巌流島トライアウト大成功! システマ、合気道、日拳、功夫ら武術家が集結!
8月19日、東京都港区のカルペディエム三田にて、『巌流島トライアウト 2017』が開催された。このトライアウトは、巌流島に参戦を希望する未知の武道家・武術家・格闘家を発掘するために企画されたもので、予想を上回る数十名の応募があった。
応募者のジャンル・流派は、MMA、キックにとどまらず、柔術、システマ、パンクラシスト、台湾林式功夫、空道、合気道、キャッチ・アズ・キャッチ・キャン、形意拳、プロシューター、日本拳法、サンボ、居合道、コンバットレスリング、李氏八極拳、数見空手、マハーラージャ カルーリカ&ヨーガ、沖縄拳法空手と実に多岐にわたり、今回はこの中から全15試合が組まれた。
■第1試合 初級者ルール 2分1R
◯廣末高明(合気道)vs ×超人DATE(マハーラージャ カルーリカ&ヨーガ)
一本 0:19 ※パウンド3発
第1試合から合気道という幻想枠が登場。沁道会の41歳の合気道家だ。対するは謎のインド王族武術集団Team DATEからの刺客、超人DATE(スーパーマン・デイト)。Team DATE武術九兄弟の末弟で、若干11歳の戦士だ。廣末が超人DATEの腕を取って捻り上げ、寝かせたところに寸止めパウンド3連発で試合終了。これぞ合気道という妙技が見られた形だが、いかんせん今回は年齢差がありすぎたため、実力測定は困難。合気道家として、ぜひまた巌流島に挑んでほしい。
■第2試合 中級者ルール 2分1R
◯西村虎次郎(伝統派空手)vs ×蹴躍DATE(マハーラージャ カルーリカ&ヨーガ)
判定 ポイント4-0
西村は伝統派空手歴1年半の高校生18歳。蹴躍DATE(フットルース・デイト)は、Team DATE武術九兄弟の八男だ。なお、中級者ルールでは顔面へのパンチは寸止め、パウンドも寸止め、立ち技の顔面への蹴りのみ認められる。西村は両手のガードを大きく下げ、飛び込みの初速でパンチ、キックを次々と決める伝統派空手スタイルで4ポイント獲得し勝利した。
■第3試合 中級者ルール 2分1R
×大ももち(ニャンニャン拳法) vs ◯上野昌史(沖縄拳法空手)
一本 ポイント5-0 ※5ポイント先取により一本
ニャンニャン拳法なる未知の武術の使い手として、大会前からネットを賑わせていた大ももち(27)が登場。大ももちはお笑い芸人としても活躍しているという。上野は沖拳会所属で、白蓮会館の全関東大会・壮年中級軽中量級で優勝の実績を持つ。大ももちは顔面への攻撃に対処ができずに顔を背けてしまう。前蹴りで反撃する場面もあったが、主審に「攻撃に対して顔を背けすぎる」と5ポイント目を宣告され、上野の勝利となった。大ももちは初級で申し込んでいたが、組み合わせの都合で中級の試合に挑戦した。その勇気は称えたいところ。
■第4試合 中級者ルール 2分1R
◯木村英昭(沖縄拳法空手) vs ×俵屋翔太(空道)
判定 ポイント 4-2
沖拳の木村(52)と空道の俵屋(24)の対決となった。木村は自己アピールで「才能に恵まれない普通のサラリーマン」と話した。俵屋は防衛省職員という肩書きを持つ。序盤、木村が積極的に距離を詰め、打撃、押し出しでポイントを獲得。巌流島に似たルールといわれる空道の俵屋が、中盤から徐々に距離をつかみ、的確にパンチをヒットさせ攻勢に出たが3分で試合終了。木村がポイントで判定勝利を収めた。
■第5試合 中級者ルール 2分1R
△西村虎次郎(伝統派空手) vs △孫悟空DATE(マハーラージャ カルーリカ&ヨーガ)
ポイント1-1 ※審判判定も1-1のため引き分け
