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5月11日。巌流島で本物の酔拳の戦いが見られるワケとは?

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文◎山田英司(ブドーステーション主宰)

文◎山田英司(ブドーステーション主宰)

全くのシロートだった酔拳野郎

5月11日の巌流島第1試合に、ブドーステーションから酔拳野郎、今野淳選手が出場。

2年前、瀬戸信介先生にあこがれ、ブドーステーションに訪ねてきました。

瀬戸先生のカマキリ拳法の本で相手役をやってくれていますが、2年前から「酔拳で巌流島に出たい」と明言していたのです。

しかし、カマキリ拳法の本を見てもらえばわかりますが、今野選手はワンツーを出して下さい、と言うと左右の手を一緒に出してしまうレベル。ちょっと相手役としても役不足でした。

私は「プロの出る大会の前に、アマの大会で実績を積むべき」と今野選手に諭し、さらに酔拳は戦い方が難しいので、蟷螂拳とか通臂とか翻子拳などのがリアリティがあるのではないか、とも言いました。

要するに、今野選手の「酔拳で巌流島で戦いたい」と言う思いを一笑に付したわけです。

今野選手はいつもブドーステーションに来てるわけではないので、その後の様子は瀬戸先生を通じて時々聞いていました。

センチャイジムでムエタイを学んでいる。アマの大会に時々出て、ワンツーしか習ってないのにKO勝ちした、などの情報でした。

なるほど、映像を見ると良いガッツをしている。とくにワンツーを習ったらそれを一生懸命やる。試合ではその技だけで相手を倒す。

気がつくと4戦4勝。
アマチュアの実績を作れ、という私の注文もいつの間にかクリアしていました。

カマキリ拳法の瀬戸先生を師に、酔拳で挑む今野選手。

カマキリ拳法の瀬戸先生を師に、酔拳で挑む今野選手。

巌流島で酔拳で戦いたい!

そんな時に谷川プロデューサーから瀬戸先生に巌流島出場のオファー。
瀬戸先生は既に武術に打ち込む路線なので、もう格闘技に出るつもりはない。
そこで「酔拳野郎はどうですか?」と瀬戸先生が今野選手を推薦すると谷川プロデューサーが一発OK。
巌流島が急遽大会を開くため、おそらく選手の集まりが悪かったのでしょう。
でなければいかに酔拳でもプロの実績もない今野選手がそうそう本戦に出場できるものではありません。
しかし、トントン拍子で、今野選手の「酔拳で巌流島で戦う」という夢が本当に実現してしまったのです。
これには私が驚きました。
2年前、私はそんな夢はムリ!と切り捨ててましたが、本人だけは巌流島が無くなるのではないか、いつ大会があるかわからない、などの否定的な声にも左右されず、じっと自分の実力アップに努めていたのです。
「夢を追い続け努力をしていればいつかは夢が叶う」
今どき、こんな事を言うと、何となく気恥ずかしい気がしますが、私達が若い頃はこの言葉を無条件で信じてきたような気がします。
最近はこういった言葉もあまり聞かなくなったせいか、今回の今野選手の件にはちょっと感動してしまいました。

酔拳で戦うのは巌流島ではムリ?

しかし、私が「酔拳は巌流島でムリ!」と言ったのも、全く根拠がなかったわけではありません。
むしろ、根拠がありすぎる。
詳しく書いたら本一冊分以上になります(実際私はそのテーマの本を2、3冊出してますが)。
巌流島で勝ちたかったら、自分の武術の長所が、巌流島ルールのどこにリンクするか、を明らかにし、かつそれを試合に出せるような訓練をしなければ出場すべきではない、と考えています。
実際、今回、今野選手の相手に、拳功房の生徒がオファーされましたが、私は断っています。
今野選手に関しても、酔拳の戦闘の理を活かすにはまだムリなので断るべきではないか、と私は主張しました。
しかし、瀬戸先生は本人の強い希望があるので出してあげたい。そして見事酔拳で戦わせ、勝たせたい、というのです。
そこまで言われたら協力しないわけにはいきません。

酔拳とジークンドーの非公開試合

ブドーステーションの叡智を集めて、今野選手の酔拳を巌流島でどう活かすか?を分析し、その術理を今野選手が試合形式で発揮できるか?
試合まで間のない29日に、最終チェックの意味を込めて、ブドーステーション内で検証試合を行いました。
相手はジークンドーの竹内一馬先生と瀬戸先生自身。
ジークンドー竹内先生を相手にブドーステーション内部の査定試合。

ジークンドー竹内先生を相手にブドーステーション内部の査定試合。

 

今野選手は竹内先生を相手に3分3ラウンド。さらに瀬戸先生を相手に1ラウンド。
結果は両者にメチャクチャにやられました。
実は竹内先生には、禁断の八極拳の突きを伝授していました。竹内先生は動きは速くても、これまで試合でもスパーでもダウンを取ったことがない。
そこで、ムエタイ強豪相手にも一発で沈められる武壇の秘伝を丁寧に伝授しました。
対する今野選手は試合でもスパーでも一度もダウンしたことがないので、竹内先生には「例のパンチでダウンを奪ってもいい」とスパー前に伝えておきました。
結果は3ラウンド目に竹内先生はそのパンチを解禁し、今野選手をKO。
竹内先生にとっては初のダウンを取った相手が、今野選手だったわけです。
最後は竹内先生の八極拳秘伝技で初のKO負け

最後は竹内先生の八極拳秘伝技で初のKO負け

 

今野選手には、格闘技の試合で勝つのと、巌流島で武術の戦闘の理を発揮することは全く別物である、ということを理解してもらう為にちょっと手荒い指導をせざるを得ませんでした。
これまで巌流島に出て惨敗した合気道や武術の選手は、皆この理屈が分かっていなかったし、実際、今野選手も竹内先生との査定試合前は、通用すると思っていたようです。
「試合前に気づいて良かった」と今野選手。
再びブドーステーションのスタッフと瀬戸先生が今野選手のスパーの映像を分析し、試合で出すべき動きと、やってはいけない動きを整理。
この辺は巌流島経験者で、武術と格闘技の違いを熟知する瀬戸先生のアドバイスが頼りになります。
瀬戸先生との酔拳技の応酬。これが出たら凄いぞ。

瀬戸先生との酔拳技の応酬。これが出たら凄いぞ。

 

無論、試合前の時点でその内容は開かせませんが、少なくともこれまで巌流島に出場した様々な武術選手と比べて、あっと驚く動きと強さを見せられるのではないでしょうか。
勝つか負けるかは、相手あってのことなので確約できません。
しかし、今野選手が、酔拳の動きの必然性を巌流島を通して見せてくれることは、確実でしょう。
何しろ、「巌流島で酔拳で戦う」と言う誰も思いつかなかった夢を見続けた、初めての男が今野選手なのですから。
 

5.11巌流島の大会情報はコチラ⇒ 『世界武術王決定戦 2019 in MAIHAMA