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【10.21巌流島大会レポート】菊野がトーナメントを制し全アジア武術王者に! 敗れた小見川はワンマッチでの再戦を要求!

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公開検証を4回終えた巌流島が10月21日(金)、都内・国立代々木第2体育館で本大会をスタートさせた。

オフィシャルサイトでも発表されている通り、ルールもより、整備されたものになり、マウント状態でのストップのタイミングが明示された。パンチで意識が飛ぶような状態になったら即終了。また、パンチを打たれている方が寝技タイムリミットの15秒を待ち、自分の頭部顔面を両腕でブロックするだけの状態になったら、一本負けを取られる可能性もあることになった。つまり殴られている選手はガードするだけでなく、その体勢をなんとか崩すか逆転するような動きをとらなければならない。ただジッと頭部顔面をディフェンスしているだけではダメだということだ。

また、場外転落の場合、これまでは同体転落としてポイントにならなかった転落でも、落とした方に有効を与えられる場合があり、有効2回で1回分の転落と数えられることになった。このルール変更は、相撲系の選手は有利になったのではないか。

全試合が3分3ラウンドで行われた。

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オープニングファイトは、132キロのバル・ハーンと、99.4キロの吉田貴弘が、両者とも互いの重たい体重を、持て余すような闘いぶりで、すぐに息があがってしまった。2Rでは同体転落の場面で、闘技場の下で上になっていたハーンが吉田の頭部を殴りつけ、場外にいた審判2人が止めに入るシーンもあった。

結果は判定2-1だったが、重量級同士がスタミナ切れすると巌流島ルールではどうなるのか、その典型例として残るような試合だった。

トーナメント1回戦 第1試合 菊野克紀 vs ハ・ウンピョ

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入場式が終わり、いよいよトーナメント1回戦。第1試合は、大会前日の記者会見終了後に、菊野へ「あなたのファンです」と挨拶しにいったハ・ウンピョと、それを聞いて笑顔を返した菊野の対戦。ハ・ウンピョはキックボクシングのリングにも上がるテコンドーの選手だ。

テコンドーだけに限らないが、派手な動き、大きなアクションを用いる格闘技は、そもそも短時間しかベストの動きは出来ず、スタミナを集中して使うので、すぐに失速してしまう欠点がある。それに加えて、相手の選手が冷静で、しっかりした動体視力があれば、大きなアクションはすぐに見切られてしまう欠点もある。キックボクシングの試合だって、突発的なバックブローが当たってKOすることはあるが、アクションの大きいバックブローのほとんどは、相手にブロックされたり、ステップでかわされてしまうものだ。

どの競技でもそうだが、多くの格闘技の技は、その格闘技のルールの中で闘った時、そのルールに適した間合いで闘った時、有効なものが多い。違うルールで闘えば、磨いてきた技の全てが、フルに有効に使えるわけではないのだ。

菊野はテコンドーの間合いに、むやみに入ろうとしなかったので、あわてたのは自分の試合が出来ないハ・ウンピョだ。その結果、菊野にとってこの試合は、あえていえば“楽勝”という終わり方になった。菊野はノーガードの顔面を見せびらかし、相手が右フックで大ぶりに来たところをヘッドスリップでかわして、右フック一閃。豪快な一撃で勝負をつけた。

トーナメント1回戦 第2試合 イゴール・ペルミン vs アマラー・フーヘンフー

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第2試合に登場したイゴール・ペルミンは、ロシアの白兵戦闘術ハンド・トゥ・ハンドの猛者ということで注目されたが、モンゴル相撲・柔道・サンボ・MMAのキャリアを積んだアマラー・フーヘンフーに一本勝ち出来ず、3-0の判定勝利に終わった。

ペルミンは一度も転落を取っておらず、逆にアマラーは2Rと3Rに1度ずつ、転落を取っているが、副審3人のジャッジは、3者ともペルミンの勝利。でも、スタンドでの打撃戦になると、7センチ高いペルミンがアウトボクシングを駆使。パンチとキックの、いいコンビネーションを見せた場面もあった。

