巌流島やガチ甲冑合戦を通して、武道・武術を知るということ。
niconico動画の『巌流島チャンネル』でほぼ毎日更新していた「ブロマガ」が、オフィシャルサイトでパワーアップして帰ってきました。これまでの連載陣=谷川貞治、山田英司、ターザン山本、田中正志、山口日昇に加え、安西伸一、クマクマンボ、柴田和則、菊野克紀、平直行、大成敦、そして本当にたまに岩倉豪と、多種多様な方々に声をかけていく予定です。ぜひ、ご期待ください!
6月6日(月)のブロマガ………お題「7・31巌流島で楽しみにしている試合」
楽しみにしている試合は当然自分の試合。というか他の試合のことなんか考えてられません。
クンタップという強いムエタイ選手と闘うのは怖い。巌流島ルールも初めてだし、ムエタイ選手と闘うのも初めて、タイ人と闘うのも初めて。
アライアンスを卒業して、UFCとの契約も終わり、自分の中にも周りにも大きな変化があるし、変化を求めている。だからこそ6/26にDEEPで試合をして、7/31に巌流島に出るという無茶なスケジュールを決めた。
しかも7.31巌流島の一週間前に開催されるガチ甲冑合戦にも出場する。
UFCで無様に2連敗して学んだのは、ありきたりだけどメンタル。どこまでいってもメンタル。小学生からトップアスリートまで、きっと同じ壁にぶつかっている。
コンディションは良かった。納得のいく準備もした。自信もあった。でも無様な2連敗。足りなかったのはメンタル。
勝ちたい!→負けたくない!→思いきって攻められない→プレッシャーをかけられない→プレッシャーをかけられる→やられる
ここまで痛い思いをしないとわからない自分に呆れつつも、今の自分の心境が好き。もちろん相手に勝つための最大限の準備をする。その上で自分に克つために闘う。
そういえば弱い自分が嫌いで柔道を始めて、自分を好きになるために格闘家を目指したんだった。漫画のヒーローは怖くても勇気を出す。きつくても諦めない。そんな風になりたくて格闘家になったんだ。
34才にして初心に返るというか。競技者からヒーローに憧れる一人の男になっております。
今度の巌流島で楽しみにしている試合といえば、山田英司さんが当サイトのブロマガで、私の試合を取り上げてくださっているのを拝見した。
そこではナイハンチは突きが当たる瞬間に腰を逆回転させるという理合が書かれていた。そしてムエタイも同じ打ち方であり、「菊野対クンタップ」「空手とムエタイ」の同じ理合同士の闘いがどうなるかに注目すると書かれていた。
自分のtwitterでも少し書いたのだが、沖縄拳法空手のナイハンチは腰を逆回転させない。というか腰を回転させない。それによって撓み(たわみ)をなくし、手で体を引っ張ることで体の重さを効率よく相手に伝える。沖縄拳法空手の突きを喰らったことがある人は、みんなその威力に納得してくれると思う。
面白いのは同じ名前の型から全く違う理合を学んでいるということ。あえて名前と書いたのは、動き自体は全然違うということだ。おそらく闘いの天才がナイハンチという型を作り、それが伝わる中で別の天才が別の理合を作ったのか。
武術の理合は武器から生まれている。そりゃそうだ。戦争や生き死にの闘いに行くのに素手で行く馬鹿はいない。武器による闘いの技術が先にあり、その武器が使えなくなった時、あるいは使えない時のために素手の技術が必要となった。
だから武器の理合と素手の理合が違うわけがない。命懸けで積み上げた武器の理合を素手になるからといって、また一からやるのは非効率だ。
沖縄拳法空手は、型と棒術とサイ術を併修する。棒には刃はついてないが本来はついていた。重たい槍を効率良く使うための理合がそのまま素手に生かされている。
武道、武術を知っていくと、先人達が命懸けで作り、繋いでくださったことに感謝と感動が溢れてくる。
先人達の闘いの上に今の時代はある。
巌流島やガチ甲冑合戦がそこに想いを馳せるキッカケとなれば、社会において大きな意味を成すのではないか。