レジェンドファイターが面白がる巌流島! さすが天才プロデューサー!
年末の猪木ボンバイエ×巌流島は、久々のズンドコ興行で大変楽しかった。
格闘技イベントにおいて、人を楽しませ、尚且つハッピーにもさせて帰らせる。
これは中々出来るもんではない。
久々に表舞台に復活してきた天才プロデューサー谷川貞治だから出来たのだろう。
谷川さんと僕の付き合いは長いのだが、PRIDEとK-1が袂を分かち、少し疎遠になっていた時期がある。
しかし、アントニオ猪木さんの死去により、お通夜でばったり再会。
おそらく猪木さんが引き合わせてくれたのか、今回何年かぶりにその谷川さんから声が掛かり猪木イベントを手伝うことになった。
イベントに向け、それまではメールでのやり取りだったが、競技チーム全体会議で顔合わせた時、『天才レフリー頼むよ』。これが谷川さんの第一声だった。
相手への賛辞に始まり、懐に入りまくる、谷川マジックは健在だった。
このセリフに気をよくした僕は『誘ってくれた谷川プロデューサーに恥をかかせられない』と何年かぶりの気合を入れまくったのだ。
しかし、ここからがズンドコの始まりだったのだ!!
ルールミーティング当日、MMAルールもあるので、選手に配るルールブックを確認したら、「シマちゃんと梅木くんに任せるよ」とルールブックも無い無茶振り。基本のルールを聞くとユニファイドと答えたのみだった。谷川さんがユニファイドを知ってるかどうかも定かではない。
そして、通訳さんとルール確認したいと思ったら、ただ英語がしゃべれる格闘技も知らない人を通訳で呼んでて、結局、僕が通訳することに。
待てよ、これは谷川さんからの試練なのか?
猪木さんの師匠カールゴッチさんに弟子入りして、マレンコ道場にいたから英語ができるようになった僕に通訳もさせるとは。
しかしながらこれこそ猪木イズム。「いつ何時、誰の挑戦でも受ける」だ!!
そして今回はケージではなくリング、なので追加のルールも文章にして4選手に説明(もちろん英文)。なんとかルールミーティングが終わるが、ここまでは、試合当日の序曲にしか過ぎない。
本番当日!
第1試合のマーカス・レロ・アウレリオが、マウスピース忘れ! 弁当の用意はあるが、予備のマウスピースはない。さすが谷川P。
マウスピースを用意するのに、試合順を変えるが映像の準備が間に合わない。そこで『準備できるまで適当にルールでも話すわ』とマイクを持って闘技場に。
さすがしゃべりの達人だ。適当にベラベラしゃべり、前説もしっかりこなし、間を持たす。並の男では出来ないことを、サラッとやってのける。もう天才と呼ぶしかない!
今回、巌流島ルールはいい試合が多かった。まさにマッチメイクの妙だろう。マッチメイクの絶妙さは、なんだかんだといって世界一だ。
特に僕のレフリーしたジョシュvsシビサイは、谷川さんに託されたバトンをしっかり受け取り、天才レフリーぶりを発揮出来て名勝負となり、「島ちゃん、良かったよ」と、谷川Pからお褒めの言葉もいただいた。
ジョシュが全然強く見えた。また、ジョシュやロバトといったバリバリのMMAから一度は退いた選手も、巌流島の面白さに再びやる気が湧いてくるという。巌流島の可能性として、海外で、特にアメリカでジョシュのようなレジェンドファイターが再活躍できる場になるのではと、本当に思った。みんなMMAという競技で失われたものを、巌流島に夢見ているのだ。
レジェンドたちの夢対決が、巌流島ならバンバンできるのではないか。また、そこにカポエイラとか、テコンドーとか、プロレスとか、MMAじゃないものが加われば、全く新しい世界ができる。それは初期のUFCの世界であり、ベストキッドの世界であり、天下一武闘会の世界。
きっとそれは、日本よりアメリカで絶対に受ける。UFCに勝つのは巌流島だ!
ぜひアメリカ行きましょうよ、天才プロデューサー!
と、何やかんやバックステージでもドタバタありで、歴史に残る大会となった『猪木ボンバイエ✖巌流島』。
いろいろ起こった幾多の困難も谷川さんからしたら「どうってことねえよ」なのだろう。
2023年はさらなる飛躍を信じて次回大会を待ちましょう、皆さん!
異種格闘技「巌流島」 ー名勝負セレクションー