試合後、アマラーは「打撃戦でも勝負に行けたけど、転落を取っているので判定では勝っていると思い、あえてリスクのある接近戦には持ち込まなかった」と悔しさをにじませる。確かにアマラーのいいパンチが入るシーンもあったし、MMAの経験がだてではない所を見せていたが、判定で勝つための試合をしていると、プロとしては評価されづらい現実もある。

でもペルミンの方も猛攻を仕掛けたのは3R、自身が転落を喫したあと、首相撲からのヒザ蹴りラッシュと、首投げで叩きつけてからのパウンドぐらいだった。最強の白兵戦闘術を自認するぐらいなので、接近してキチンと仕留めに行くかと期待したが…。両者とも準決勝進出を念頭においてのファイトだったか。

トーナメント1回戦 第3試合 小見川道大 vs ジャン・ウェンシェン

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第3試合はNEO柔道を掲げる小見川道大が、プロ散打のジャン・ウェンシェンに快勝。まず巴投げからのマウントパンチで寝技15秒ブレイク。次に狙った巴投げは、早くも見切られたのか失敗し、小見川は背中を闘技場につけてガードポジションをとるが、ジャンがインサイドガードから右ヒジで小見川の胸を小突いたので、ヒジ打ちの反則を取られて警告1(2度で減点1となる)。

ここでブレイクとなり、スタンドで再開となったのが小見川にとっては良かったのか、左フックがあっさり入り、ジャンはダウン。1R68秒で勝負は決した。寝技のない散打の選手は、スタンドでの打撃が専門なのに、まさかこんなにあっさり、いい一発をもらうとは。

トーナメント1回戦 第4試合 クンタップ・チャロンチャイ vs アリ・マルバクティアリ

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第4試合はカンフートーア王者のイラン人、アリ・マルバクティアリが、ムエタイのクンタップ・チャロンチャイを3-0判定で下した

前回大会で菊野に1R4秒で敗れているクンタップは、復讐に燃えての参戦。相手の道着の肩のあたりを掴んでヒザ蹴りを入れたり、闘技場ぎわで見せたうっちゃりには、確実に練習の成果が見て取れた。でもスタンドの打撃の攻防になると、クンタップにはムエタイの間合いが染みついているのではないか。

この試合はムエタイの試合でもなく、相手はムエタイ選手でもない。相手は未知の格闘技、カンフートーアの選手なのだ。間合いも、蹴り方も違う。これに対応するには、頭の中を柔軟にして対応しなければならないはずだ。

1R序盤、クンタップはアリの伸びてくる左の変則的な蹴りを2発、右腕に食らって、後ろに転倒した。右ローを狙って蹴りあげたところでの尻もちだったが、正直、クンタップにとって見栄えはよくなかった。このシーンで、アリの打撃の圧力が印象づけられたし、スタンドでのカンフートーアの打撃がムエタイを凌駕する可能性も、見せつけられたからだ。

2R にはクンタップが力なく放った右ミドルをキャッチしたアリが、そのままブン投げるようにしてクンタップを場外に放り出している。ムエタイが最強と信じているファンにとっては、目を覆いたくなるような光景だろう。

両者ともスタミナはロスしていたが、判定結果に異論の余地はない内容だった。

トーナメント リザーブファイト 毛利元就 vs アディチャ・カトカデ

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続いておこなわれたのはリザーブファイト。総合格闘家の毛利昭彦の相手となったのは、コシティと呼ばれるインドレスリングの選手、アディチャ・カトカデ。

コシティは掴める着衣を着こんで行うものではないので、巌流島で闘う選手が着こむ道着の肩のあたりを両手で掴まれ、コントロールされると、なす術がない。ヒザ蹴りを食らい、うつ伏せに倒されると背後から顔面に右パンチをもらい、そこからパウンドの連打。毛利はカトカデに善戦させることなく、一方的に勝ちをもぎとった。

