NEWSニュース

【1.3巌流島レポート】満員の舞浜・宿敵決戦! 菊野が57秒KOで小見川に勝利!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

昨年と同日・同会場での開催で「1・3は舞浜で巌流島」が定着してきたか、また菊野克紀VS小見川道大の再戦を筆頭に注目カードが並んだことが功を奏したか、2018年最初の大会は開場時点から過去最高の客足となった。

_Q9A2324

ロビーでは谷川貞治プロデューサー、田村潔司らも参加しての餅つき大会が行われるなどお正月ムードも満点だったが、オープニングで宮本武蔵と佐々木小次郎の「巌流島の戦い」が再現されると、今大会のテーマである「宿敵」の対決ムードが一気に場内を支配。その中で侍たちの戦いが幕を開けた。

第1試合 聡-S DATE VS 香月俊介

_Q9A2634

前回の9月大会に続き、大会の幕開けに「インド王族武術」を修得するDATE軍団が登場! 今回、トライアウトを経て初参戦したのは自ら「チームで一番強い」と断言する聡-S DATE(タイガー・デイト)。対するは体力自慢が集結する人気番組「SASUKE」常連のフルコンタクト空手家・香月俊介!

1R、まず前進したのは聡-S。半身で対峙するとサイドキックやヒザ関節を狙った蹴りを繰り出し、バックブローから香月のバックを取ってパンチを打つとテイクダウンに成功、パウンドを放つ。ブレイクされるとソバット、関節蹴りで押していき、香月は転落。さらに関節蹴り、バックキックを放つがバランスを崩して倒れ、香月が上に。ブレイク後、聡-Sは組んでからヒザ蹴りを連打。

_Q9A2719

2R、聡-Sは開始早々に飛び込むとテイクダウンし、相手を持ち上げては叩きつける。ここで香月が鼻血を出し、ドクターチェック。再開後、香月はカウンターの左ストレートを合わせるが、聡-Sは胴回し回転蹴りを繰り出すと香月の側頭部にクリーンヒット! 香月はダウンし、そのまま試合はストップ。香月を担架送りにする衝撃KOで、聡-Sは戦前の言葉通り「派手な試合で盛り上げる」ことに成功した。

第2試合 アキラ・シット・レック VS 左禅丸

_Q9A2786

旧ソ連時代に生み出された軍隊格闘武術「システマ」が注目の巌流島初参戦! キックボクシング出身で、このシステマの技術を身に付けたアキラ・シット・レックが、昭和7年に創設された実戦型武道「日本拳法」の使い手・左禅丸と対戦!

1R、アキラは前進して右のパンチや前蹴りを出す。組んだところからもパンチ、ロー。離れると左がパンチで出るが、アキラは組んでテイクダウン。しかしそれ以上は攻めずブレイク。アキラは右のパンチから組んでヒザ。さらに右をヒットし、パンチを出しながらジリジリと押していくと左は転落。

2R、アキラはインローから右ハイを見せる。左は左ストレートをヒット。アキラは組んだ状態から右のパンチやヒザ。ブレイク後、アキラは左を闘技場の際に追い込む。左は左のパンチをヒット、組むがアキラはヒザ。際で組んだ状態から両者が倒れこむと、アキラは上になって腕を取る。ブレイク後、アキラの鼻血によりドクターチェック。再開後、アキラは前蹴り。

_Q9A2924

3R、アキラはローで前進。左もパンチで出るのに対し、アキラは前蹴り。際まで追い込むとアキラは投げて左を転落させる。劣勢の左は前進するが、アキラは腕を広げながら大きく距離を取って回避。そこから組むとアキラは足払いでテイクダウンに成功しパウンドを連打。レフェリーがストップし、アキラの一本勝ちとなった。システマ式防御を崩そうと前進し続けた左もパンチを当てる場面はあったが、全体を通して優勢に攻め続けたアキラがフィニッシュに成功した一戦だった。

第3試合 蓮見隆太 VS 岩崎徳正

_Q9A2987

イギリスで伝承されるレスリング技術「キャッチ・アズ・キャッチ・キャン」。宮戸優光率いるUWFスネークピットで名レスラー、ビル・ロビンソンからその教えを授かった蓮見隆太が、ついに他流派との戦いに打って出た極真空手の雄・数見肇率いる数見道場の岩崎徳正と激突!

