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『SEI☆ZA』と『巌流島』はどこが違うのか?

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お題………「1.19 SEI☆ZA旗揚げ戦の感想」

 

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文◎谷川貞治(巌流島イベントプロデューサー)
 

1月19日(木)、後楽園ホールで『SEI☆ZA』という女子武道エンターテイメントの旗揚げ戦が行われた。道着を着て、丸い円形の舞台で闘う。ルールも似ていることもあり、『SEI☆ZA』は女版・巌流島というイメージが強い。

しかし、私は山口日昇とは長年の友人だが、厳密にいうと、巌流島と『SEI☆ZA』は資本関係も何もなく、たまたま偶然、二人共「これからの時代は武道だ!」と考えたに過ぎない。そこで、お互い協力できるところはしようということで、『大武道!』という本を一緒に出版したり、巌流島では山口氏に田村潔司のブッキングをお願いしたり……………そういう関係だ。

だから、私は『SEI☆ZA』の演出やルール、マッチメイクなどの会議にも出席したことはなく、何が行われるかよく分からないまま、当日の旗揚げ戦を見に行った。そこで私は『巌流島』と『SEI☆ZA』の違い、『SEI☆ZA』の進むべき方向について分かったことがあったので、感想とともにお伝えしよう。

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まず、巌流島と『SEI☆ZA』の決定的違い。私は武道エンターテイメント『巌流島』を企画する上で、最大のコンセプトを「公平な異種格闘技戦」と位置付けた。武道とはそもそも実戦を想定した「武術」が前提にあり、そこに武士の思想・哲学を取り入れて「武道」に昇華させたもの。したがって、試合は同じルールで闘って一番を決める「スポーツ」ではなく、「他流試合」=異種格闘技戦が前提にある。興行としても、世界中からまだ見ぬ武術、格闘技を集めて異種格闘技戦イベントを開いた方がウケると考えたのだ。そこで巌流島では、カポエイラやクラブマガ、セネガル相撲、ジークンドーといった未知の格闘技の強豪を集めて、それがプロレスや空手、柔道と闘ったらどうなるかという試合を見せている。武道=異種格闘技戦が巌流島の最大の特徴である。

しかし、『SEI☆ZA』は異種格闘技戦にこだわっていない。『SEI☆ZA』が考える武道エンターテイメントは、武の部分ではなく、道に光を当てようとしている。つまり、フツーの名前のない格闘技好きの女の子が、頑張ってどこまで強くなれるかという道の部分に力を入れているのだ。しかも、出場選手はほとんど外人。彼女たちを日本で共同生活させ、日々の生活をファンに見てもらいながら強くなっていく。「強い女子」を見せるのが、今流行りの『女子カク』ならば、強くなくても「頑張っている姿」を見せようとしているのが『SEI☆ZA』なのだ。

格闘技のイベントというのは、根底にプロの鍛え上げられた選手が、試合で強さを競い合うことが前提にある。格闘技のプロ興行は、実力測定の場で、そこをファンは見にいっていると言っても過言ではない。どっちが強いか? どんな技で勝つのか? しかし、『SEI☆ZA』を実力測定の場と捉えると、まるでレベル的に見れない。そうではなく、女の子たちの可愛さ、頑張っている姿、キャラクターを見せているのが『SEI☆ZA』なのだ。これは新しい女子カクというより、新しい女子プロレスに近い。ガチンコだけど、実力測定を重要視していない。そういうプロ格闘技は今までなかった。『SEI☆ZA』とは、そういう新コンテンツなのだ。

だから、ルールなんかも過激にするより、安全でもいいから、いかに彼女たちが頑張っているかを引き出せるようなルールがいい。『SEI☆ZA』チームの大将を務めたユリアは、MMAでも柔術の大会でも世界のトップクラスを争える実力者。しかし、『SEI☆ZA』は彼女をエースにして、彼女がどのくらい強いかを見せる必要は全くない。彼女とUFCのトップファイターと試合をさせるのは、他のリングの方がいい。ユリアは強いけど、それも一つのキャラクターに過ぎない。むしろ、可愛いけど、顔面を殴られただけで泣き出しそうなネパールの女の子。彼女たちの頑張る姿を応援するファンが増えれば、『SEI☆ZA』は一気にブレイクしていくだろう。とにかく彼女たちにいかに感情移入させるかが勝負だ。

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強さや格闘技術を見たい格闘技ファンを相手にする必要は全くない。むしろ、アキバ系のオタクファンを作った方がビジネスチャンスも広がりやすい。女子カクとも全然違う格闘技版AKB、ももクロ。そういうファンを育てることが、『SEI☆ZA』の進むべき道だ。巌流島が「公平な異種格闘技戦」に対して、『SEI☆ZA』は「育成型格闘技」。前者が「武」の格闘技イベントなら、後者は「道」の格闘技イベント。同じ武道でもそういう違いがあるのが、ハッキリと分かった。

そう考えると、私は旗揚げ戦を同じ「団体戦」でも「5対5」マッチよりも、「勝ち抜き戦」の方が興行的に爆発しやすいと思った。副将戦まで『SEI☆ZA』チームは全敗。しかし、最後に『SEI☆ZA』チームのユリアが5人ごぼう抜きで倒してしまう。そのくらいの方が爆発しただろう。でも、途中、負けたとはいえ、『SEI☆ZA』チームの女の子はチームのために必死に頑張っている。もしかしたら「あなた、いつも負けてばかりじゃない」と帰って喧嘩になるかもしれない。そういう姿を見せていく。それでこそ彼女の共同生活も生きるといえよう。とにかく今のアイドルではないが、チームというのもいい。

正直、そうなればかなり新しいコンテンツだ。新しい女子プロレスでもあり、新しいアイドル・ビジネスでもある。でも、間違ってはいけないのは、新しい女子カクと思われることだ。『SEI☆ZA』が女子カクと言われたら、真っ先に否定するべきだ。そうなれば、女子ということもあり、もしかしたら巌流島より先にブレイクする可能性もある。

いや〜、これは可能性ある! 全然アリだ! 『SEI☆ZA』の今後に注目だ!

▼SEI☆ZAオフィシャルサイト
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