小見川が必殺・巴投げで激勝! 菊野はスネの裂傷で無念の無効試合
今年2度目の開催となる巌流島は、本戦前の「キッズ巌流島」2試合からスタートした。ヘッドギア・グローブ着用のフルコンタクト空手ルールに押し出しを加えたキッズ巌流島。
まずは宰川桂人が合わせ一本で勝利。左上段回し蹴りと突き連打による押し出しによるもの。キッズ巌流島第2試合は判定3-0で小原蒔恩が勝利。互いに技有りを奪い合う好勝負となった。
これまで未知の格闘技、謎のファイターの発掘を積極的に行なってきた巌流島だが、今回の大きなテーマは「ニッポンの底力!」。日本人選手の試合が並んだ。
■吉田善行 vs クンタップ・チャロンチャイ
第1試合、初参戦の吉田善行がムエタイのクンタップ・チャロンチャイと対戦。序盤から内股、大外刈りなどで何度も投げ、パウンドを落としていく。やはり柔道出身だけに、道着がある巌流島では有利かと思われた。
だが、クンタップも組んでのヒザを連打するなど反撃を見せ、1ラウンド後半には組み際に右フックがクリーンヒット。グラついた吉田にさらにパンチ、グラウンドで鉄槌とKO寸前まで追い込んでいく。
2ラウンドは、ダメージが見えるものの吉田が投げからのパウンドで支配。それでもミドルキックをもらって後退するなど、油断できない展開が続く。3ラウンドも展開は変わらず、吉田が判定3-0で勝利を収めた。柔道とムエタイ、それぞれの持ち味が出た試合だったと言えるだろう。
■北井智大 vs 原翔大
第2試合ではキックの名門チームドラゴンの北井智大と、MMA経験もある原翔大の日本人対決。1ラウンドは原が払い腰など投げとパウンドで圧倒。掴んでから顔面へのヒザも。北井は道着、組み技によって持ち味が出せない展開だ。
2ラウンドも原が優位の展開。スタンドでもジャブ、前蹴りでキックボクサーの北井を相手に間合いをコントロールしてみせる。最後は3ラウンド開始早々、投げからケサ固めで抑え込み、パンチを連打してレフェリーがストップ。ワンサイドゲームで原の一本勝ちに。
■関根“シュレック”秀樹 vs バル・ハーン
続いては元警察官、関根“シュレック”秀樹が、待望の巌流島初登場。モンゴル相撲のバル・ハーンとの対戦は、いかにも巌流島らしいカードだ。この試合は、30秒間の絞め技・関節技ありの特別ルールで行なわれた。
1ラウンド、関根が掴みにいったが、簡単にはテイクダウンできず。それでも関根は体落としでテイクダウンに成功。立ち上がったところをローキックのような足払いで再び倒し、パウンドを連打してレフェリーストップで勝利した。
■鈴木信達 vs マーカス・ヴィニシアス
第4試合、闘う行政書士こと鈴木が闘技場へ。他ジャンルでの活躍で知られる選手の試合が続く。対戦相手はカポエイラのマーカス・ヴィニシアス。試合が始まると、ヴィニシアスは強烈なローキック。さらに前蹴りで鈴木を下がらせると、両手で押して転落させる。さらに掴みからの右ストレートをヒットさせると、またも突き落として転落ポイント。
反撃したい鈴木だったが、ここでヴィニシアスのバックキックが完璧にボディに入り、続けざまのハイキックでKO。代打出場のヴィニシアスだったが、おそるべき実力を見せつけた。
■シビサイ頌真 vs ホンシュウ・ビワコ
ヘビー級の新星・シビサイ頌真は、第5試合でボビー・オロゴン軍団のホンシュウ・ビワコと対戦。シビサイは序盤から圧力をかけると場外へ転落させ、投げ技の同時転落での有効ポイントも。
投げでダメージを負ったようにも見えるビワコは下がるしかなく、最後も押し出し転落で計3度の転落となり、シビサイが一本勝ち。しかし本領を発揮しないままに勝ってしまったということか、試合後のシビサイは納得のいかなそうな表情を見せていた。
■小見川道大 vs ジャイロ楠
休憩明けのラスト2試合は、カード発表時から賛否両論の無差別級マッチ。小見川道大はキックボクサーの楠ジャイロと、約42kgの体重差がある激突。
1ラウンド、いきなり右フックで飛び込んだ小見川。道着を掴み、投げ、そしてパウンドでダメージを与えていく。しかし楠もフック、アッパーをコンパクトにまとめてくるため、緊張感のある攻防に。
2ラウンド、小見川は代名詞となった巴投げを決め、そこからパウンド連打。さらにパンチをもらいながらも道着を離さず、巴投げで楠を場外に転落させる。これで楠は腰を痛打し、闘技場に戻れず。レフェリーが試合をストップし、小見川の勝利に。劇的フィニッシュに会場は大喝采。
今大会から、公式道着が小見川デザインのものになり、柔道着と同じ厚手の生地になったことで破れにくく、投げを使う選手が持ち味を発揮しやすくなった。そのことも勝因だったと小見川はコメント。また「小さい人間に負けるリスクがあるから、相手のほうが怖かったはず。ジャイロ選手にはあらためて感謝したいです」とも語った。
■菊野克紀 vs ジミー・アンブリッツ
そして最終試合、菊野克紀とジミー・アンブリッツの超体格差対決。77.3kgの菊野に対し、アンブリッツは134.4kg。それでも菊野は臆さず打撃で勝負。思い切りのいいローキックを放っていった。しかし、この攻撃で菊野はスネから出血してしまう。
ドクターチェックの結果、菊野の傷は骨まで達しており、試合続行は不可能。規定により無効試合に。無念の表情を浮かべた菊野だったが、アクシデントだけはどうしようもなかった。
大会後、谷川貞治プロデューサーは、菊野の無差別級マッチはまた組みたいとしながらも「今日の試合では肯定も否定もできないですね。小見川選手が勝ったといっても、危険なものは危険なので」とコメント。面白いからどんどんやる、というスタンスではなく、あくまで慎重だ。
また、谷川プロデューサーによれば、菊野、小見川の参戦をきっかけに、巌流島に出たいという日本人選手が増えているという。菊野、小見川に吉田、シュレック関根、シビサイ、原、さらに外国勢ではヴィニシアス。“巌流島一座”ともいうべきメンバーが揃ってきたことは、今後のプラスになるはずだ。次回大会は9月2日(土)、今回と同じ舞浜アンフィシアターでの開催を予定している。