第2試合で勝利した西村が再登場。対するは、Team DATE武術九兄弟の七男、孫悟空DATE(ドラゴンボール・デイト/15歳)。西村は、またも一気に前に出ながらキック、パンチでポイントを先取。しかし、孫悟空DATEが徐々に動きを読み始め、横蹴りからの左フックでポイントを取り返す。同点で引き分けとなった。
■第6試合 中級者ルール 2分1R
×大ももち(ニャンニャン拳法) vs ◯小林啓吾(フルコンタクト空手)
一本 ※ミドルキックによるダウン
大ももちが2試合目に挑む。自身でニャンニャン拳法の仇討ちを果たすか? 小林(36)は空手出身で、職業は社会保険労務士。「K-1アマチュアBクラス-70kg」というトライアウトで準優勝の実績を持つ。大ももちはここでも顔面攻撃に対処できず、右ローキック、左ミドルキックで立て続けにダウンし一本負け。しかし、大ももちは最後まで芸人根性で場を盛り上げ続けた。
■第7試合 上級者ルール 3分1R
◯金日柱(フルコンタクト空手) vs ×小池準(実戦空手)
一本 1:18 ※パンチ連打
金日柱(38)は、フルコンタクト空手歴25年という経験豊富な選手。小池(35歳)は、総務省・地域おこし協力隊として活動する異色の空手家。ここからの上級者ルールは、基本的に巌流島ルールに準拠。パウンドは連続3発以上で一本となる。序盤、金が打撃を交えながら押し出しで有効と転落を獲得。その勢いのまま打撃で優勢となり、壁際でパンチを連打し一本勝ちとなった。
■第8試合 上級者ルール 3分1R
◯戸津龍祐(キャッチ・アズ・キャッチ・キャン) vs ×向井正志(沖縄拳法空手)
一本 0:15 ※パウンド3発
戸津(21)は、UWFスネークピットジャパン所属のキャッチ・アズ・キャッチ・キャン戦士。向井(51)は、UFCで大道塾の市原海樹がホイス・グレイシーに敗れてからずっと「このままでいいのか」という思いを抱き続け、一念発起、巌流島への出場を決意した。戸津は胴タックルからスープレックスでテイクダウンし、サイドポジションからパウンド。向井はスイープで体勢を返すも、戸津はパウンドを止めず勝利。
■第9試合 上級者ルール 3分1R
◯聡-S DATE(マハーラージャ カルーリカ&ヨーガ) vs ×栗原秀和(台湾林式功夫)
一本 1:03 ※パウンド3発
Team DATE武術九兄弟四男、高弟の聡-S DATE(タイガーデイト)が出陣。聡-S DATEは自己紹介で、サミー・リー(佐山聡)式だというタイガーステップを披露した。栗原(45)は自身が学ぶ台湾の林式功夫をアピールし、また巌流島を中国や東南アジアへ輸出するのが目標だという。聡-S DATEは、栗原の膝に強烈な関節蹴りを放ってバランスを崩すと、後ろから首に巻きつくようにテイクダウン。そのままパウンド連発で勝利。武術らしい攻めでマハーラージャ カルーリカの強さを示した。
■第10試合 上級者ルール 3分1R
×岩崎徳正(数見空手) vs ◯太田亮(システマ)
一本 2:18 ※パウンド3発
生ける伝説・数見肇の弟子の岩崎(41)に対するは、なんとシステマを操るという太田(35歳)。剣道9年の武道歴も持つ実戦派だ。太田は、両手を下げた独特の構えで相手を見すえる。岩崎はキレのある打撃で攻めるが、太田は相手の道着を掴み、接近戦に持ち込んで動きをコントロール。岩崎の鋭いミドルキックを受けながらも、道着の裾を掴んでテイクダウンした太田がパウンドを連打し勝利した。
■第11試合 上級者ルール 3分1R
◯奈部由香里(柔道/MMA) vs ×タバタ・ヒッチ(SEI☆ZA)
ポイント2-2 ※ポイント同点、審判判定2-1で奈部の勝利
