トドメを刺さなかった菊野に感動! あの残心こそ、武道精神!
お題………大反響! 1・3巌流島を総括する
1・3 巌流島、宿敵! 会場にたくさん来ていただいたファンの皆様、またテレビで視聴していただいた皆さん、誠にありがとうございました。選手の皆さん、そしてスタッフ、関係者、スポンサーの皆様にも心よりお礼申し上げます。
今回は選手の欠場もなく、興行には必ず起こると言っていいトラブルもなく、本当にいい試合の連続でホッと胸をなで下ろしています。しいてあげれば、課題は私自身でしょう。コンテンツには絶対の自信がありますが、それをビジネスに変えられていない。新しいことをやっているのに、発信の方法が古い。もっと予算があれば、もっと世界中からいい選手を呼んで、もっと凄いものを見せられるのにできていない。いや、私が一番反省しなければならない。
でも、やりたかったことは徐々にファンにも、選手にも伝わって来ているし、特に菊野克紀選手と小見川道大選手には感謝しています。やっぱり、選手が心から賛同し、自発的に発信していくことが一番遠心力を生みます。ありがとうございます。
さて、そんなこんなで、私はまだ皆さんの反響、SNSですら、チェックしていません。何せ、K-1時代はイベントが終わったら、スポンサーの皆さんと打ち上げで朝まで飲んでいたんですが、巌流島は手作りイベントなので、私も会場で後片付けしたり、車を運転して倉庫に荷物を運んだり……、ずっと年末年始も徹夜でしたが、まだ一息もつけない状況なのです。
そんなことで、まだ総括できていないところですが、忘れないうちに各試合の感想を書いておきます。
●第8試合 菊野克紀 (沖縄拳法空手) vs 小見川道大(ネオ柔道)
試合前は小見川クンがいくんじゃないかと思っていました。そのくらい調整がうまくいっている感じでした。しかし、蓋を開ければ、あの結果。この勝利は菊野クンの成長ぶりもあるけど、山城先生が凄い! 試合後聞くと「小見川選手が前回の試合の反省をどうしてくるかを読んで対策してきた」というのです。これは凄い。なるほどなぁ。菊野チームは試合前から小見川クンが何をしてくるかを分かっていたんです。早く山城先生のブロマガが読みたいな。
なお、この試合で一番感動したのは、左パンチで倒した後、菊野クンがトドメを刺さなかったことです。これぞ、武道! 普通の格闘技だったら、あのシーンはボコボコの展開になっていたでしょう。あの残心は素晴らしい! 見事でした。
●第7試合 シビサイ頌真(倉本流武術) vs ブライアン・ドゥウェス(キックボクシング)
シビサイは本当に底が見えない。今回も圧勝しすぎて、逆に試合がしょっぱく見えてしまった。うーん、次は誰を当てようか。難しいです。止めるのが早いという意見もありますが、巌流島では寝技は15秒まで。以前のミケーレ・ベルギネリや海鵬さんの試合でもあったんですが、マウントで殴られているのを亀になって耐えて時間が経つのを待つという作戦は、一本を取る場合があります。武道なので、時間に助けられるのではなく、自分で身を守る動きをしないとダメだということです。これはルールミーティングでも、選手に伝えてあります。たしかにブライアンはダメージがさほどなかったかもしれない。私自身、もう少し見たかったのは山々ですが、これはレフェリーの判断となります。また、個人的には「親が子供に見せたい格闘技」をめざす巌流島としては、いくら実戦にマウントパンチは欠かせないというものの、あまり凄惨なマウントパンチは見せたくない気持ちもあります。武道としてマウントパンチをどうするかは、重要な課題です。
●第6試合 関根シュレック秀樹(柔術) vs ジミー・アンブリッツ(MMA)
最後は「腹固め」だったかぁ。全く見えませんでしたが、藤原組長の得意技をここで出すシュレックさんはさすが。こういう一瞬の関節技、極め技は巌流島でもアリな気がしますね。まさに警察官の制圧! 逮捕術! シュレックさんは、巌流島では本当に映えますし、キャラクター的にも巌流島の世界観は合いますね。
