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【巌流島・全日本武術選手権レポート】プロレスラー奥田が刃牙の世界を制す!

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917日、巌流島『全日本武術選手権 2018 in MAIHAMA』が舞浜アンフィシアターで開催された。「まるでグラップラー刃牙の世界」と話題になり、前売り券が完売となった今大会の顛末はどうなったか?

全日本武術選手権・1回戦

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1試合に登場したのは、実戦空手の原翔大と喧嘩師・中澤達也。元暴走族リーダーの中澤は、特攻服で登場すると、そのままの格好で試合に臨む。1R、原は右ハイキックから特攻服の肩口をつかむとヒザ蹴りを連発。中澤は原を場外に押しこむ形でこれを逃れる。中澤が左右のフックをぶん回して勝負に出ると、原も殴り合いに応える。珍しく「もっと打ってこい」とアピールする原。左右のパンチを的確に当て始めた原が、特攻服をつかんでのヒザ蹴りからパウンドにつなぐと、中澤のダメージを見た審判が試合を止め、原が2回戦に進出した。

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インド王族武術・魔破DATECACC蓮見隆太の1回戦第2試合。魔破DATEが横蹴りなどTeam DATEらしい多彩な足技で攻めていくと、蓮見は蹴りをキャッチし、テイクダウンからのパウンドで反撃。魔破DATEが距離を取って顔面への横蹴りをヒットさせるも、蓮見は愚直に前に出てタックルを狙う。魔破DATEが首相撲からボディへのヒザ蹴りを連打すると、蓮見は水車落としで後方に投げてパウンド。蓮見が判定2-1で勝利した。

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常々、巌流島に最も向いているといわれる空道の猛者・渡部秀一と、柔道の鈴木渓の対戦。渡部はパンチ、ローキックから、鈴木の柔道着の襟をつかんでボディへのヒザ蹴りを連打。そのまま場外まで押しこんで有効を奪う。鈴木は組んで一本背負い、巴投げを狙うが、体格で勝る渡部がこれを崩し、グラウンドでパンチを連打。渡部が全局面で圧倒しTKO勝ちした。

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プロレスラー奥田啓介と、日本拳法の左禅丸が対戦。奥田は向かい合うと鋭いタックルを決めて、左を場外に押し出し、有効となる。奥田はドロップキックからのタックルというプロレスラーらしい動きで、再度、左を押し出し、転落を獲得。左はボディに波動拳を打ちこんで反撃するが、奥田は怯まずに突進で距離を潰して場外転落を連取し、一本勝ちした。

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修斗やDREAMなどのMMA団体で活躍してきた西浦ウィッキー聡生と、プロ経験ゼロのアマチュアサンビスト皆川貴俊が対戦。MMAでは考えられないキャリア差の試合となったが、サンボでは90kg級で闘っていたという皆川は、体格差を活かし果敢に前に出る。独自の動きで体を揺らすウィッキーは、突っこんでくる皆川を反射神経でさばくと、逆に場外へと放り投げ転落を2度獲得。左右のパンチをヒットさせ始めたウィッキーに対して、最後まで食らいついた皆川であったが、判定3-0でウィッキーが勝利した。

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数見肇の一番弟子・岩崎徳正と、学生相撲出身の中島大志の1回戦。中島は頭から突っこむぶちかましなどで場外有効ポイントを重ねる。岩崎もカウンターのヒザ蹴りなどで反撃するが、中島の突進を止めきれず。岩崎は突進にカウンターの突きを合わせるなど、徐々に間合いをつかむが、押し出し有効による2度の合わせ一本が響き、中島が判定3-0で勝利した。

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パンクラスで活躍するプロMMAファイターの草MAXと、現代空手道研究会なる空手道場のKENGOとの一戦。KENGOはパンチの応酬をしながら、プレッシャーをかけて、草MAXを後退させ、場外転落ポイントを獲得。草MAXがパンチ、キック、首相撲からのヒザ蹴りと攻勢をかけるが、KENGOはそのまま前に出て、またも転落を取る。打撃の応酬で互角の展開の両者だったが、草MAXが首相撲からのヒザ蹴りにいくと、KENGOが首相撲を解くように突き放し、転落3回獲得で勝利。無名のアマチュア空手家が、プロMMAファイターに勝利するという巌流島ならではの結果となった。

