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菊野克紀、オリンピックテコンドー第一の難関突破! 東日本を制し、全日本大会へ進出!

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サムネ

テコンドー公式戦でまさかのハイキックKO 次は20181月の全日本大会に挑む!

1029日、巌流島で活躍する菊野克紀が「第11 全日本テコンドー選手権大会 東日本地区大会 -80kg級」に出場。トーナメントで3連勝し、見事に優勝を果たした。

これにより菊野は2018121日に千葉市で開催される「全日本テコンドー選手権大会」への出場権を獲得。全日本大会で優勝すれば、オリンピック強化指定選手、そしてその先のオリンピック日本代表選出へと近づく。

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全日本テコンドー協会の公式ルールでは、試合時間は2×3ラウンド・インターバル1分。

下記のように、蹴り技とくに頭部への蹴り技のポイントが高く、菊野が得意とする突きのポイントはわずかに1ポイント。顔面への突きは禁止で、プロテクターを装着した胴部への突きのみ認められる。菊野にとっては決して有利なルールとはいえない。

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打撃で場外に押し出された場合は1点減点となり、これは巌流島式の場外転落とも共通するルール。減点が10点に達すると負け。また、ポイントゲームの印象が強いテコンドーだが、あくまでフルコンタクト格闘技であり、「攻撃し倒れた相手が10カウント以内にファイティングポーズを取れない場合KO」となる。

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トーナメント一回戦、菊野は、菊地右真選手(千葉)と対戦。菊野は、試合開始直後に頭部への上段蹴りを連続で被弾し、13-0とポイントを先取される。早々にポイントで引き離され、さすがに「これで終わったら目も当てられない」と焦ったというが、そこから距離を詰めてボディへの突きを連発。ポイント14-10まで追い上げ、1Rを終えた。

通常、後傾姿勢で蹴りの攻防を行うテコンドーだが、菊野はいつもの沖縄拳法空手スタイルで前へ前へと出て、突きを繰り出す。プロテクター越しにボディへの突きが効いてきたのか、徐々に菊地選手の動きが鈍り、ブレークの間も体を大きく折り曲げてうなだれ始める。

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最後は3R、ポイント56-42の時点で、菊野の場外押し出し等により菊地選手の減点が10点に達し、菊野が勝利した。

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準決勝では、泉澤龍一郎選手(東京)と対戦。1Rはポイントの競り合いに持ち込まれ11-7と菊野ポイントリードで終えた。そして2R、菊野は、ボディへの突き対策で空いた相手の顔面を見逃さずに左ハイキック一閃。相手はバッタリと倒れ、なんとテコンドーの公式戦で KO勝利。決勝戦へと進出した。

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トーナメント決勝の相手となったルイス・ムラリ選手(愛知)は、当初よりシードで参戦。さらに対戦相手が欠場したことにより、一戦も行わず無傷のまま菊野と対峙することとなった。途中、菊野の蹴りが金的となりブレークされる場面もあったが、この日3戦目となる菊野は、落ち着いた様子で試合を進める。

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菊野が突きや中段蹴りなどで相手を場外へと押し出すと、ムラリ選手の減点が10点となり、2Rで菊野が勝利。初出場のテコンドー大会で、初優勝を果たした。

試合後、全日本テコンドー協会副会長の岡本依子氏が菊野の優勝を祝福。積極的に外部からの刺激を取り入れようとするテコンドー協会の懐の深さと、攻めの姿勢にも要注目だ。

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菊野は続いて来年1月の全日本大会に進出。テコンドーでの東京2020オリンピック出場を目指していく。菊野のテコンドー挑戦は、プロ格闘技の活動に支障はなく、今後も巌流島のエースとして活躍。13日開催の巌流島への参戦も決定している。

【試合後インタビュー】

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——一回戦の序盤ではポイントをリードされてしまいました。

菊野 最初の何秒かで、心が折れそうでした(笑)。これはやばいって。

——想像していたのと違いましたか?

菊野 そうですね。あれでポイントが入るんだっていう。ちょっとかすったくらいで入っちゃうので。僕は普段小さく避けることを大切にしているんですよ。紙一重で。でもそれではテコンドーのルールでは通用しないですね。5cmくらいで避けないと。このルールをもっと勉強して慣れないと勝てないなと思いましたね。一回戦は沖拳の突きと、気合いとスタミナでやりきった感じでした。二回戦は相手がパンチ対策をしてきたので、ずらしてハイキックをやってみたら当たりました。パンチに意識がいっているからこそ、あれが当たるんだと分かりました。中段、上段と振れば、僕の蹴りでも当たるんだなと感じましたね。最後の試合は、相手があまりスピードはない感じがしたので、冷静に普通にテコンドーの試合ができるかなと思って、やってみました。色々、試してみたいと思って。攻撃がバチンバチン入っていてもポイントにならない場合もあるので、あんまりポイントを気にしたらだめだなと思いましたね。やはり効かすこと。効かせればチャンスがあるので、僕はそこを大事にしたいです。効かして、心を削って、23Rで最終的にポイントが上回ればいいかなって。ただ、勝負のかけどころが後半になり過ぎると、取り返せなくなっちゃうので、どこかでグワーっと行かないといけないですね。相手を場外に押し出したり、倒したりして、相手の減点10ポイントで勝つのが自分のスタイルかなとも思いました。

——3試合経験して、テコンドーのいいところや難しさというのは?

菊野 めちゃくちゃ難しいですよ。いやぁ、もうよう勝てたなと自分で思いますよ。全日本大会は絶対にやばいなと思ったので、またちゃんと練習しないと。今日、3試合できたので、反省点を研究して、121日の全日本大会に向けて準備しないと。絶対王者の江畑(秀範)選手っていう197cmの方がいるので。まぁ一回戦からずっと厳しい闘いになると思うんですけど。その前に13日の巌流島があるので、そこを頑張って。もっと強い菊野になれるよう、巌流島と相乗効果でやっていきたいです。

——この経験から巌流島に活かせることは?

菊野 あのプロテクターがあると、ボディで効かせるのがすごく難しいんですよね。なので丁寧に型をやっていて、それによって自分の攻撃の威力が上がった自信があります。あとは当て方がまだうまくいかないから、今日は倒せなかったんですよね。プロテクターがあっても、タイミング、角度、距離が合えば効くはずなんです。ちょっとでも斜めになったり、場所がずれるだけで効かなくなるので。そういう意識を持つようになったので、今の僕が顔を殴ったら前以上に効かせられるはずです。あとテコンドーって力を抜かないといけないんですよね。そうじゃないと反応できないし、攻撃できないし。練習では力を抜くイメージでやっていたんですけど、今日は緊張感や経験の無さで固くなってしまいました。この力を抜くというのは一番重要なことで、テコンドーだけでなく巌流島でも活きることです。力が抜けると強くなれるので。

——テコンドー協会の方々も菊野選手の参戦を歓迎している様子ですね。

菊野 協会の方々が温かく迎えてくれるのは、すごくありがたいですねぇ。テコンドーの練習も本気で教えてくれますし。

——1月の全日本大会に向けて意気込みをお願いします。

菊野 今日、色々とうまくいかないっていうのが分かったので、課題を一つ一つクリアすること。あと今日の突きが効いた、蹴りが当たった、減点で勝てたっていうのが自信になったので、そこを活かして一戦一戦やっていきたいです。全日本優勝はもちろん目標ですけど、それどころじゃないなって思いました。今日もすべて薄氷を履むような勝利だったので。今ここに集中します。それと今日の僕の闘いで研究されると思うので、また僕も進化しないと絶対勝てないですね。