奈部(29)は柔道出身で、プロMMAでも3戦している総合格闘家。NEO柔道・小見川道大の活躍に感化され、女子ながら巌流島のトライアウトに応募した。奈部の相手を務めたのは、女子武道SEI☆ZAのタバタ・ヒッチ(23)。同じく柔道をバックボーンに持つブラジリアン武道家だ。試合は男子に勝るとも劣らぬ激しいパンチの打ち合いと、押し出しの攻防で両者一歩も引かずにポイント同点で試合終了。審判の判定で2-1と奈部が優勢となり、判定勝利した。
■第12試合 上級者ルール 3分1R
×安田一平(フルコンタクト空手) vs ◯大橋悠一(パンクラシスト)
一本 1:29 ※パウンド3発
安田(27歳)は、オーストラリアの全豪空手大会で準優勝というユニークな経歴の持ち主。大橋(27歳)はP’s Lab所属のパンクラシストだ。序盤、互いにパンチ、キックを交錯させながら安田が押し切り、場外有効を2度取る。大橋は強烈な飛び膝蹴りをヒットさせると、タックルでテイクダウンしパウンド。大橋が試合を制した。
■第13試合 上級者ルール 3分1R
◯松本峰周(アウトサイダー) vs ×新井惇之(キックボクシング)
一本 1:06 ※パウンド3発
前田日明氏率いる「アウトサイダー」で活躍する松本(37歳)と、K-1アマチュアBクラス-70kgトーナメント優勝の新井(26歳)の一戦。新井はローキックを放ちながら前に出る。松本はその足を掴むと水車落としで後方へと豪快に投げ飛ばす。そのまま上になった松本がパンチを連打し、一本勝ちとなった。松本は試合後、自身のツイッターで「まってろよ、ジミーアンブリッツ」と巌流島スーパーヘビー級戦士に宣戦布告した。
■第14試合 上級者ルール 3分1R
◯バーソロミュートシオ(キックボクシング) vs ×本田孝之(沖縄拳法空手)
判定 ポイント5-2
バーソロミュートシオ(27歳)は、110kgの体格をほこるヘビー級ファイター。「いちから這い上がってチャンスをものにしたい」とトライアウトに応募した。本田(34歳)は、沖拳会とボクシングジムに所属。開始いきなり足を止めて近距離からパンチをぶつけ合う二人。いわゆる“ドン・フライvs高山”状態だ。バーソロミュートシオは顔から出血するほどのダメージを負ったが、パワーで押し出しポイントを奪い勝利した。
■第15試合 上級者ルール 3分1R
×左禅丸(日本拳法) vs ◯仁牙・ヤスオ(沖縄拳法空手/MMA)
一本 1:56 ※パウンド3発
左(44)は、巌流島で待望論の多かった日本拳法出身。日本拳法のトーナメントで優勝2回・準優勝1回の実績を持つ。仁牙(37歳)は沖縄空手のほかに柔術、形意拳、レスリング、ボクシング等の経験を持つハイブリットな選手。左は日本拳法式の波動拳を相手の顔面に突き刺していく。一進一退の攻防が続く中、多彩なバックボーンを持つ仁牙が組み合いを制し、テイクダウン。バックマウントからパウンドを連打し勝利を得た。
大会後、主催のひとり菊野克紀は「お金が取れるほどのすごい闘いを見せてもらった。さらにレベルを上げて巌流島でがんばってほしい」とエール。
巌流島プロデューサーの谷川貞治は、「予想以上の面白さだった。数見空手vs システマなど、まさに巌流島らしい異種格闘技が見られてとてもよかった。それぞれの流派の技を大切にして、カポエイラのレロや、沖縄拳法空手の菊野選手、柔道の小見川選手のように、子どもたちに夢を与える選手になってほしい」と総括した。
なお、今回のトライアウトの映像は近日、当巌流島オフィシャルサイトのファンクラブ動画「SAMURAI WORLD」で公開される。
年内にもまた開催される予定だというこの巌流島トライアウト。ここから今後の巌流島アマチュア大会へと発展させたい意向だ。こういったトライアウトが全国規模で行われるようになれば、前代未聞のスケールで武術トーナメントが展開できるだろう。
9・2巌流島の大会情報はコチラ⇒
『巌流島 ADAUCHI 2017 in MAIHAMA』