トーナメント準決勝 第1試合 菊野克紀 vs イゴール・ペルミン

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続いて準決勝第1試合。結論から書けば、ペルミンと3Rフルタイム闘った菊野の3-0判定勝ちだった。菊野は時に右足を前に出し、時に左足を前に出して構えて、相手に間合いを計らせまいと、変幻自在に闘っていく。身長で7センチ高いペルミンの方が、間合いで苦戦しているのが面白い。菊野、恐るべしである。

ペルミンは菊野との間合いに慎重になり、3Rには間合いを掴んでラッシュをかけたシーンもあったが、時すでに遅し。結局この試合でも、「実戦になれば負けない」と豪語するロシアの白兵戦闘術では、相手から一本取ることも出来なかった。でもこの選手、ワンマッチだったら今回のトーナメント以上の力を、発揮する気がする。見たこともない瞬殺・白兵戦闘術なんて、やっぱりないのか、それともあるのか。再上陸を望みたい。

トーナメント準決勝 第2試合 小見川道大 vs アリ・マルバクティアリ

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第2試合では、小見川が1回戦に続いて、またしても1R勝利。カンフートーアのイラン人、アリを右フックからのパウンドで156秒勝利を飾った。

アリは1回戦の強豪クンタップとの試合で右拳をかなり痛めており、骨折も疑われるほどの痛みを隠しての小見川戦だった。小見川にいいパンチを入れるシーンもあったが、拳が痛かったのか、深追いしなかった。決定打となった右フックは、あまりにもイージーにもらいすぎた。でもこの選手も、ワンマッチだったら今回のトーナメント以上の力を発揮しそうだ。クンタップ戦を見れば、そう思わざるを得ない。

スーパーファイト 星風 vs ホンシュウ・ビワコ

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続くスーパーファイトは2試合。最初の試合では大相撲・元十両の星風が、ナイジェリア出身のホンシュウ・ビワコに1R2分で快勝した。ビワコはナイジェリアで行われている、右腕に荒縄を巻きつけて殴り合う「ダンべ」と呼ばれる闘いを経験してきたそうで、「ダンべ」の映像は巌流島HPでも公開されているが、いくらホコと盾を想定した構えから殴りあうからといって、ボクシングテクニックらしいものは存在していないように思える。ボビー・オロゴン氏の推薦による出場なので、「また怪しい人を呼んできたな」という思いはぬぐえないのだが、ビワコは日本語も少し喋れて、「ホンシュウは日本の名前、ビワコはナイジェリアの名前」と名乗る。まるで“北海道阿寒湖”のような名前だが、「パスポート通りです」とオロゴン氏。

前々回の大会で、星風とボビー軍団の対立には火がついており、殺気立った展開になるかと思われたが、結末はあっけなかった。最初、ノーガードで突進する星風に右フックを入れ、星風に片ヒザをつかせたビワコだったが、闘技場中央で豪快に投げられてマウントを取られると、マウントパンチの嵐から脱出するための動きが全く出来ていない。これは寝技15秒ルールで救われた。

スタンドで再開し、組みつかれると、ジリジリと下がるビワコ。闘技場ぎわでビワコがスープレックスのように持ち上げ、星風の体を場外に放り投げると、客席から大歓声があがったが、ビワコは途中で力尽き、星風がビワコの上からおおいかぶさるようにして同体転落。これを審判は、星風の有効とジャッジした。

続く組み合いからも、星風が怒涛の押し出し狙い。これも同体転落に見えたが、ジャッジは星風の有効とジャッジし、これで星風は転落1を獲得したことになった。

続いて星風の押し出しで同体の形で転落するも、これは現行ルールでは明らかに星風の有効。ところがこの転落で、後頭部をしたたか雲海の下に打ちつけたビワコが、すぐに立ちあがることが出来ず、試合の続行は危険と判断した審判が試合を止め、星風の勝利とした。

