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猪木酒場、一夜限りの復活! 猪木祭りのキーワードは「道」

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inoki文◎谷川貞治(巌流島プロデューサー)

 

青春とは何か?……思い起こせば、私の青春の大部分は“アントニオ猪木“という存在が占めていた。

1週間のサイクルは金曜日夜8時の『ワールドプロレスリング』と木曜日発売の『週刊ファイト』が基軸となり、近所の愛知県体育館で猪木の試合を見るのが人生最高の贅沢だった。

おっと、『四角いジャングル』が連載されていた『少年マガジン』を立ち読みするのも欠かせないサイクルだった。ひまわりナッツも、アントン・マテ茶も、何とか苦労して手に入れて、食べるほどに飲むほどに強くなる気がした。アントン・マテ茶発売記念サイン会が松坂屋の屋上で開かれると、並んで猪木さんに握手してもらった。その時手に入れたサイン色紙と写真は生まれて初めて持つ宝物になった。

学生時代、全く格闘技と関係のない運動部に所属しながら、練習ではいつも猪木顔で「ウッシャ!」と気合いを入れていた。試合では他校の奴らが国際軍団に見え、「来い! このヤロウ!」という気持ちで闘っていたし、格上の学校を前にすると、ブロディやハンセンと向き合うような緊張感を覚えた。

女の子にフラれれば、猪木さんが書いた『君よ、苦しみの中から立ち上がれ!』を読んで励まされ、タンスに足の小指をぶつけたりしたら、脳内で「イノキ・コール」が鳴り響き、痛みに耐えたりもした。もちろん、学校に遅刻しそうになった時、自転車を漕ぎながらいつも頭の中で流れる音楽は、炎のファイターだった。

おそらく、学生時代の友人に私のことを聞いたら、そんなヤツだというだろう。でも、我々の時代の男の子は、みんなそんなもんだった。金八先生も太陽に吠えろのマカロニ刑事も再放送でしか見たことがない。ショーケンも松田優作も、ぼくらの時代のアイドルだったが、アントニオ猪木ほど夢中になれなかった。

12・28両国国技館では、そんな猪木さんに夢中になった頃の気持ちを思い出してプロデュースしたいと考えている。間に合えば、グッズ販売でもタバスコやひまわりナッツ、アントン・マテ茶、最後に食べたガリガリ君まで売りたいし、猪木さんとやったファスティングや豆腐パンも復活させたい。

だいたい「猪木さんが元気になるためのイベントを!」という話をもらった時、真っ先に浮かんだのが「北方領土や尖閣諸島で『INOKI BOM-BA-YE』をやりましょう!」と提案することだった。それこそ、巌流島だ。猪木さんはそのくらいのスケールの大きな話じゃないと喜ばない。

猪木ファンなら、理解していただけるかと思うが、猪木さんのお別れ会では、ヘリコプターで4000メートル上空からスカイダイビングで遺骨が登場するくらいしないと喜ばない人だ。“スカイダイビング葬”。国立競技場のDynmaiteでは、地上に降りた後、凄い怖い顔で、マジで「バカヤロウ〜!」と叫ばれたけど、一度だけお供したカラオケで猪木さんは、沢田研二の『TOKIO』の曲で「猪木が空を飛ぶ〜♪」と、あの満面の笑顔で歌っていた。

そういう思いきりの猪木ワールドで、ファンが青春を思い出せる追悼イベントを作るのがテーマだろう。ああ、時間がほしい。あれもやりたい、これもやりたいことがいっぱいある。そうだ、思い出した! 両国国技館では、あの伝説の『アントニオ猪木酒場』も復活させよう!

両国国技館には大広間もあるから、あそこに『猪木酒場』を再現し、VIPの特典にしたら喜ばれるんじゃないか。タイガー・ジェット・シンのサーベルにソーセージを突き刺したヤツとか、ジャーマン・ポテトなのになぜか『ジャーマン・ポテト・スープレックス』という名前がついていたり、サラダだけど、女性店員が「1・2・3・サラダー」と振りかけてくれたりする猪木信者の聖地。これは、ぜひ復活させたい。実現させたい!

『INOKI BOM-BA-YE』はどんな試合をやるかといったら、総合格闘技のイベントでも、キックのイベントでもない。年末の総合格闘技は「RIZIN vsベラトール」が圧倒的に面白いだろう。プロレスは1・1のノア武道館大会や1・4新日本ドームが断然面白いに決まっている。それをやっても勝負にならないし、侵食するつもりもない。では、その中で何で勝負するか? それは猪木さんがやってきた異種格闘技戦だ。

また、これは次世代のプロデューサーをめざす若い方に言いたいのだが、過去の思い出を過去のままで再現しても、絶対にうまくいかない。年月は恐ろしいもので、たとえばファイターも過去の名勝負を再現しても、力の衰えを感じるだけだ。もしかしたら、過去の輝かしい記憶が塗り替えられてしまうかもしれない。「過去のレガシーで未来を見せる!」。それでこそ、イベントは成功すると思う。それこそ、猪木さんの好きな言葉“道”が見えていくのだ。

追悼イベントだからこそ、新しい“道”を見せる!

その一足が道となり、
その一足が道となる!

まさに、それが猪木さんの遺言なのだ!

 

12.28両国大会の情報はコチラ⇒ 『INOKI BOM-BA-YE×巌流島