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「刃牙のキャラでは夜叉猿ですかね」 優勝候補筆頭・西浦聡生が語る、 MMAとは違う武術的なウィッキー理論

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サムネ

西浦ウィッキー聡生(修斗)インタビュー

年を取っても動ける身体操作理論を追求

−−今回、ウィッキー選手のまさかの参戦に驚いたファンも多いと思います。オファーを受けたときの印象は?

ウィッキー 巌流島自体は前から面白いなと思っていたんですけど、急だなぁって。僕も驚きました(笑)。

−−さすがに予想してないですよね。

ウィッキー 予想してないし、しかもトーナメントかよって。まぁ、ばっちり頑張って、賞金を獲得して、子供を旅行にでも連れていこうと思ってます。

−−巌流島の印象というのは?

ウィッキー 武術じゃないんですけど、自分にもこだわりの理論があって。年を取ってから、また昔とは別の追求するものを見つけているので、そこを巌流島で見せられたら面白いなと。僕の場合は、普通のMMAとは理論が違うので。体の理論が。

−−ウィッキー選手独自の身体操作理論があるんですね。武術だと流派から引き継ぐものがあると思うんですけど、ウィッキー選手の独特のスタイルはどのようにしてできたんでしょう?

ウィッキー まぁ、自分の体に合わせてやっているだけで。身体的に動きやすい動きを力を抜いてやって、それを探しているだけであって。

−−自身で独自に?

ウィッキー はい、自分の中で。

−−格闘技を始めた当初から、そういう考え方でやってきたんですか?

ウィッキー 若い頃からこういうスタイルで、筋肉がついて動きがダメになったり、年取ってケガをしてうまくいかなくなったりというのを経験してきました。自分の中でうまく答が出ずに、ダメな時期が続いたりもしたんですけど、その答がまたちょっとずつ出てきているので、巌流島の試合でそこを見せられたらなって思ってます。

−−いろんな試合を経験されて、現在35歳になったウィッキーさんならではの答が見えてきてるんですね。

ウィッキー 年取った人間だからこその追求の形が見せられると思ってます。自分でもそこがすごく面白いなって。

西浦ウィッキー

−−年齢の面でフィジカルはどうしても落ちてきちゃいますか?

ウィッキー フィジカルよりも、昔のケガで動かなくなってしまったものを動きやすくしてあげることがもっと大事で。若返らせるというか。ちょっと説明するのは難しいことなんですけど。

−−感覚的なもの?

ウィッキー 感覚というか、まぁ、今はまだ自分も現役なので人に教えるわけにはいかないですけど、自分の中で理論みたいなものがあって。

−−そこは今はまだ企業秘密なんですね。ウィッキー選手のもともとの格闘技バックボーンは?

ウィッキー いや、なんもないですよ。いきなり修斗から始めて。

−−MMAから入ると、それこそオーソドックスなMMAスタイルになりそうなものですけど、ウィッキーさんの場合、むしろセオリー無視な感じになっているのはなぜなんでしょう?

ウィッキー う~ん、なんででしょうね。まぁ、自分の中では普通にやっていただけなんですけど。ただ、自分がやりにくい動きを避けてきただけで。

−−そうしたら自然と今の形になったと。

ウィッキー 今の形を狙ってやってきたわけでもないし、結果的にそうなったのであって。MMAといっても、僕の場合はマススパーばかりやっていただけなので。

−−いわゆる基本のMMAスタイルは教えられなかったんですか?

ウィッキー う~ん、教えられもしたんですけど。例えば、ちゃんとガードをしろと言われても、僕は前が見えないから怖いなぁと思って。

−−しっかりガードをしてると逆に怖い?

ウィッキー はい。もっと視界を広くして、来たものをよけるという感じでやったほうが自分はいいなって。感覚でやってきたことなんですけど。感覚的にいいなと思ったことをやって、感覚的にダメだなって思ったらやめて。

−−そうしたら周りも矯正するのをあきらめた?

ウィッキー 「まぁ、あいつはいいか」という感じになって(笑)。

UFCが大きくなった今、別の方法で盛り上げる巌流島は面白い

−−巌流島のことはいつ頃からご存知でしたか?

ウィッキー 始まった頃から知っていましたよ。なんか面白いことやってるなぁと思って見てました。

−−どういうところが面白いと思いました?

ウィッキー ルールとか新しいし、谷川さんがまた面白いことをやってるなぁと思って眺めてました。

−−MMAにこだわりがある選手ほど、巌流島のような変わったものにアレルギー反応を示すことが少ないんですけど、ウィッキー選手はそういうのはなかった?

ウィッキー 僕はなかったですね。日本だからこそ勝負できる新しい舞台だと思うので。UFCがめちゃくちゃ大きくなっちゃったところで、同じ土俵じゃなく、新しい手法で勝負するってのは面白い考え方ですよね。そういうのも含めて、面白いなぁと思いながら見てましたね。

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−−今回の巌流島のコンセプトに「刃牙の世界」というのがあるんですけど、格闘マンガって読みます?

