「闘う自分に酔いしれている。よだれが出るほど楽しみたい!」 小見川道大、仇討ち前の心境を語る!
昨年10月に行われた全アジア武術選手権のトーナメント決勝戦で相見えた菊野克紀と小見川道大。この時は菊野が間合いを制し、三日月蹴りで見事に小見川を破った。その仇討ち(リベンジ)を狙う小見川。今回の再戦は小見川から望んだ一戦! 仇討ち前の心境を聞いてみた。
「巌流島の未来、格闘技の未来、僕の未来、菊野選手の未来を賭けた闘いになる!」
——菊野克紀選手との再戦が決まって、今どんな心境ですか?
小見川 菊野選手だからどうというのはあまりないんですけど、試合が近くなったら出てくるかもしれないですね。いつも試合をするのと同じ感じですよ。
——相手は前回闘って敗れた菊野選手なので、気持ちの高まりがあるかと思ったのですが。
小見川 もちろん一度負けていますので、次は絶対にリベンジしたいという気持ちがありますし、それがあるから臨む試合です。
——そのなかでも気持ちは平常心でいようという意識ですか?
小見川 あまり気負わず、万全の体調で臨めればいいなと。
——どのくらい試合が近づくと高まってきますか?
小見川 いつもあまり気合を入れすぎないようにしています。これまでの経験上、あまり入れこみすぎると、心も体も疲れちゃうことがあるので。
——けっこうナーバスに考えるところがある?
小見川 昔は「絶対勝たなきゃ」という気持ちが強かったんですけど、今は少し違っていて、闘いに挑む自分が好きでやっているんです。自分に酔っていて。「俺ってかっこいいな」って感じで(笑)。
——前回の菊野戦を振り返って、率直に敗因って何だったと思いますか?
小見川 彼の神の手。間合いですよね。間合いを制されて、僕が行かざるをえない状況を作られてしまって、そこへのカウンターを入れられた。1ラウンド終盤になるにつれて、彼が間合いをつかんできて、2ラウンドに入って、無理に行かなきゃという状態になってしまった。彼の間合いとプレッシャーで。
——それは行かないとやられるという危機感からなんですか?
小見川 そうですね。
——柔道家と空手家の間合いの違いがあるんでしょうか?
小見川 僕はもともと柔道出身で近い距離でやりたいっていうのはありますね。
——前回の敗戦を踏まえて、対策を言える範囲で教えてもらえますか?
小見川 それは言えないですよね(笑)。まぁ、正直、僕は相手と向かい合ったときの感覚がずば抜けていると思っているので、何も考えず、自由に。あと楽しむこと。例えば、絵描きさんが絵を描いていて楽しい時って、よだれをたらしながらやってると思うんですよ。そういう楽しい気持ちを出して、かつ殺気を消して行ければいいなと思います。
——前回の試合では巴投げが飛び出て驚かされましたけど、今回は何か秘策は?
小見川 前回の試合では巴投げの他に一本背負いや背負い投げも出せたので、今回もすくい投げだったり色々ありえるかと。
——試合では柔道技を出したいという気持ちでやっているのでしょうか?
小見川 いや、もう組んだ時には自然に柔道技が出るんです。別に狙ってるというわけではなくて。
——ファンはいつも小見川選手の柔道技を楽しみにしています。
小見川 僕のネオ柔道は必ずしもくっついた柔道だけではなくて、始まって間合いがあるときからすでにネオ柔道なんです。当て身と組んでからの技と、色々見てほしいと思います。
——菊野選手の弱点って見抜いていますか?
小見川 彼の弱点は…… ないですね(笑)。
——ここにスキがあるとか。
小見川 う~ん……。いや、ないですね。弱点がない相手に立ち向かうという、その状況が好きで(笑)。
——小見川選手、今おいくつになりました?
小見川 42歳です。
——闘うことへの恐怖ってありますか?
小見川 僕自身は闘うことが好きで、その気持ちがあるから闘っています。ただ、それでも自分の道場がある、家族があると考えてしまうと、勝手にやらしてもらっていていいのかなとは思います。自分の好きなことをやらせてもらって、見守ってもらえるとありがたいですね。
——道場の子供達にこんな姿を見せたいってありますか?
小見川 道場の子供達には毎回、応援に来てもらってて、僕の闘いを見て色んなことを感じてくれていると思います。今回はうちの道場の生徒のみではなく、巌流島の未来、格闘技の未来、僕の未来、菊野選手の未来、すべての未来のために闘いたいと思います。闘って終わりじゃなくて、これが始まりとなるようなものにしたいですね。
——2018年の年始めをどんなものにしたいですか?
小見川 僕と菊野選手の試合を見て、希望や勇気を持ってもらえるような、活力を与えられるような試合をできたらと思います。
——ずばり勝てますか?
小見川 勝つか、負けるかはわからないですけど、よだれが出るほど楽しみたいです。