1R、蓮見は前進して組みに行き、投げようとするが岩崎は倒れず、空間を作ってヒザ蹴り。蓮見は引き倒してテイクダウンするが、展開は作れず。ブレイク後、蓮見はパンチから組み、投げを狙うも岩崎がこらえてヒザ蹴りという展開が続く。

2R、岩崎はミドル、左ストレートを放つ。蓮見は組んで投げを狙い、崩しからテイクダウン。ブレイク後、岩崎は三日月蹴りを連発。蓮見は3発目の蹴り足を取ってテイクダウン。ブレイク後も蓮見は組みにいくが、1R同様、岩崎は空間を作ってヒザ蹴り。終盤、蓮見は引き込んでグラウンドに移行しそこから上になるが、岩崎は足を利かせて下からガード。

_Q9A3048

3R、岩崎は左のパンチや三日月蹴りで攻める。蓮見は突進して左のパンチを返し、組むと互いにヒザを出し合う。岩崎が投げるが、蓮見はすぐに立ち上がる。ヒザの応酬から離れると岩崎は左ストレート。蓮見は組みにいくが、組まれたまま岩崎はロー、ヒザを多用。投げにいきたい蓮見だが岩崎が阻止。岩崎も投げを狙うが失敗したところで試合は終了。立っての組みには腰の強さとヒザ蹴りで応戦し、テイクダウンされてもしっかりと対応した岩崎が、ジャッジ3者の支持を得て判定勝利を果たした。

第4試合 鈴川真一 VS 斐也

_Q9A3190

過去にもその強さ、巌流島ルールとの相性のよさが証明されている大相撲から新たな刺客が参戦! 若麒麟の四股名で関取として活躍し、アントニオ猪木率いるIGFではプロレス・格闘技を股にかけて暴れた鈴川真一が、キックボクシングの名門チーム・ドラゴンのヘビー級戦士・斐也とぶつかり合う!

1R、鈴川がパンチで前進し、そのまま組むと体を預けて両者転落。鈴川に有効が入る。斐也は前進してくる鈴川にローを出すが、鈴川は構わず突っ込み、テイクダウン。猪木アリ状態からブレイク後、鈴川はパンチで前進してそのまま斐也を押し出して転落させることに成功。その後も鈴川は組んで帯を廻しのように掴むと押して投げ、斐也は耐えようとするも2度目の転落。

_Q9A3226

後がない斐也を鈴川はなおもテイクダウン。斐也も下からパンチを出して反撃しようとするが、鈴川は際まで押していくと足を持ってひっくり返すようにして転落させ、3度目の転落で一本に。鈴川が勢いのままに押しまくり、相手にほぼ何もさせぬまま完勝をものにした。

第5試合 エブゲニー・シャロマエフ VS カルロス・トヨタ

_Q9A3287

20167月以来の参戦となる空道世界王者エブゲニー・シャロマエフ。星風に完勝したことでその実力は保証済みだが、今回の相手はMMAのリングで剛腕KOを連発する柔術家カルロス・トヨタ。かつて大巨人チェ・ホンマンをもKOしたトヨタのパンチは、シャロマエフにも炸裂するのか?