ウィッキー 刃牙とかすごく好きで、読んで憧れてましたね。13歳くらいの頃とか「刃牙がすげえ筋トレしてる!」と思って、僕も腕立て伏せ1000回とかやってましたから(笑)。そんなずっと憧れてた刃牙の世界に自分自身が立つのは、不思議な感じがしますね。

−−刃牙でいうと、ウィッキー選手はどのキャラクターになるんでしょう?

ウィッキー どうですかねぇ。やっぱ夜叉猿ですかね(笑)。

−−夜叉猿の実写版でいけそうです(笑)。巌流島のルールについてですが、今回ウィッキー選手は道着は着ないですよね?

ウィッキー 着ないです。裸にショートパンツでいきます。

−−巌流島の対戦相手は道着を着ている場合もありますが?

ウィッキー まぁ、大丈夫じゃないですかね。何事もなるようになると思っているので。K-1ルールで大和哲也選手とやったときも、なるようになると思ってやったら、大丈夫だったし。

−−当時K-1王者だった大和選手とK-1ルールで互角の闘いをしました。

ウィッキー 今回の巌流島もルールさえしっかりわかってないし(笑)。

−−マジですか(笑)。

ウィッキー 正直、誰が出るかもよくわかってないですし(笑)。

−−では道着対策とかの練習はしていない?

ウィッキー 普通どおりやります。いつもどおり。なんとかなるだろうって。考えて何かをやったらうまくいかないんですよね。その場の感覚で動物としてやったほうが、うまく本能が出るので。変に作戦どおりにとか考えたら、感覚が鈍っちゃうんですよね。目の前に道着があって、掴んだほうがいいなと思ったら掴むかもしれないし、掴まないかもしれない。それは自分でもやってみないとわからないです。

−−1回戦で闘う皆川選手はサンボの使い手ですが。

ウィッキー まぁ、大丈夫だろって。あとは感覚で(笑)。それに自分が道着を着てなかったら投げられることもないだろうし、僕は関節技にも対応できるので。強いて挙げるなら今回は無差別級なので、体重差は正直いやではありますけどね。

−−無差別級なんてやってないですもんね?

ウィッキー やってないですね。

−−それも当日実際にやってみてどうなるかですね。

ウィッキー その場で感じてみて。

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−−山本“KID”徳郁さんのジム「KRAZY BEE」所属になった経緯というのは?

ウィッキー 日本で一番いい環境のところでやろうと思って、ここに来ました。タイプの異なる強い選手がいっぱいいて、いい練習になるし。

−−山本KIDさんの印象というのは?

ウィッキー 会ってみて、改めてかっこいい人だなって思いましたね。考えてることも人より一個~二個ぶんくらい先のことを見てるし。日本の基準の先をいっていて、KRAZY BEEもすごく進んでるジムなので。コーチ陣にしても、設備にしても。そういうのをKIDさんが自分の考えでプロデュースしてるんですよね。

−−ウィッキー選手は独特のセンスの絵を描くことでも知られます。

ウィッキー 今もずっと描き続けてますよ。前にケガをしていた時に絵を売って食いつないでいたくらいで(笑)。

−−ウィッキー選手にとって絵を描くのには、どんな意味があるんでしょうか?

ウィッキー これとこれがこうなったらどうなるんだろう? 面白そうだなっていうのでやっているだけですけどね。イメージして、それを形にしていくのが面白くて。格闘技と同じ感覚ですよ。これとこの動きをやってという感じで。自分の体の理論を知っている人は強くて、その理論がわかってなくて、めちゃくちゃな人は年取るとガタッとくると思うので。若い時は体が元気なので、どうにでもなるんですよね。でも30歳を過ぎると、自分の体と向き合って、体の動きを追求していくことがすごく大事になります。

−−格闘技も絵も自分のインスピレーションや感覚と向き合って、形作っていくのが楽しいというわけですね。

ウィッキー 試合もそうですよね。自分の体の感覚を試して楽しむっていう。自分の身体能力だからこそできる技っていうのもたくさんあって、そこをどれだけ見せられるかなと。逆にそこで自分の動きが見せられなくなったら、引退するときだと思うし。まだ今はいい動きを見せられるっていう感覚があるので。いまだにいろんな発見があって、今度はそこを追求してみようってなりますから。

−−なるほど。そういった話を頭に入れたうえで、ウィッキー選手の試合を観察してみたいと思います。あと今回、ウィッキー 選手が優勝候補といわれることが多いですが、それについては?

ウィッキー  まぁ、そうなりますかね。でも闘いは何があるかわからないですから。人間って追いこまれて「死ぬかも」と思ったら、すごい力を出すんですよ。だからこっちも最初からぶっ倒す気持ちで、全試合で殺気を持って勝負しますよ。

−−16人トーナメントなので試合数が多くなります。

ウィッキー  若い頃にアマチュア修斗のトーナメントに出てたときの感覚に近いですかね。なので今回は原点の闘いになる気がしますね。ワクワクもあるし、怖さもあるし。怖いからこそ研ぎ澄ます部分もあって。おかげさまで闘うモードになってます。

−−では最後にファンのみなさんにメッセージを。

ウィッキー 大会では僕のウィッキー理論を観察してみてください。面白いものを見せられると思いますよ。

9.17巌流島の大会情報はコチラ⇒『全日本武術選手権 2018 in MAIHAMA