ビワコの身体能力の高さは垣間見えたが、巌流島で闘う技量がどのくらいあるのかは、謎のまま終わった。体重差は29キロ近くあったので、結末はビワコにとって、いたしかたないものだったか。でも、こういう勝ち方ができるのも、暴走戦士・星風ならではか。星風はこの試合で、巌流島で生きる可能性を広げた気がする。

スーパーファイト マーカス・レロ・アウレリオ vs ミケーレ・ベルギネリ

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次の試合では、巌流島に出場する格闘家のバックボーンの中でも異彩を放ちまくる、イタリアの喧嘩フットボールことカルチョストリーコのミケーレ・ベルギネリと、ブラジルのカポエイラ戦士、マーカス・レロ・アウレリオが対戦。

冒頭でも同じようなことを書いたが、私は大きなモーションからの攻撃を得意とする格闘家の連続した動きは、1分と続かないと考えているし、必ず息切れする時があると思っている。だから、その激しい、嵐のような蹴りの舞いから身を守り、しのぎ切れば、必ず相手に勝つチャンスが訪れると思っていた。レロはこれまで、短時間で勝った時はカッコ良く決めているが、それはカポエイラが実戦的だと証明したのではなく、速攻がはまったからだと思っている。まして今大会では84.9キロで登場。彼本来の動きで闘うためには、もう少し絞る必要があると思われた。

対するベルギネリは、前回大会でグラウンドになった時、すぐにうずくまって防御に撤してしまったので、スタミナがないという声もささやかれたが、この時はヒザの手術をしたあとだったし、防御に撤したのも、それで戦闘意識の欠如=負けと取られると思っていなかったからだった。カルチョストリーコの映像を見たら、球技と喧嘩が合体したような競技で、途切れることなく試合が流れている。これで闘っている選手にスタミナがない、なんていうことは考えにくい。ラグビー選手に「あなたはスタミナがない」と言ってるようなものだからだ。

そもそも現代のカポエイラは、人の輪の中に2人ずつ、次々入れ替わりながら誰かが入って行き、逆立ちをしたりして、お互いに当たらないような足技を出しながら、音楽に合わせて踊っていくものだ。かつては違ったものだったのかもしれないし、その蹴り方を実戦に活かすことは出来るが、それだけでは巌流島で勝ち続けることは難しいと思っていた。

それでもレロは、カポエイラらしい勝ち方で自分をアピールしようとしていた。それが巌流島から求められたプロとしての勝ち方であり、自分の個性を際立たせてスターになるための勝ち方だったからだ。

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でも1R中盤、早くも勢いは衰え、浴びせ蹴りのように放った蹴りは、ミケーレに体でブロックされ、寝技に引き込まれてボディを殴られた。大きなモーションの蹴りが速度を失えば、あっさり見切られるようになる。こんなシーンが2度続いた。

呼吸を整えることができるインターバルのあとは動きが良くなるのだが、契約体重85キロに合わせて増量したレロは、先手を取っても逆転されていく。両者ともMMAの経験があるが、レロが寝技になると防御を主体としたのは、スタミナ温存を図って、カポエイラらしい打撃での勝ち方にこだわったからだった。

3Rに放ったレロの回転蹴りは、威力はあったが足が高く上がらず、ミケーレはボディで受け止めた。モーションに入った直後、何が来るのかすぐにわかったのだろう、ミケーレは両腕で顔面と側頭部をガードしている。これではカポエイラの蹴りが後頭部近くに強く入らない限り、KOは奪えない。

終盤は回転蹴りがミケーレの頭部をとらえたものの、大きなダメージは与えられず、ミケーレは寝転んだままのレロに痛烈な右パンチを叩き落とした。派手に蹴った後、無防備に寝ていたのでは、巌流島ルールでは勝てない。

判定は2-1でミケーレの勝利だったが、ここでレロが負けたことは、彼がカポエイラで勝つことの難しさを自覚するうえで、意義のある敗戦だったと思われる。適正体重で闘うことも含めて、むしろ僕には今後のレロに興味が膨らんだ。この男が負けたままで終わるはずがないからだ。どう変身をとげてくるか、今から楽しみでならない。

