遂に伝説の空手家・数見肇登場! 「岩崎選手は私と似たタイプ」
遂に巌流島が、あの極真の伝説の空手家・数見肇館長にインタビュー! 岩崎徳正選手がどういうタイプで、1・3巌流島でどう闘うのか聞いてみた。数見館長をして「自分とよく似ている」と言わせる岩崎徳正。数見空手とは一体何か?
不動心を意識し、自分の組手を貫き通せ
——数見道場のコンセプトを教えてください。
数見 うちの道場は、古流の空手をベースとして、「空手とはどういうものなのか?」というところから始まっています。私自身も格闘技で育ってきたわけですが、本来の空手とはどういうものかを考え、今は型を通して、型で稽古をして、空手の体を作っています。それと私が目指しているのは「護身」であって、勝つというよりも、負けないということです。相手の攻撃に対して、しっかり防御するというところですね。
——門弟の岩崎選手が1.3巌流島に参戦するわけですが、数見先生から見て、岩崎選手はどんなお弟子さんでしょうか?
数見 彼はもともと学生キックをやっていて、20代になってうちに入って、非常に熱心に稽古を続けてきました。性格は私と似ていて、わりと楽観的なところもあるのかなと思います。僕以上に度胸があるというか、腹が据わっているのはすごく感じますね。緊張している姿はあまり見たことがないです。組み手のスタイルとしては、自分からガンガン攻めるというよりも後の先ですね。相手に攻撃させて、そこで入るスタイルで、当て感が非常に良いです。あと私と一緒に稽古していて、言ったことをすぐに体で理解できるタイプですね。
——岩崎選手は“生ける伝説”数見肇によく似ていると?
数見 僕が勝手にそう思っているだけですけど(笑)。
——言ったことをすぐにできるというのは、天性のものですか?
数見 闘い方や組み手には、その人の気性が出ますので、彼のもともとの性格によるものがあると思いますし、彼は非常にセンスもあります。そして、それ以上に努力家ですね。
——数見道場は、対外試合を10年間禁止されていたと伺ったのですが?
数見 そうですね。まぁ、禁止というか、対外試合に追われて、そこに向けた稽古だけになってしまうと、じっくり技を練ったりという作業ができなくなるかなという考えで、対外試合はしてこなかったですね。
——対外試合だとそのルールに特化した練習になってしまう?
数見 そうなんですよね。ただ、私自身、ちょっと考え方が変わってきて、試合というのは読んで字の如く“試し合い”なので、試合に出るからには勝ちを目指すんですけど、普段の自分の稽古がどれだけ発揮できるかなんですよね。自分もフルコン空手の試合をずっとやってきましたけど、あの舞台に立って、緊張の中で稽古をしてきたことをきちんと出せるかというのも、ああいう場じゃないと出せないのもありますし。以前は大会に出させないようにしていたんですけど、そういう機会があれば試していって、そこでまた自分に足りないものや良かったものを感じてもらうのもいいのかなと。試合っていうのは、練習でやってきたことができなかったり、逆に普段できない突拍子もないことができたりすることも稀にあるんですよね。そういう相手が本気でかかってくるギリギリの精神状態の中で、どれだけ自分の技が試せるかも大事だなと、最近は考えるようになりました。
——では今後は数見空手の選手の対外試合も増えそうですか?
数見 本人が希望し、そういう場があれば、チャレンジさせてあげたいとは思いますね。そういう意味でも、今回は岩崎に先陣を切って頑張ってもらえればと思います。
——ご自身の流派の試合と、対外試合では気持ち的に全然違うものなのでしょうか?
数見 対外試合だと相手が誰だか分かりませんから、その怖さがありますよね。その中で自分がやってきたことが、どこまで通用するかというのは、すごく良い稽古の場だと思います。
——1月3日の巌流島は会場にいらっしゃいますか?
数見 はい。会場で岩崎の試合を見させていただきます。
——巌流島にはどんな印象を持たれていますか?
数見 異種格闘技の舞台で、漫画の「四角いジャングル」の世界が現代に蘇ったようなイメージですよね。
——岩崎選手が対戦するのはキャッチ・アズ・キャッチ・キャンの選手なのですが、異なるジャンルとの対外試合に勝つには、どういったことが重要になりますか?
数見 自分の組み手をやり通すことでしょうね。もちろん結果は勝ち負けがありますけども、相手が自分と違うスタイルのときに、相手のスタイルに合わせてやってしまうのか、自分のスタイルを貫いてやるのかで全然違ってくると思います。自分のやってきたことを貫いて結果が出れば、次に繋がりますよね。勝ったなら何が良かったのか、負けたなら何が悪かったのか。そう考えると、彼のこれからの長い空手修行において、自分の芯を守ってやることは糧になると思います。
——数見空手の対外試合ということで、岩崎選手にはどんな試合を期待したいですか?
数見 これまでずっとコツコツと、空手の型の稽古を通して練ってきたと思いますので、自分のスタイルをきちんと出せるように頑張ってほしいと思います。それだけですね。
——数見館長が思う人間の強さというのは、どういうものでしょうか?
数見 どんな状況においても動じない心というか、腹が据わるというか。どんなことが起きても、腹が決まって、自分で決断でき、慌てふためかない、というのが個人的に目指しているところですね。色んな場面で生きていく中で、必要ですし、自分の中で欲しい部分です。私は選手のころから、そうありたい気持ちをこめて“不動心”という言葉を意識していました。空手の稽古を通して、そういったことが学べればいいかなと思っています。
——数見館長ほどの達人でもまだ到達しませんか?
数見 いや、私は全然まだまだ(笑)。やればやるほど自分の至らなさが身に沁みますので。やはり生涯修行だなと思っています。