キミは史上最低の異種格闘技戦と失笑された「ミスターX」を知っているか? 猪木の無念はらし完全復活!!
あのミスターXが令和の時代によみがえる!?
キミは「ミスターX」を知っているか?
猪木の異種格闘技戦の中でも、「史上最低!」と酷評された対戦相手ミスターXは、今から約40年前の1978年、毎週200万部を売り上げていた『少年マガジン』で連載されていた『四角いジャングル』から、生まれたキャラクターだった。
梶原一騎原作のこの『四角いジャングル』は、『空手バカ一代』や『キックの鬼』と並ぶドキュメンタリーとフィクションを掛け合わせた名著で、その後、映画になったり、実際の興行として爆発的な反響を呼んだ。今で言うメディアミックスの走りとなった劇画である。
200万部もある少年誌で、毎週物語がプロモーションとしてリアルタイムで展開され、それが映画や新日本プロレスの興行へと繋がっていく。猪木の異種格闘技戦の中でも、最も緊張感溢れる殺伐とした試合だったと評価の高い“熊殺し“極真ウィリー・ウィリアムス戦は、こうして『四角いジャングル』が大成功に導いた一戦だった。
その『四角いジャングル』で最も面白かったのが、バイプレーヤーの「ミスターX」の登場だった。物語のスパイスとして、ミスターXが出てきたことで、深みが増した存在だった。
とにかく、このミスターXのキャラが怖かった。藤波辰爾の運転する車をひっくり返し、記者が咥えていたタバコを巨体ながら、器用な前蹴りで蹴り飛ばす。正体は猪木を苦しめたマーシャルアーツ選手のモンスターマンより強い、全米プロ空手実力No.1のジョー・ヘスという選手で、191センチ、151キロが実際の想定だった。戦績は46戦20勝26反則負けという信じられない凶暴な男で、全米プロ空手協会から追放されたという。しかも、ブッキングしたベニー・ユキーデの兄アーノルド・ユキーデとギャラで揉め、駐車場でヒザ蹴りで肋骨を折る暴挙を働いているのだ。
こんな凄い対戦相手ということで、今ではこれも考えられないが、テレビ朝日は興行の煽り番組というだけなのに、ゴールデンタイムの『水曜スペシャル』で特番を組んでいるのだ。しかし、そこに現れたミスターXの姿を見て、お茶の間のプロレスファンは愕然とした。愕然いうより、「ぷぷぷぷぷぷぷぷ」と失笑が漏れるのを隠しきれなかった。
どう見ても、ただの黒人の肥満系のど素人。何よりもチープなマスクがひどすぎた。思い起こせば「ミスターX」というリングネームもあまりにチープだ。これは、一体、どういうことだ!? これが毎週『四角いジャングル』で畏怖の念をいだかせたミスターXなのか? さらにこの煽り番組では、公開練習が最大の売りにも関わらず、ミスターXは何もしなかった。これ、特番なのに良いのか?
そして、猪木と睨み合いになると、猪木のボディに下突きを喰らわしKOして去っていったのだ。お茶の間は呆気にとられたが、猪木の顔は極めて真剣。そんな真剣な猪木さんを見て、猪木信者は失笑を許されず、本番当日の凄い試合を期待し、こんなワケはないだろうと信じた。
ところが、1979年2月9日、大阪府立体育館の本番。マスクのチープさはさらに輪を増していた。いや、この際マスクはどちらがチープだったというより、特番の時以上にミスターXの素人オーラは増したような気がする。ああ、背中の道着にも、チープな「X」の文字が。しかも、試合では劇画のあのイメージは一瞬で消し飛ぶような弱さだった。猪木の異種格闘技戦史上、最低の試合と言われたのがこのミスターX戦なのである。
試合後、マスコミの間では「ミスターX偽物説」が紙面を賑わせた。ビートたけし氏には、ラジオ『オールナイトニッポン』で「大阪の焼肉屋でバイトしてた黒人のアンちゃん。俺見たもん」と言われるほどだった。猪木も試合後、珍しく控室で「もっとまともな人選しろっ!!」と新間寿営業本部長に怒鳴り散らしたという。
でも、さすが梶原一騎はこの事態に何ら悪びれることなく、「試合前に熊殺しウィリー・ウィリアムスに潰された。リングに立ったミスターXは偽物」という誰も考えもつかなった裏話で乗り切り、猪木vsウィリーの世紀の一戦につなげていった。昭和は本当に良い時代だった。
猪木の異種格闘技戦史上から消し去りたいミスターX。しばらくミスターXは、お笑いのネタになっていた。さぞや猪木も無念だっただろう。そこで、12・28の『INOKI BOM-BA-YE×巌流島』では、猪木さんの無念を晴らすべく、「強いミスターX!」を出場させる! 「ミスターX = 謎の強豪」のイメージを植え付けるために、異種格闘技戦のひとつとして、猪木軍の誰かと対戦! 猪木軍の誰が挑むのか? ミスターXの中身は誰なのか? 乞うご期待!!
12.28チケット情報⇒ 『INOKI BOM-BA-YE×巌流島in両国』