トーナメント決勝戦 菊野克紀 vs 小見川道大

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大会最後の試合はトーナメント決勝戦。決勝に進出したのは、沖縄拳法空手の菊野と、NEO柔道の小見川だ。

菊野は、前回大会で4秒で失神させたクンタップの一回戦の判定負けを少し見ていたという。相手のカンフートーアの選手も強いなと思っていたら、その選手を準決勝で小見川が1R で倒したので、小見川のことを「やっぱ、すげえな~。イキイキしてるな~」と菊野は思ったという。でも、準決勝をフルラウンド闘った自分が、これで不利になったとは思わなかったそうだ。菊野も小見川も一回戦では1Rで勝っているので、「むしろ3Rまで闘った時のイメージが僕には持てた」と。その分、有利に立てたと感じたというのだ。でも、菊野の右ヒザと右スネ、右足の甲には、打撲による蓄積したダメージを緩和させるためのサポーターが巻かれていた。

1R、小見川は一本背負いで投げたが、背後に密着した菊野は、バックマウントに近い体勢からパンチを打っていく。菊野は両足の先をフックさせ、ホールドしていたが、そこから小見川が脱出したところで寝技15秒のブレイク。そのあと、小見川は巴投げで軽々と、菊野を場外へ転落させた。

しかしすぐ、菊野は右フックを決め、小見川を突き押して、転落を奪い返す。さらにエプロンで打撃の攻防になり、後ろから突き押された形になった菊野は転落しかけたが、ぎりぎりで体勢を立て直し、エプロンを小走りに走って逃げ切った。この時、立ち止まって見ていた小見川はあわてて追いかけたが、あとのまつりだった。もし小見川が立ち止まらずに、あとひと押ししていれば、菊野は転落していただろう。そうすれば判定にまでもつれれば、小見川にとっては大きなアドバンテージになっていたかもしれない。転落を奪うための瞬時の判断が出来なかった小見川。僕にはこれが大きなミスのように思えた。

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そして2R。菊野が戦慄の左前蹴り。これがモロに小見川のみぞおちに入り、その勢いで下がる小見川は苦しそうに左手で腹を押さえる。それに向かって菊野が突進。右の前蹴りで追い打ちをかけ、闘技場のきわに倒れた小見川の右顔面に左パンチを3発。小見川は必死に巴投げの要領で菊野を投げたが、これは同体転落に。しかし小見川は、みぞおちへの蹴りが効きすぎて、右手で腹を押さえ、すぐには立ち上がれない。その様子を見て、主審はTKOと判断。試合は決着した。

試合直後こそ小見川はバックステージに帰ってきて「まだ出来たんだけどなあ」「あれで終わりですか?」と不満を口にしたが、菊野の蹴りは反則ではないので、ちょっと休んでから再開というわけにはいかない。もし続行していたら、みじめな負け方をしていた可能性が見えてくる。本人もしばらくすると、清く負けを認めていた。でも小見川はすぐ、ワンマッチによる再戦を希望することも忘れなかった。菊野35歳、小見川40歳。この闘いに“もう一回”はきっとある。

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巌流島は、ロープもコーナーポストも、金網もない闘技場で闘うので、とにかく客席から見やすい。試合に関しては、転落という決着のつけ方があるので、それに伴う投げの魅力がフューチャーされていることが大きい。MMAでは投げただけでは勝敗に結びつかないので、軽視されがちだが、雲海に転落するかしないかの攻防は、実にスリリングな場面も生んだ。

それにしても世界には、日本人が知らない格闘技がまだまだあるんだと思い知らされた。そういう選手がこの比類なき、転落というゲーム性を帯びた“武道エンターテイメント”の場に集って、競い合ってくれることは、格闘技ファンにとって至福の時なのだ。

ルールも整備され、4度の公開検証を経た成果は、きちんと出せた大会だった。巌流島はこれからも見る者に、未知の喜びと驚きを与えてくれる大会になりそうだ。

(文/安西伸一)