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後半3試合は早く決まりすぎ? 巌流島ウォッチャーが梶原一騎風に語る

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お題………大反響! 1・3巌流島を総括する

 

文◎アニマル・アキ(巌流島ウォッチャー)
 

このたびの巌流島は会場観戦時、後半戦は淡白で物足りなく感じたものだ。
しかるに、見直すと実に趣深い試合が多かった。

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●まずは菊野vs小見川。

素直に考えれば菊野は胴着を掴まれないように距離を取るはず。その上で三日月蹴り、フックの一撃を狙って来るであろう。
小見川は胴着を掴んで菊野をコントロール、投げで場外転落を狙うも良し、上を獲ってパウンドを狙うも良し、若しくは不用意な距離に入ってくれば打撃で倒すも良し、こういった試合が予想された。
ところが、試合が始まると菊野がクンタップ戦の様に自らスススッと近寄って抱きついたのだ!!

まさかの展開、ここで菊野が一流の神経戦を仕掛けて来るとは。
掴むなら掴めの姿勢で小見川の間合いを潰し、更に得意の投げをも崩し、逆に場外に押し出して転落させる事に成功、勢いづいた。

この事で小見川にはかなりの迷いが生じたであろう、プライドも傷付いたのではなかろうか。
当初の掴めばこっちの物から、掴んでも相手のペースにされ、掴まれた上での対策も練られていたのだから。
そこから果敢にチェンジしての殴り合いを仕掛けるが、こうなればもう菊野の庭。
かってクンタップ、ウンピョ、ソウザを完全失神させたフックが待っていた、哀れ撃沈せり。

それでもなお、小見川が男の本領を発揮するのはここからだ。
半失神してる体では最早、力は入らぬが意地と気迫で上半身をもたげ菊野を睨み付ける。
その姿は倒れはしたが弁慶の立ち往生。あるいは男なら誰もが憧れるジュウザの最期を思わせる壮絶な散り際だった。
どんな状況になろうとも相手に向かって行く気概だけは消えない。これは最早、磨かれて来た本能の部分であり、即席の意気込みだけでどうにかなるものではない。
これこそが小見川選手が試合前に語っていたオス力であろう。
勝負事は当然ながら勝敗が最も重視される物であり、安易には使いたくないものだが、負けて天晴という試合内容であった。

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●続いてはシビサイ頌真vsブライアン・ドゥウェスである。

止めるのが早いのではないか、あれでは立ち技の選手が可哀想だ。
ガードをして決定打は食らわないようにしている。それを逃げ腰だとストップでは立ち技選手には勝ち目がないじゃないか。
良いのが入ってガードすら出来なくなったとストップは仕方ない。ドゥウェスvsウーラハン、原vs北井等が良い例であろう。
奇しくも田村選手が不完全燃焼でしょうねと解説していたが、試合のために数ヶ月掛けて準備してきたのに、ノーダメージで止められては競技者としても納得出来ない部分があるのではないか。
立ってるか、寝てるかの違いはあるが、ボクシングにおいてコーナーを背にしガードの上から猛烈な連打を食らっていても止めるべきではない。
ブライアン自身も多くの観客も不完全燃焼だったと思われる。

それは別として、どちらが強いかと言えば明らかにシビサイの方が強かろう。
試合は何が起こるか解らないのが常だが、仮にブレークしてスタンドから試合が再開されたとしても8割方、頌真の勝利だ。

そのくらいの差は感じた。
一見すると単に体重と勢いで上になったと伺えたが、改めて見るとブライアンのスープレックスを冷静に柔道の足技、大内刈で返しているのだ。
即座にマウントを獲っての安定感も卓越した物を見せる。ブライアンがエビで逃げようとしても無駄なこと。

試合の主導権を一貫して握り支配をしていたのは、シビサイだったことに二言はなかろう。
格的には上だったブライアン相手に終始、余裕の表情を見せていた大器は底を見せない!
次戦は更なる強豪が用意されるだろうが早くも楽しみだ。

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●超肉弾対決と期待されておったシュレックvsアンブリッツ。

見終わった感想はアンブリッツ、お主、試合を投げるのが早過ぎはせぬか。
ロッキーなんぞはもっと凄まじい豪打を食らいながらも決して諦めず、3R目には逆襲に転じてたものであるぞ。
それを上になられパウンドを数発食らったからと、速攻タップでは大晦日に活躍していたあの御仁と変わらぬではないか。

されども、これとて帰ってテレビで見ると評価が一変、自らを恥じる事に成ろうとは。

先じて見張ったのは「グシャッ」と鈍い音を立てて入ったアンブリッツの打撃であろう、凡百の選手ならあれ一発で地に這ってもおろう。
しかれど倒れず、むんずと襟を掴んで18番の柔道流の投げ技。後ろを獲るが早いか側頭部、顔面への剛拳連打。
不覚にも小生、そこにしか目が行っておらず。
まさか、その刹那、脚を使い腕を極めておろうとはよほどの手練でなければ考えが回らなかったのではなかろうか。

上半身での剛打は囮で下半身による極め、腹固めが狙いという知能戦、ライアーゲームと言える代物であったのだ。

アンブリッツは決して出稼ぎ根性などといったもので、あっさり試合を捨てたのではなかった。スローで見れば解っていただけるだろうが、あそこまで完璧に右腕を極められれば最早、タップするしか術はなかろう。

デカいから単細胞な一戦だなどと思ったら大間違いよ。
恐ろしきは複雑に罠を張り巡らせて、そこに落とし込んで行ったシュレックの戦略、戦術よ。

流石は柔術日本最強の男!

 

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『OUT ENEMY 2018 in MAIHAMA』