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1回戦最後の試合には、ムエタイの実力者クンタップ・チャロンチャイと、ロシアの軍隊格闘術システマの使い手アキラ・シットレックが登場。クンタップはムエタイの定石であるミドルキック、前蹴り、首相撲からのヒザ蹴りと強烈な打撃を食らわせる。一方のシットレックも近接格闘術システマならではの近距離からの細かい顔面パンチや、足をひっかけ転倒させてからの鉄槌など、実戦格闘技らしい攻めを見せる。シットレックの金的にクンタップのヒザが入り、タイムストップとなるが、シットレックは平然とした様子ですぐに再開。その後もクンタップの強烈なローキックが炸裂するが、シットレックはカットすることなく受け流す。これが噂に聞くシステマのダメージ無効化の秘技か? 最後はフルタイムとなり、クンタップが判定3-0で勝利した。

全日本武術選手権・2回戦

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原翔大と蓮見隆太の2回戦第1試合。蓮見は低い体勢からテイクダウンを狙うが、実戦空手の原は組み技にも対応し、体を返してマウントポジションからパウンド。蓮見は組みからテイクダウンしパウンド攻撃をしかけるが、原は徐々にタックルのタイミングを見切っている様子。蓮見が再度タックルにきたところに、原がカウンターの右ヒザ蹴りを炸裂させKO勝利。蓮見はしばらく起き上がれないほどのダメージを負った。

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2回戦第2試合では、空道の渡部秀一とプロレスラー奥田啓介が対戦。奥田は躊躇なく突進しての両足タックルにより速攻で転落ポイントをゲット。パンチの打ち合いから組み合うと、奥田はレスリングの学生世界選手権8位の実力を発揮してフロントスープレックスで投げ、寝た状態の渡部を押し出して転落2ポイントめを獲得。奥田は再度タックルで渡部をテイクダウンし、際で寝かせてから放り出すように3度目の場外転落を奪い、一本勝ちした。優勝候補とも思われた渡部は、道衣格闘技とは違って裸で突進してくる奥田に対応しきれず、奥田がアップセットで準決勝進出を決めた。

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2回戦第3試合、中島大志はノーガード状態でウィッキー西浦に対峙。ウィッキーの鋭い右ジャブ、右ヒザ蹴りを食らうが、持ち前の打たれ強さで突進し場外有効を奪う。その後もウィッキーの飛びヒザ蹴りや大ぶりのフックが顔面に命中するが、中島はかまわず前に出続ける。しかし、ウィッキーが腕をとっての投げを放つと、中島は左足を負傷して立ち上がれなくなり、セコンドがタオルを投入。ウィッキーのTKO勝ちとなった。

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2回戦最後は、KENGOとクンタップ・チャロンチャイ。KENGOは一回戦と同じく、打撃で前に出て、プレッシャーで転落も狙うスタイルで攻める。しかし、百戦錬磨のムエタイ戦士クンタップは、カウンターで右フックをヒット。危険を察したKENGOは自ら場外に避難し、転落を奪われる。ダメージが残るKENGOにクンタップが左右のフックを食らわせると、KENGOは膝から崩れ落ち、クンタップが48秒でKO勝利した。

全日本武術選手権・準決勝

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準決勝第1試合は、プロレスラー奥田と実戦空手の原。奥田は開始早々、弾丸タックルで突っこむが、ここは原が相手も転落させて同体に持ちこむ。再開後、奥田は突如プロレス技のモンゴリアンチョップ。続いてタックルで場外に押しこみ有効を獲得。奥田が今度はプロレス技のラリアートを放って、タックルへと繋げるが、ここは原が払い腰で場外へ投げ返し、有効となる。ここから奥田はタックルで前進を続け、連続で転落を獲得。原がフロントネックチャンスリーの要領で投げ返す場面もあったが、219秒、転落3で奥田が決勝進出を果たした。

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準決勝もうひとつはウィッキー西浦とクンタップ。立ち上がり、クンタップは大きな右ハイキックを放つと、ムエタイのワイクーの動きを見せ挑発する。ウィッキーは距離を詰めてくるクンタップに左右のフック。クンタップは両手を高く上げ、ぜんぜん平気とアピール。クンタップはミドルキックをキャッチされると、右足へのインローキックに切り替え、これが見事に決まり出す。前に出るクンタップをうまくいなしたウィッキーは、体を入れ替えて転落を獲得。クンタップの右ミドルキックをキャッチしたウィッキーは、そのまま押し出して転落を連続ゲット。358秒、一本勝ちで決勝に進出した。