●第5試合 エブゲニー・シャロマエフ(空道) vs カルロス・トヨタ(柔術)
巌流島に最も向いていると言われる空道。今回から正式に空道を通じて選手を招聘することになりました。その意味で、今後、空道の強豪をどんどん上げていきます。それにしても、シャロマエフは強いな。ヘビー級の夢のカードはいっぱいあるので、楽しみにしてください。カルロスもいい選手ですよ。アンブリッツとか、ジャイロとか、このカルロスみたいな選手はやられても価値が落ちないし、好きな選手です。今回もヤラレっぷりが見事でした。
●第4試合 鈴川真一(大相撲)vs 斐也(キックボクシング)
鈴川選手はいいところが出ましたね。巌流島には相撲取りが必要なので、今後も毎回出ていただきたいくらいです。勝ち方もあれでいいし、宮戸さんが言っていたけど、身体的な素材は相撲とか、プロレスのような特殊な環境にいないとできない身体しています。これは宝。斐也選手みたいな身体があっても、吹っ飛ばされましたからね。闘う姿勢も良かったし、巌流島が一番輝くのでは? 対するチームドラゴン、勝たせてあげたいですね。でも、斐也クンに言いたい! まずはリングネームを変えないと。よく下の名前をリングネームにする人がいるけど、基本的には弱々しく見えるし、まず漢字が読めない。みんなに覚えられないという点でハンデです。僕ならジャンボ古賀とか、そういう分かりやすい名前をつけます。素材がシビサイ同様いいので、もったいないです。
●第3試合 蓮見隆太(CACC) vs 岩崎徳正 (数見空手)
個人的には一番面白かった。武器の数から言うと、キャッチ・アズ・キャッチ・キャンとフルコンタクト空手では、キャッチの圧勝! だから、関節技・締め技なしの巌流島ルールにして五分にしたんですが、岩崎選手が予想以上に倒れなかったですね。数見空手、さすが他流試合に出てきただけあって、すごく対策を立てていましたし、空手家にとって励みになる勝利になりましたね。でも、CACCは本当に面白い存在なので、次回は関節技・締め技有りで挑戦してほしいです。岩崎選手、蓮見選手共々、もっと見たい選手です。
●第2試合 アキラ・シット・レック(システマ) vs 左禅丸(日本拳法)
お互いに流派の特徴を生かして勝とうとしていた姿勢が素晴らしい。脱力のシステマと、波動拳を狙う日本拳法! アキラ選手の国籍不明みたいな雰囲気もいいし、禅丸選手は実直な感じもいい。トライアウトの掘り出しものです。巌流島という場に慣れ、レベル的にもう一段階も二段階も上がれば、すごい存在になりそうです。お互いデビュー戦としては、十分いい試合でした。
●第1試合 聡-S DATE(インド王族武術) vs 香月俊介(フルコンタクト空手)
タイガーDATEは、トライアウトで一番プロ向きだと思った選手。「オレの試合を見てくれ~」みたいな華を感じました。ヘビー級のシビサイ、中量級の原翔大、軽量級のタイガーDATEは大切に育てていきたい若手です。で、試合の方はまさに初代タイガーマスクのデビュー戦並みのインパクト。期待以上にやってくれました。1・3はいい試合が多かったですが、火をつけたのはタイガーDATEですし、第1試合と第8試合が本当の意味でも神がかった試合でした。対戦相手の香月選手もマジメで無骨でいい感じ。またチャンスを作ります。タイガーDATEにはこれから、巌流島のダイナマイト・キッドや小林邦明を当てていきますので、乗り越えていけよ!
今回、何気なく数見肇さんや前田憲作さん、宮戸優光さん、中井祐樹さん、所英男君、金原正徳君、松井大二郎君など、懐かしい面々とも再会。巌流島にいい魂が集まってきている気がします。次回は5月上旬を予定。毎回、今大会以上のものを見せるのが、大きな課題! ぜひ、期待してください。
1・3巌流島のレポートはコチラ⇒
『OUT ENEMY 2018 in MAIHAMA』