかけるぱんちゃんは前蹴り、ミドル、ワンツーと攻めるが、ルシアも引くことなくワンツーから右をヒット。終盤には打ち合いも見られ、両者ヒートアップした中でゴング。判定は2者が30-29でルシアに軍配。
ぱんちゃんにとっては、プロデビュー以後で初の黒星。「どうしてもいいから勝ちたかった」と涙を見せるも、最後まで攻撃を返していった自分に「頑張ったな」と自己評価も見せた。
3rd Battle「恐れを知らぬ元ラウェイ王者」
予定されていた選手の欠場に、谷川貞治プロデューサーが白羽の矢を立てたのは、バンテージのみ・頭突きありで闘うミャンマーの国技「ラウェイ」で「バーサーカー(狂戦士)」と恐れられる渡慶次幸平。直前のオファーにも二つ返事で出場を快諾した渡慶次を、谷川Pは「男の中の男」と評した。
渡慶次の対戦相手はミケーレ・ベルギネリ。イタリアの「喧嘩サッカー」の選手で、「巌流島」への参戦でもそのダンディーな見た目とは裏腹にド根性の殴り合いを見せている。ラウェイvs喧嘩フットボールの激突、これも「巌流島」の醍醐味だ。ミケーレは「渡慶次とは噛み合うと思う。楽しみ」、渡慶次は「三日月蹴りが刺されば倒せるはず」と意気込む。この試合は「巌流島ルール/無差別/3分3R」で行われる。
1R、探り合いの中から先にパンチで出たのはミケーレだが、渡慶次も予告通り三日月蹴りで前進。ミケーレはパンチからテイクダウンに成功すると、立った状態からパウンドを打つが、渡慶次はミケーレの足を取って寝かせることに成功。しかしミケーレは立ち上がってブレイク。終盤には渡慶次の右フックでミケーレがダウンし、渡慶次はパウンドで追撃を図るが、ここはゴングに救われる。
この攻勢を受け、渡慶次は2R開始早々から前に出る。ミケーレは下がらされながらもパンチを出していくが、やや疲れも見える。それでも渡慶次の蹴りにタックルを合わせたミケーレはテイクダウンに成功。だが攻め込むことはできずブレイク。スタンドに戻ると渡慶次は三日月、ロー、パンチで前進。ミケーレはパンチを出すも後退を余儀なくされる。
3Rに入り渡慶次がインローやヒザ蹴りで攻めていくと、場内には打撃音だけでなくミケーレの荒い息づかいが響く。明らかに疲れが見えるミケーレに、渡慶次は三日月を連発。ミケーレも最後までハイキックを繰り出すなど諦めない姿を見せるが、渡慶次はボディ、三日月、ミドル、ローと攻勢。終盤には渡慶次の左フックでミケーレがダウン、渡慶次は上を取るがブレイク。判定はジャッジ3者とも30-27で渡慶次を支持。急な出場にもかかわらず完勝した渡慶次は自らひざまずいて礼。
4th Battle「キックボクシングの破壊王」
最終試合に登場したのは、木村“フィリップ”ミノル。K-1時代はKOの山を築く大活躍を見せ、一昨年末の「INOKI BOM-BA-YE × 巌流島」では矢地祐介にもKO勝利したが、その後、RIZIN参戦時にドーピング違反が発覚。矢地戦の結果もノーコンテストに変更された。
謝罪会見とともにブアカーオとの「みそぎマッチ」も行った木村が再びの「巌流島」で相まみえるのは、セネガル相撲の強豪アマドゥ・ディア。100kgのディアとは20kg以上の体重差があるが臆する様子のない木村、果たして復活の豪腕KOを見せるか? この試合は「ボクシングルール/無差別/3分3R」で行われる。
1R、前傾姿勢でジャブを出して様子をうかがうディアに対し、木村は前に出て左ボディ、右フックを見舞う。ディアも左右のパンチを出していくが、前進したところに木村はカウンターの左フック! これでディアはダウン。
立ち上がったディアだが、木村は左で再びダウンを奪うと、ディアは足に来ており立ち上がれず。わずか63秒でのKO劇となった。試合後の木村は「100kgのヤツをぶっ倒したことないので、興奮した」と笑顔を見せた。
ヴァーチャル世界の闘技場の中で、いずれ劣らぬ激闘を繰り広げた8人の戦士たち。かつて見たことのない闘い模様は、これからさらに展開する「巌流島VIRTUAL FIGHT」の可能性の一端を見せたに過ぎない。まずは今回の4試合でその魅力を体感し、ここから無限に広がる世界に思いを馳せよ!
試合レポート◎高崎圭三
巌流島YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/@user-fo6cr6xf7k
配信日:2024年5月3日(金) 21:00スタート
試合:巌流島ルール他のスーパーファイト4試合
イベント概要
大会名 巌流島バーチャルファイト
日時 2024年5月3日 21:00配信
会場 東京都内某所(一般観覧はありません)
主催 巌流島実行委員会/株式会社K-LEAGUE
出場選手 ぱんちゃん璃奈(キックボクシング)/ルシア・アプデルガリム(テコンドー)/ミケーレ・ベルギネリ(喧嘩サッカー)/アマドゥ・ディア(セネガル相撲)/クリスティアン・エスクリグ(怪力王)/江畑秀範(テコンドー)/渡慶次幸平(ミャンマーラウェイ)/木村”フィリップ”ミノル(キックボクシング)
試合形式 巌流島ルール等によるスーパーファイト4試合
放送 巌流島公式YouTubeチャンネルにて全世界に無料配信