NEWSニュース

【衝撃の映像】こりゃヤバいよ! あの『セネガル相撲』が遂に日本上陸! 巨漢のアフリカ人が素手で殴り合うド迫力に息をのむ!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
ph01

あのグレイシー柔術を世界に広めた安西伸一記者(元『格闘技通信』)がセネガル相撲普及に立ち上がった!

「巌流島」にアフリカ最西端の国セネガルから、セネガル相撲の選手が参戦するという。そこでセネガル相撲のことを調べていくと、おもしろいことが次々わかってきた。
日本の地上波の番組では2013年末の「世界!ふしぎ発見」でも少し触れられ、2014年には「世界の村で発見!こんなところに日本人」でも紹介されていたので、気にはなっていたのだが、あらためてネットで検索してみると、興味深い映像が次々出てくるのだ。
とにかくトップ選手のガタイが、ものすごい。身長はボブ・サップほど大きくはなさそうだが、ボブ・サップやマーク・ハントのような体格と言ったらいいのだろうか。とにかくアンコ型ではない。太っているというより、筋肉が太い、という感じなのだ。そんな黒人力士たちが短パン姿で、屋外の土の上で相撲をとっているのだ。
しかもこの競技は、パンチあり。直径25メートルほどの円(サークル)が、巨大スタジアムのグラウンドに形づくられ、その中で素手で殴りあいながら組みついていき、投げ飛ばす。
勝敗は両ヒジと両ヒザの4ポイント、もしくは背中が地面につくか、尻もちをつくかで決まる。10分で決着がつかなければ、10分延長。それでも決着がつかなければ、また10分延長。それでも決着がつかないときは3名のジャッジによる判定に持ち込まれ、ドロー裁定もありうるという。
巨漢選手が素手で殴り、タックルし、持ち上げて土の上に叩きつけたりするのだから、えげつない迫力だ。しかも選手たちは、部族、村、地域を代表して大会に出てくるので、客席の応援がすごい。
さらにこの競技には太鼓がつきもので、各選手についている演奏隊が、民族打楽器を激しいリズムで打ち鳴らすのだ。有名選手にはそれぞれ違うリズムが決まっているので、そのリズムが聞こえただけで、次は誰が登場するのか、わかるのだという。
そしてその激しいい太鼓に合わせて、選手や選手の仲間たちが、選手ごとに決まっている踊りを、記者会見で、地元のイベントで、試合前のグウンドで踊るのだ。こうして近づく試合が盛り上がっていく。ビッグマッチには4万、5万という観衆が集まるそうだ。

セネガルは首都ダカールがパリ・ダカール・ラリーの終着点として名をはせ、アフリカ諸国の中では比較的、経済が発展した国だが、貧富の差はあり、貧しい人々、農村などから一攫千金を夢見て、プロ力士になる選手もいるという。一流選手になると年に1、2回試合があり、1試合で1千万円から2千万円ぐらい稼げるそうだ。
子供の頃から少年たちはセネガル相撲に親しみ、村や海岸で取り組みをしたり練習したりしている。ただしパンチありのルール「インパクト」は、18歳にならないとできない。
また、日本の相撲のまわしにあたるようなものは、つけてはいるが、日本のもののように太く頑丈ではないので、組み合うと短パンのスソをつかんだりはしているが、まわしをつかんでガップリ四つ、ということはない。相撲というよりレスリングのような感じになる。
そこから足をかけて倒したり、相手の腋に片腕を入れて投げたりする。相手のまたに手を入れて、抱えあげて背中から落としたり、そり投げというか崩れたスープレックスのような投げで、地面に相手を叩きつけてもいた。
勝負に勝った選手は、グラウンドを駆け回って大騒ぎ。スタンドの観客は立ち上がって大騒ぎ。太鼓の音は、それをあおるように響き渡っていた。
現在、選手は3000人ぐらいおり、競技は政府の機関が管轄していて、誰でも大会をプロモートできるが、試合は機関から派遣される審判が裁くことになる。
小規模な大会から大規模な大会まで含めると、この競技は国中のいたるところでおこなわれていて、同国内ではサッカー人気も高いが、国技であるセネガル相撲はそれ以上の人気のようだ。

