試合に勝って、勝負に負けた! 小見川さんはやっぱりかっこいい!
10月28日(金)のブロマガ………お題「10.21 巌流島・全アジア武術選手権大会の感想」
文◎菊野克紀(空手家/総合格闘家)
沖縄拳法空手道・沖拳会の菊野克紀です。
巌流島全アジア武術選手権大会に足を運んで頂いた皆様、映像を見て頂いた皆様、情報を追ってくださっている皆様、有り難うございます!
想像以上に「面白かった!!」という声が多くて嬉しいです。
技術的、戦略的な話は山城先生のブログにお任せするとして(僕も勉強になるので楽しみ)、僕は思いを。
まずは小見川さんとの試合について。
大好きで尊敬する先輩と決勝で闘えたことは本当に嬉しかったです。
試合は勝ちました。
でも試合を見返すたびに胸につっかえる悔しさがあります。
僕が大会を通して転落を許したのは、小見川さんから喰らった巴投げだけです。
僕は転落をしたくなかった。
巌流島の思想の通り、あそこが崖だったら、車通りのある道路だったら、僕は死んでいました。
プロ興行である以上、エンタメとのバランスを取らなくてはいけないので、アッサリ決着がつき過ぎないように、1Rに3回転落させられたら負けというルールにはなっています。
でも崖には一回落ちたら終わりです。
車には一回轢かれたら終わりです。
ルールは守るし、最大限利用して勝ちに向かうのは競技としては大切なことだけど、武術・武道を志す者は、ルールに守られることに対して思いを馳せるべきだと思うのです。
しかも試合の序盤に先に転落を許しました。
試合に勝って、勝負に負けるってこういうことなのかなと…。
ルールのたらればを言ってたらキリがないけれど…、やっぱり悔しい…。
そして試合後に小見川さんは、三日月蹴りを喰らう動画を「おぇ~」というコメントを添えてシェアしていました。
自分が負ける動画を投稿するってできますか?
その強さ。
凄えな、かっこいいなって、あらためて尊敬の気持ちが大きくなりました。
巌流島について。
ずっと言ってますが、僕は巌流島に希望を持っています。
分かりやすくて膠着しないルールと、漫画やゲームのような世界観がエンターテイメントとしてウケると思うし、武道精神を発信していくというコンセプトに共感しています。
僕が23歳の極真空手の内弟子時代に、道場の子ども達に指導する中で「勇気を出せ!」とか「感謝しなさい」とか「困っている人を助けよう!」とか教えるうちに、自分はどうなんだと悩み、どうありたいかと考え、武道精神の究極の形である「ヒーロー」という言葉に辿り着きました。
僕の生涯の夢は強くて優しくてかっこいい、困っている人を助けるヒーローになることです。
孫悟空やウルトラマンのようなヒーローです。
幸いなことにフリーザや怪獣はいないので、社会の中の人を苦しめる何かと闘い、助けたい。
そのためには力が必要です。
体力、経済力、影響力、仲間、知識、技術…
力が大きければ大きいほど大きな敵と闘い、たくさんの人を助けられます。
スーパーヒーローになれます。
だから僕は力がほしいんです。
巌流島にはその力を得る可能性を感じています。
そして武道精神を発信していくことで、よりたくさんのヒーローを志す者が現れ、日本が、世界がいい方向に進んでいったら楽しいなあって思います。
僕にとって巌流島は「Road to Hero」なんです。