_Q9A3271

この試合は寝技15秒の中で関節技、絞め技ありの特別ルール。1R、シャロマエフは前進してローを当て、さらに右ハイを見せる。そのままパンチで出るとトヨタは際から足を踏み外して転落。トヨタはローからバックスピンキックを放ってみせるが、シャロマエフは三日月蹴りからさらに左ストレート、右フックを当てるとトヨタはダウン。すぐにレフェリーがストップし、シャロマエフがわずか53秒でKO勝利。空道王者が前戦に続き強さを誇示した。

第6試合 関根シュレック秀樹 VS ジミー・アンブリッツ

_Q9A3482

ともに3度目の参戦で「巌流島ファイター」としての認知度も浸透してきた重量級戦士が初対決! 柔術黒帯を持ち「警察官最強」と呼ばれた関根シュレック秀樹は、3大会連続参戦で3連勝を期して臨む。かたやアメリカ・MMAの猛者ジミー・アンブリッツも2大会連続参戦。ともに圧倒的な体軀の持ち主だが、勝負の行方やいかに!?

この試合は寝技30秒、関節技、絞め技ありの特別ルール。1R、スイッチしながら間合いを伺うシュレックはタックルにいくが、アンブリッツはこれを切ってがぶるとパンチ。シュレックは一瞬ヒザを突くがすぐに立ち上がり、がっぷり四つに。アンブリッツは首相撲に切り替え、ヒザやパンチを出す。ブレイク後、シュレックは前蹴り。アンブリッツは左のパンチを出し、組みにいったシュレックに右をヒット。しかしシュレックはなおも食い下がると背負い投げで崩すと引き倒し、ヒザを入れてバックに回ると顔面にパンチを入れながらアンブリッツの右腕を取り、腹固めに移行するとアンブリッツはタップ。シュレックは24kgも重い相手の打撃に耐えて自分の展開に持ち込み、制圧に成功した。

_Q9A3505

憧れの選手だというアンブリッツに勝利したシュレックは「前回の試合はヒザの手術直後で練習もできずに臨んだが、今回はしっかりと準備ができた。パンチは重かったが、組んだ状態からでは力が出せない。道着を掴んで投げることができて、最後は腹固めにいけたのがよかった。次も、谷川さんやファンの方たちが『コイツとやったら面白いだろう』と思われるような相手とやっていきたい」とコメント。また敗れたアンブリッツは「あの体型・体格であれだけの柔術テクニックを持った相手を想定した練習なんてできっこない」と完敗を認めていた。

第7試合 シビサイ頌真 VS ブライアン・ドゥウェス

_Q9A3568

快進撃を続けるヘビー級の超新星・シビサイ頌真に試練到来! 2015年2月、記念すべき最初の公開検証大会でトーナメントを制して王者となったブライアン・ドゥウェスが2年半ぶりに参戦し、シビサイの挑戦を受けて立つのだ! 若き新星は初代王者を乗り越えられるのか!?

1R、ドゥウェスは勢いよく前進し左右のパンチを繰り出す。シビサイは組んで倒そうとするが、ドゥウェスもうっちゃろうとして両者倒れ、素早く上を取ったシビサイはマウントに。そこから回転の速い左右のパウンドを叩き込むと、レフェリーがストップ。わずか25秒でのスピード決着となった。

_Q9A3609

試合後、シビサイは晴れやかな顔で勝利を喜びつつ、今後については「シュレックさんとやったら面白いんじゃないですかね」と、巌流島における日本人ヘビー級頂上決戦を前回大会に続き改めてアピール。いまだ巌流島で負けなしの2人はタイプも対照的で、もし実現すればどのような展開になるのか、興味深いところだ。

_Q9A3621

一方のドゥウェスは終始不機嫌そうな様子でコメント。「寝技15秒というルールだと聞いていたから、防御しながらブレイクを待っていたのに、試合が止められてしまった。試合が始まる前に負けてしまったような感じだ」と、レフェリーのストップに不満を露わにしていた。

第8試合 菊野克紀 VS 小見川道大

ganryujima0103-144

巌流島が誇るエース2人が運命の再戦! 201610月、全アジア武術選手権トーナメント決勝での初激突は、菊野が2R必殺の三日月蹴りを決めて一本勝ち。前回、ヘビー級の相手にも勝利し満を持して再戦を要求した小見川のリベンジは叶うのか!? 2018年初戦にして、巌流島に最大の山場が到来!

