MMA8戦無敗・岩﨑大河が柔術世界王者ロバトJrの対戦相手に決定！ こんな日本人がまだいた！

元ベラトール・ミドル級王者でMMA無敗の柔術世界王者ラファエル・ロバト・ジュニアが、突如『INOKI BOM-BA-YE×巌流島』に参戦を表明して来たのは、すでにお伝えしたとおり。さすがにこんな大物が名乗りを挙げてくるとは予想もつかなかったため、谷川貞治プロデューサーも「相手が思いつかない」と一般公募までした。しかし、ここにきてその谷川Pが「満足度100％　私が格闘技を見てきた試合の中でも、特に強烈に印象に残っている試合を思い出させてくれた」というほど、ワクワクする挑戦者が現れた。

MMA無敗の元ベラトール王者、ラファエル・ロバト・ジュニア

その「強烈に印象に残る試合」とは、1994年のUFC第2回大会で実現したホイス・グレイシーvs大道塾の市原海樹の決闘だ。1993年アメリカのコロラド州デンバーの片田舎で突如グレイシー一族が開いた「何でもあり」の大会・UFC。試合場は金網。ルールは、素手で目つきと噛みつき以外は全て有効の何でもありで、しかも時間は無制限。

最初は眉ツバもので見ていたこの大会。プロレスじゃないかとも思われていたが、いざ、蓋を開けると全世界の格闘技流派を震撼させ、最強や実戦の概念を根底から破壊するほどの衝撃を与えた。この50年間の格闘技の歴史の中でも、最も重要かつ、歴史が動いた大会といえよう。

それは、空手が強い、柔道が強い、いやプロレスだ、相撲だ、ムエタイだと、これまで格闘技の永遠のロマンで、論争の核になっていた「最強論争」が、実際、ルールなしでいろんな流派を闘わせると「こうなるんだ」という、一つの答えを出してしまったのだ。

それを確信犯として見せつけたのは、当時は誰も知らなかったグレイシー柔術。日本人が世界に伝えた柔道が競技化されて「世界のJUDO」になっていく真逆の方向で、地球の裏側ブラジルで実戦に役立つ柔道として「ブラジリアン柔術」が磨かれていたことに我々は衝撃を受けた。

アントニオ猪木がやってきた異種格闘技戦が、進化した形がまさに初期ＵFCということもあって、プロレスファン、格闘技ファンを巻き込んで右往左往の大騒ぎ。しかも、誰も知らない存在であったが、どんな格闘技にも負けないグレイシー柔術が当時の「最強」に一気に躍り出た。そのグレイシー柔術の代表に抜擢されたのが、一族の中でもか細いイメージのホイス・グレイシーだった。

か細いホイスだが、他の格闘技を代表するジャンルの猛者たちの中で、ただ一人、競技者の顔をしていなかった。一族の名誉と、他流試合での敗北イコール「死」につながるとでも思っているような悲壮感。蛇のように相手を睨みつけ、スポーツの枠内の勝ち負けでないところで闘っているような凄味を漂わせていた。

1994年に行われたUFC２で、そのホイスに真っ先に挑戦したのが、大道塾のチャンピオン市原海樹だった。

大道塾は「地上最強のカラテ」を標榜する極真空手の全日本王者・東孝が作った流派で、顔面攻撃がない極真空手に疑問をもち、空手に顔面攻撃、投げ技、関節技、金的蹴りまで取り入れ、実戦での空手を追求。最初は「格闘空手」と謳っていたが、今や空手ルールを完全に超越していることから「空道」と命名しているのは周知のとおりだ。

「自分の目標はUFC王者になること。初期UFCで市原先輩が、そして加藤久輝先輩がベラトールでメルヴィン・マヌーフにKO負けしている。その忘れ物を取りにいく」と神技ラファエル・ロバト・ジュニアの挑戦者に名乗り上げてきたのは、その大道塾の若き王者・岩﨑大河だった。

市原がホイスに負けた時、岩﨑はまだ生まれていない。それなのに、いまだこういう選手が出てくる大道塾はすごい団体だ。そういえば、大道塾・北斗旗王者から寝技の重要性を考えて飛び出し「慧舟會」を作った西良典も、最初にヒクソン・グレイシーに挑戦した日本人となった。つまり、ホイス、ヒクソンといったグレイシー柔術の最強戦士に真っ先に挑戦したのは、大道塾の遺伝子だったのだ。谷川プロデューサーも、岩﨑の挑戦を聞いて身震いしたという。

岩﨑大河も現在MMA8戦無敗の修斗の有望株。ラファエル・ロバトが巌流島ルールを希望しているのに対し、岩﨑のほうが「今回は言い訳の効かないMMAルールでやらせてほしい！」と逆直訴した。市原や加藤といった先輩のリベンジのためのMMAルール。ラファエル・ロバトも「新しいことをやりたかったが仕方ない。挑戦を受けるよ」と快諾してくれた。

岩﨑大河vsラファエル・ロバト・ジュニアの5分3ラウンドのMMAルール決定！　岩﨑大河は大道塾の忘れ物を取り戻せるか？

12.28チケット情報⇒ 『INOKI BOM-BA-YE×巌流島in両国』