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生かせシステマの極意!~1・3 巌流島、私はこの試合に注目する

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お題………1・3 巌流島の私的な見所とは?

文◎田中正志(『週刊ファイト』編集長)

文◎田中正志(『週刊ファイト』編集長)

 

1月3日、巌流島が舞浜アンフィシアターに戻ってくる。メインは菊野克紀vs.小見川道大の宿敵の再戦が組まれた。2016年10月21日、代々木競技場第二体育館で行われた『巌流島 全アジア武術選手権大会2016 in TOKYO』は、一回戦から大興奮の記憶に残る大会に。勝ち上がったのがこのサムライ2名である。これぞ沖縄拳法空手対NEO柔道の対決は、小見川が鮮やかな巴投げで菊野をドライアイスの海に突き落とすなど見ごたえ十分の展開に。最後は菊野の前蹴り(本人談、公式では三日月蹴り)があばらに命中。うずくまった小見川を菊野が場外に押し出す恰好で左のパウンドを見舞い、レフェリーが試合を止めた。

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この時のフィナーレから、小見川は「トーナメントではなく、シングルでの再戦」をアピールしていた。機が熟したということだろう。来たる大会名は『OUT ENEMY 2018 in MAIHAMA-謹賀新年、宿敵同士の果たし合い-』となっている。どの試合に注目するかと聞かれれば、どうしてもメインになるのではないか。小見川のリベンジが成るか、それともオリンピックのテコンドーも目指すと話題を振りまく菊野が返り討ちするのか。

他のカードも興味深い。鈴川真一はアントニオ猪木ISMの両国大会出場を優先したため、9・2 『巌流島』に参戦出来なかった。この時はパンクラスの近藤有己戦が計画されていたが、巌流島の初陣はキックボクシングの斐也と発表されている。背中の刺青「闘魂」を背負って、マーダービンタ以下、大相撲殺法を披露してくれるのであろう。

個人的に注目するのは、システマから日本人選手アキラ・シット・レックの参戦であろうか。筆者は合計17年アメリカで暮らしているが、ニューヨーク時代からの長年の友人にSFXアーティストとして有名なスクリーミング・マッド・ジョージがいる。当時の彼は合気道を習っていたが、お互いが日本に戻ってから、まだ誰もシステマの名前を語っていない段階から、高田馬場の公園での青空練習にジョージは参加していた。筆者は彼から10枚組のDVDを借りて勉強することになるが、これがめちゃめちゃ面白かったのだ。

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得てして教則映像はつまらないものである。古くはグレイシー柔術が台頭してきたとき、最初にまともなシリーズとしてVHS10巻が出たのはヘンゾ・グレイシーだと思う。当時はまだ本人に英語力の問題もあった為か、アメリカ人の弟子に主にしゃべらせる構成だったが、要は道場にて2名が延々と、技をかけたり逃げ方を教えたりと、絵的にはそれ以上のものがなにもない。一部、ブラジルのVale Tudo映像も挿入されていたが、パスガードのやり方とか、一族だけの秘密で門外不出とか専門誌で言われていたテクニックを解説していくだけ。仕事上必要に迫られたとはいえ、やはりどうしても眠たくなってしまうのだ。つい数年前だかに、VHSからDVDにダビングやり直すために再度見たけど、総合格闘技の進化を思い知ると同時に、やはり途中で眠たくなった(笑)。

格闘技だからではない。ギター習得の教則本やビデオだって、いくらイングヴェイ・マルムスティーンの音楽を崇拝していても、光速のブタ野郎の教則ビデオはつまらないのである。教える才能は、演奏技術とはまた別なんだと納得するしかなかった。

ところがである。システマの教則ビデオは異常に面白いのだ。だいたいスクリーミング・マッド・ジョージが、つまらないDVD10巻セットを僕に貸したりはしない。「これは凄いか」らとのお墨付きがあればこそであり、実際、全巻の撮影場所や設定が違うのだから、バラエティーがあって飽きることもない。

また、設定状況がやたらリアルなのだ。事務所に突然、や●●が複数押し掛けてきたらとか、そこにあるものを武器に使う現場ならではの迫力場面は、競技の世界の想定問答集とは別次元なのは述べるまでもないだろう。

もっとも、いくらアキラ・シット・レック選手がシステマの様々な極意を習得していようが、総合格闘技、あるいは巌流島には独自ルールの縛りもあれば、武器の使用も認められていない。以前にも、システマファイターとして総合格闘技などに出る選手の映像を見た事があるが、マッド・ジョージらに聞くまでもなく「全く違うじゃないか」となってしまう。実際、巌流島にはブルース・リーのジークンドー流派として出た選手がいたが、習ったことはウソではないにせよ、プロ格闘技の試合で技術を生かせるかとなると、試合を作らないと、あるいはエキシビションにしない限り難しいのではないか。カポエイラを、巌流島の闘技場でも生かしたマーカス・レロ・アウレリオは、例外中の例外なのである。

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あと、システマを上手く出来る人は見た目が嘘っぽく見えてしまうので、あまりこういう“競技”には向いてないとも思う。なにしろ、路上などで危ない連中が襲ってきた際に、どう切り抜けるのかであって、押し出し3回でアウトのゲームとは相容れない。

たぶんこの選手はシラットとかクラヴマガなどをかじって、システマの映像を見てシステマっぽい格好を真似して戦う様な感じがするが、カポエイラ応用編が競技で生きた例もあり偏見だけは禁物だ。1・3巌流島には、お楽しみも幻想もあるということで期待しておきたい。
1・3巌流島の大会情報はコチラ⇒

『OUT ENEMY 2018 in MAIHAMA』

▼格闘技が社会に求められる時代を創る 『勇気の授業3』 レポート
’17年11月30日号吉田万里子デビー新日タッグ天龍前田ドリー新日キック勇気の授業
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▼アマチュアならではの迫力「狂気」と「恐怖」が入り混じる空間「第2回 巌流島トライアウト」レポート
’17年12月07日号鷹の爪新日G馬場新間寿PURE-JダイスケRISE巌流島JEWELS川村虹花
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