そのスケール感と国民の盛り上がりは、以下の3本の動画に表れている。
1本目と2本目は、2014年1月8日にセネガルで生中継された番組。ゾスという選手とグイギという選手が2度目の対戦を控え、観客を前にステージ上で紹介されている。(最初の対戦ではゾスがかっている。)
1本目はまず、タレントの出川哲朗のようなモロコシ頭をしているゾスがステージに出てきて、太鼓に合わせて激しく踊り、先にステージに座っていたグイギの目の前にきて挑発。グイギが怒って立ち上がり、にらみ合いに。その間も激しく鳴り続ける太鼓が、イヤでも人々の感情をあおりたてる。そして司会者が、写真撮影用にとゾスにゾスにポーズを頼むと、ゾスは両拳を握ってファイティングポーズ。こうなってくると、相撲というより武闘というイメージだろう。
終盤では民族衣装を着た人物が「相手を殺さないように。ちゃんとルールを守って闘うように」という内容のことを言っている。これが相撲か!?と、日本人ならツッコミをいれたいところだろう。
2本目は、とにかくグイギがマイクを持って、大声でまくしたてている。その内容は、この日より前にゾスが、「グイギは全然練習してないよ。ゴロンと寝て食べてるだけ。まるでミシュランのタイヤのようだ」と言ったことに対して、怒り狂っているのだ。「俺は悪口なんて何も言ってないのに、なんでこんなこと言わればきゃならないんだ! どうしてこんな相手を尊敬できるんだ! 今度の試合は人生で一番大切な闘い。絶対に勝つ。ゾスが病気になって試合を休むことのないよう、祈っているよ!」
続けてスタジアムでの試合映像、人気選手のタイソンのショットなども映る。
再びライブ映像に戻り、今度はゾスが静かに反論。でも次第に声が荒くなり、両雄は一触即発。あわてて止めに入る関係者。…とにかく熱い熱い映像が続く。
3本目は長編で、試合が決まった選手をドキュメント風に追い、地元の盛り上がりなども試合とともに収録されていた。  格闘技ファンなら、セネガル相撲を見て損はない。この尋常ならざる力士とサポーターたちの爆発ぶりを、とにかく映像で感じてほしい。
なお、ここまで書いてきたことは、日本在住6年のセネガル人男性に話を聞いて、記したもの。言葉のやり取りは完璧ではなかったことはご了解いただきたい。
また、1本目と2本目の映像に出てきた選手は、トップグループの中の下位選手とのこと。上位選手になると、このような激しい言葉のやりとりなどもなく、紳士的で格式あるものになっていくそうだ。現在、人気実力ともに上位にいるのは、モドゥロ、ウェムセンといった選手だそうで、どちらも体格は、息をのむほどでかい。
セネガルはアマチュアのすそ野も広く、人材の宝庫と言えそうだ。セネガル人に「巌流島」が乗っ取られる日は、近いのかもしれないぞ!?

最後にセネガルが誇る人気歌手、ビビアン・シディッドさんが歌い上げるセネガル相撲をテーマにした『チャンピオン』という名曲を聞きながらお別れしましょう。ごきげんよう、さようなら。

文/安西伸一(フリーライター)

セネガル相撲とは?

Hatena Keyword より

セネガル・レスリング(セネガル相撲)は現地のウォロフ語では『ランプ』と呼ばれる。伝統的なレスリングと素手のボクシングを合わせたスタイルの競技だ。

試合は全国にテレビ中継され、注目度の高い試合になると、6万人を収容できるスタジアムが観客で埋まる。チャンピオンは国民的ヒーローとなり大金を稼ぐことができる。

トップクラスのレスラーは、一試合につき8万5千ユーロの前金を受け取り、地方で行われる試合でも、強いレスラーなら1試合につき300ユーロの報酬を得られる。しかし、賞金が導入されたのは1960年代以降のことだ。

伝統的に「ランプ」は若い男性が結婚相手を見つけるためのものだった。何世紀も前から続くこの伝統あるスポーツでは、試合前の演出や儀式もレスリングそのものと同じぐらい重視される。イスラム神秘主義の指導者マラブーたちが、ファイターの幸運を祈ってお守りと魔よけを作り、悪を遠ざけるために体に薬液と牛乳をかける。