まさに異種格闘技! ラウェイvsカポエイラの越境対決が実現!
niconico動画の『巌流島チャンネル』でほぼ毎日更新していた「ブロマガ」が、オフィシャルサイトでパワーアップして帰ってきました。これまでの連載陣=谷川貞治、山田英司、ターザン山本、田中正志、山口日昇に加え、安西伸一、クマクマンボ、柴田和則、菊野克紀、平直行、大成敦、そして本当にたまに岩倉豪と、多種多様な方々に声をかけていく予定です。ぜひ、ご期待ください!
5月31日(火)のブロマガ………お題「7・31巌流島で楽しみにしている試合」
楽しみにしている試合は、ミャンマーラウェイのトゥントゥンミンと、カポエイラのマーカス・ヴィニシウスの対決がダントツ。
以前、コンビニでミャンマーから来たという女子がレジにいたので、「ミャンマーラウェイって知ってる?」と聞いたら、「知らない」と言う。おかしいなと思い、何度か発音してパンチとキックを出す仕草をしてみせたら、やっと通じて「あ~! ミャンマーラーウェイ!」って言われた。つまり、ラの部分を強く発音するのが正しい言い方。のっぺりした日本風発音だと、ミャンマーの人には通じないことがわかった。
なんで発音にこだわるかというと、タイに行ったとき、タイ人のタクシー運転手に「ムエタイ」と言っても通じなかったからだ。「ムアイタイ」「ムアタイ」というのが、現地の発音に近い気がした。外国に行った時、通じると思っていた言葉が通じないと、かなり慌てることになる。だから僕は、単語の発音は慎重に調べる癖がついてしまった。
まあ発音の話はともかく、僕はかねがね、立った状態で闘う打撃系格闘技なら、ボクシンググローブより素手で殴り合う方が、死ぬ確率は低いと思ってきた。
素手で殴れば自分の拳だって痛いので、何発も続けて殴れないし、ボクシンググローブで殴るより脳に振動が伝わらないからだ。拳を保護してくれるボクシンググローブをつければ、何発も殴れるし、殴られ続ければ連続して脳震盪を起こすことになる。
もちろん素手だったり、オープンフィンガーグローブで殴られても、眼窩底骨折したり、大ケガをすることはあるが、脳へのダメージで死ぬ確率は少ないはずだ。
ただし、グラウンドでのパンチが認められた競技なら、また条件が違ってくるが。頭を下に固定された状態で、強烈な一撃を落とされたら、何発も入らなくても大事故につながりかねない。
それに素手での顔面の殴り合いとなると、現代文明人としては、見た目がえげつないので、抵抗があるのだろう。プロレスならば公然と許される素手の顔面パンチだが、リアルファイトではそうはいかない。
初期のUFCは素手だったが、空手家のジェラルド・ゴルドーや柔術家のホイス・グレイシーが、冷静に素手で殴っていた姿が印象深い。でも、中には恐怖で追い詰められたのか、恐ろしい表情で殴りかかっていく選手もいた。
僕はスタンド限定の打撃系格闘技ならば、ようは選手次第というか、選手が素手のパンチありの闘いに慣れていれば、見ている方も普通に見られるような気がしている。選手が落ち着いてスマートに闘えば、素手で殴り合おうが、技術の攻防として見られる気がするのだ(よほどひどいケガを負わない限り)。
田村潔司選手は、今年になってミャンマーラウェイの試合を現地で生で見て、「僕は絶対やりたくない!」と言っていた。外傷を相当負うことは覚悟しなければならないし、頭突きやヒジ打ちOKのルールなども含めて、保護した拳の上にバンテージを巻いただけで殴り合う姿に、抵抗があったのだろう。
これを読んでいる方々が、こういうファイトを好きかどうかは分からないが、僕はこういう過酷なルールの中に身を置いて、技術と魂を磨いているミャンマーの戦士に敬意を抱いている。
巌流島ではオープンフィンガーグローブをすることになるが、ミャンマー戦士が巌流島ルールで何を見せてくれるか、心から期待している。
ブラジルのカポエイラは、大きく、速く、体を旋回させるのが特徴だが、グルグルと何十秒も回り続けるスタミナが、80キロ台の選手にそうそうあるとは思えない。瞬発的な威力はあっても、それは長続きしないと思うのだ。速攻が決まればカポエイラの勝ち。でもカポエイラ側は必ず一呼吸おく時が出てくるため、動きが止まったところで、ミャンマー戦士の一撃が決まればミャンマーラウェイの勝ち。これが、この試合の予想だ。
とにかくUFCにも、ミャンマーラウェイの選手は出たことがないのだ。バーリ・トゥードを闘ったという話も、僕は聞いたことがない。
カポエイラだって本来は素手でやっているのだから、ここは特別ルールとして、素手かバンテージだけで試合をさせてほしい…というのが本音。実行委員会の英断に期待したい!