_Q9A3740

1R、まず菊野がノーガードの体勢でまっすぐに前進すると、場内からは驚きの声が上がる。一瞬組んだ両者だったがすぐに離れると、小見川はガードを固めて頭を振るピーカブー・スタイルで前進。菊野は前蹴りから左のパンチをヒット。小見川は右を出して距離を詰める。前進する小見川に菊野は三日月蹴り、パンチで応戦。なおも前に出る小見川は投げにいくが、菊野は体をかわしてバックへ。バックからパンチを出され、防御する小見川はそのまま前進して転落。

中央に戻り、小見川が左右の拳を出しながら間合いを計りつつ前進すると、ひらりとかわした菊野は下がりながら左フックを合わせ、小見川がダウン! すかさず上になった菊野がニーオンザベリーで固めながらパウンドを3発入れたところでレフェリーがストップ。注目の再戦は前回よりもかなり早い、わずか57秒での決着。菊野が圧倒的な勝利で小見川のリベンジを退けてみせた。

_Q9A3784 _Q9A3828

試合後、小見川と固く抱き合って健闘を称え合った菊野は、2人の息子に囲まれてマイクを取ると「今日、子供をいっぱい見かけます。すっごいうれしいです。これだけ殴り合うのに子供が来てくれる格闘技って、そうはないと思います。本当に誇らしいですし、そういうものを作っていきたいです。巌流島は今までの格闘技とは違います。新しいものを作っていきます。子供たちに誇れる試合、立ち振る舞いをしていきたいです。巌流島は楽しい未来、楽しい格闘技、楽しい日本を作っていきます!」と力強くコメント。

_Q9A3959

インタビュースペースでは、「すごく進化した自分を見せられたと思います。小見川先輩は自分の対策を相当練ってくると思って、その上をいくことができるように練習してきました。山城(美智)先生が戦略を立ててくれて、それがしっかりできたと思います。ここ数戦は相手の顔を見ないようにしていました。顔からは表情、目線など情報が多すぎるので、全体視野でぼやーっと見るようにしていたので、小見川先輩のピーカブー・スタイルにも対応できました。また試合の数日前に『自分の身体がなくなる』という感覚を掴めたことも大きかった」とも語った。

その後にインタビューに応じた小見川は、当初「菊野の方が強かったということです」と言うに留めていたが、報道陣の質問に答えていくうちに「最初のパンチの応酬で、『これなら大丈夫』という考えが浮かんでしまった」と本音を吐露。「打撃から組んで柔道技を出そうと思っていたが、試合後に映像を確認しても最後のパンチは見えなかった。完全に見えないところから出てきた。自分はほとんどダウンさせられたこともないし、打たれ強いという自信があったのに……」と、完敗を認める発言。今後について問われると「まだ闘いたいという気持ちがあるし、道場の子供たちにも闘う姿、勝つ姿を見せたい」と、出直しを誓った。

サムネ

注目の再戦を劇的KOで乗り越えた菊野は、その戦いぶりといい、戦略を語る試合後のコメントといい、異次元のレベルと思わざるを得ないような強さを発揮した。そんな菊野のこの先は、いったいどうなるのだろうか? 一方で、その強さを体感して返り討ちに遭った小見川の今後も気になる。また、期待に応えて勝利を飾ったシビサイ、シュレックのヘビー級2トップはどうなるのか、2人の闘いの道が交わることはあるのか? 年頭初戦にして一つの大きな結果が出て、さらにこの先への興味が尽きることなく湧いてくるような大会であった。

最後にアナウンスされた次回大会の予定は、5月上旬、同じ舞浜アンフィシアター。今回の結果を踏まえ、またさらに新しい武術・格闘技の参戦を受け、巌流島の闘いはどのように展開していくのか!?

(文/高崎計三)