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刃牙の世界全日本武術選手権トーナメントの決勝は、プロレスラー奥田と、総合格闘家ウィッキー西浦の対戦となった。この試合でもタックルで前に出る奥田に対し、ウィッキーはカウンターでボディにヒザを突き刺すが、奥田はかまわず抱えるように押し出して転落となる。奥田は迷わずタックル勝負。ウィッキーは奥田の腕を抱えて同体を狙うが、奥田は際で踏んばり、ウィッキーを突き落とす。早くも転落2と追いこまれたウィッキーに対し、奥田は低空タックル。しかし、ここはウィッキーが持ち前の身体能力で瞬時にかわし、奥田を場外に転落させる。

ウィッキーは右フックで飛びこむと、中腰になった奥田にパンチを浴びせ、奥田が背を向けたところを場外に押し出す。これでお互いにあと一回の転落で負けとなる。最後は奥田が組み合いから後方に投げ、場外有効を獲得。有効2つの合わせ一本となり、奥田が転落を3度奪って優勝を果たした。

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マイクを持った奥田は「今日ここにいるプロレスファンどれくらいいるんだ? プロレスが一番強いんだ。お前ら、胸を張って帰れ」と叫んでトーナメントを締めた。

特別試合・リアルグラップラー刃牙が復活!

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グラップラー刃牙のモデルになった平直行が54歳にして、巌流島の闘技場に登場。エキシビションながら、相手は巌流島のエース菊野克紀だ。平は開始早々、キレのあるハイキックを披露。年齢を感じさせない動きだ。打撃のやり取りをするなかで、虚をつくバックハンドブローが菊野の顔面をとらえる。今度は菊野がお返しとばかりに、ボディに突きと蹴りを叩きこんでいく。容赦ない攻撃を受ける平は、唸り声をあげながら前へと歩を進める。平が前蹴りを放ち、菊野がボディに突きを打ったところで、3分間の特別試合が終了した。

平は「引退して16年で今54歳なんですけど、なんとかがんばりました。僕、体が動かない状態で引退したんですけど、武術の知恵でまた体が動くようになりました。年配の方でもできるので(自分のセミナー等に)来てください」と挨拶した。菊野は、1111日(日)に地元・鹿児島で格闘道イベント『敬天愛人』を開催する。

スーパーファイト

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シビサイ頌真は7月にMMAの大会に出場したが、モンゴル人選手を相手に精彩を欠く動きで判定負け。今大会で、同じモンゴル出身の暴走力士・星風と対戦した。突進してくる星風に対し、シビサイはタックルでテイクダウンし、パウンド。次いで払い腰で投げて、寝技で主導権を握る。立っては星風の道着をつかんでのヒザ蹴りをボディに、さらに顔面へと突き立てて、星風をダウンさせる。追撃のパンチを放ったところで、すぐに審判がストップ。暴れん坊・星風に何もさせず、わずか155秒で試合を制した。道着ありの武術スタイルだとやはり強いと感じさせる、圧巻の勝利だった。

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関根シュレック秀樹と、鈴川真一は、それぞれのバックボーンである柔術着とまわしを着用しての異種格闘技マッチで対戦。鈴川は闇雲に突っこむことはなく、ジャブ、ストレート、ローキックを織り交ぜたクレバーな闘いぶり。30秒間の寝技・関節技が認められるこの試合だが、シュレックを相手になかなか寝技に持ちこませない。鈴川が押し出し狙いに来て崩れ、シュレックが下から足関節技を狙ったところで1Rが終了。2R、鈴川が押し出しで転落を2度獲得。シュレックは寝技に持ちこむそぶりを見せず、フックを振り回して対抗する。スーパーヘビー級同士の迫力ある乱打戦となったが、転落を獲得している鈴川が判定3-0で勝利した。

実験的要素の強かった今大会。チケット完売で超満員となったこの結果を受けて、巌流島が次に進む道にご注目いただきたい。

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