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町田光はもっと光る! ダジャレから始まる格闘技にはない武術の奥義とは?

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お題………「大反響!1・3巌流島・舞浜大会を振り返る!」

 

文◎平直行(巌流島・審判長)

文◎平直行(巌流島・審判長)

 

新年早々、ダジャレでのスタートですが(笑)、本年もよろしくお願いいたします。実は町田光選手とは1.3巌流島の前に偶然会っている。昨年末の某空手道場のエキシビジョンマッチに町田選手が来ていて、キックのエキシビジョンをやったのを見た。

初めて見る居合いの動きはなかなか面白く、プロとして魅力を感じた。巌流島では期待して試合を見ていた。ところが巌流島の試合ではその時の動きが全く出来ていなかった。緊張もあったのだろう。そして何よりの理由が、対戦相手がキックとは全く違った構えと動きだったからだ。居合いパンチは相手とのリズムと間合いを絶妙に取るからこそ当たる。試合を見ていてとても歯がゆかった。あの日の動きではないのだ。巌流島での試合で、自分の動きで惑わせているのは相手でなく、町田選手自身だった。

相手を惑わす動きが、いつもと全く違う相手の動きに無理に合わせようとした結果、自分の動きに迷いが生まれ、いつもの動きが出来なくなったように見えた。見ていてまるで狂ったメトロノームに合わせて演奏してるような感じがした。

あ〜とか思いながら見ていたら、町田選手は試合中に修正をし始めた。メトロノームの狂いに気が付いたのだろう。巌流島の試合は3分3ラウンド。たったこれだけの時間で修正してくるのは才能がある証拠になる。その試合で短時間で調整してテクニックを出せる町田選手は、伸びしろがまだまだ有る。しかも試合の後半からは寝技にも対応し始めた。

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武術には居合いだけでなく様々な技法がある。柳生心眼流の奥義の一つは無刀捕りと呼ばれる。真剣を持った相手と対峙して無刀で相手を制する。真剣白羽捕りとは違った術です。そんな事できるわけがないと思うでしょう。ところが実際に徳川家康公の前でそれを行い認められて、柳生はお家の復興を遂げ、徳川幕府の武術指南役になったと言われています。これだけなら眉唾物の作り話に思えるのですが…。

実はキックの藤原敏夫先生も同じ動きが秘密なんです。なぜか北京で藤原先生に教えて頂いた事があります。一瞬自分の動きが止まってしまい藤原先生が目の前から消えてしまう、気が付いたら移動していました。その間の攻撃は寸止めでしたが、怖いなと思ったのを覚えています。これがX攻撃だよ。藤原先生はいつもの笑顔に戻って教えてくれました。それから色々と質問してお話を聞かせて頂いてこんな事が分ったんです。藤原先生の動きの原理は、柳生心眼流で聞かせて頂いた物と同じでした。その時に無刀捕りは本当にあったんだと理解出来たのです。実際に日本人として初めてムエタイの王者になった藤原先生の秘密のひとつは、無刀捕りと同じ身体操作なんです。 

無刀捕りの秘密はいわゆる武術の怪しい話ではなく、人間の生理反応や脳科学で説明が出来ます。人は真剣であればあるほど相手を見る事になります。その時に通常にはない反応を引き出せば、一瞬相手は止まってしまいます。武術に例えるから嘘のように感じますが、実は無刀捕りと同じ現象は色んな時に起こります。

サッカーやバスケットでフェイントを使い鮮やかに相手を抜き去る瞬間、抜かれた相手は一瞬動きが止まってしまい、いつの間にか抜かれてしまいます。決して速さではない速さは実は、世の中に存在します。野球でもボールが速いだけでは、一流のピッチャーにはなれません。スローボールを織り交ぜるとバッターは戸惑い、その時にも動きが止まったような状態になります。

格闘技でも一発の鮮やかなKOは、この原理が働いていると考えられます。スポーツや格闘技はセンスでこの動きを行います。武術は集団戦、国同士の戦いですから、優れた天才の行動を分析して原理を知り、再現する手法を持っていたのです。一瞬の間には思考が停止してしまう時があります。わき見運転も一瞬の間で起きます。あまり良い例えではないかもしれませんが、交通事故で傷ひとつなく亡くなってしまった方は、この不思議な間に入ったのだと思います。武術には、間には魔が潜むといった口伝が古くから存在しています。

無刀捕りに関して詳しく書くと、一冊の本になりますので簡単に書きます。人は2進法に対しては非常に素早い判断が出来ます。ところが3進法になると一瞬思考が止まる。よく考える必要があるからです。勝負に真剣に成り過ぎると、○か×かの思考に陥ってしまいがちです。それが普通の選手でもあります。優れた選手は3つの思考を同時に行う事が出来ます。さらなる天才はおそらくもっとたくさん同時に思考と判断が出来ます。

たった一つの思考ではハンドルのない自動車と同じですから、どんなに速くとも普通の自動車に勝てません。思考とはハンドル操作でもあり、ハンドル操作が素早く巧みであれば自動車は早く走れます。ハンドル操作(思考の操作)を磨く練習法はあまり聞いた事がありません。武術の達人がゆっくり動いているように見えて、相手には見えない動きが出来るのは、体の速さではなく、思考を重ねて同時に行うため、常人には動きが見えなくなってしまうのです。

菊野克紀選手は、沖縄空手の原理で似たような事をやっている気がします。小見川道大選手も独自のセンスと工夫で似たような事をやっている。二人とも鮮やかなKOパンチを持っています。ところが打撃格闘技から見れば動きは速くないしヘンテコな動き。それなのに鮮やかに相手を倒す。事実としてKOを重ねているのだから、格闘技にはない原理を使っているのだと思えるのです。この二人に絡むような選手が出て来ると、巌流島はさらに盛り上っていきます。そこで「町田光はもっと光る」なのです。もちろん渡辺一久選手や瀬戸信介選手、そして田村潔司選手も素晴らしい巌流島メンバーです。そこに絡んで光れる可能性を感じる選手が、今回の巌流島で現れた気がします。

無刀捕りの原理を理解して型に隠された意味が分かると自分の思考と神経が研ぎ澄まされ、思考と神経が変わってゆきます。それに伴い体使いも変わり、無刀捕りが出来るようになります。無刀捕りに至るには、稽古のみならず日常での暮らしにおける気配り心配りにも作法がある。徳川幕府が270年という長きに渡り続いた理由のひとつに柳生があり、こういった気配り心配りに長けた人材が徳川幕府を支えた可能性が高いと、武術の世界では言われています。

巌流島は他の格闘技と違ったコンセプトがだいぶ固まり、選手にもそれが浸透しつつある。巌流島の武道エンターテインメントという、格闘技とは違ったコンセプト。そこにもうひとつ乗ると素晴らしい物がある。武道の源流は武術になる。武術と武道には身体操作がある。武術の身体操作は、このように表現も出来る。科学的に証明が出来ない真実。証明が出来る代表の一つが西洋医学。西洋医学はエビデンスがなければ真実とはならない。東洋の鍼灸は、科学的な証明は出来ない。ところが西洋医学の盛んな欧米では、西洋医学で及ばない症状疾患に対し、優れたドクターほど鍼灸を併用する。日本の何倍も鍼灸の社会的医学的地位は高い。

鍼灸は大陸の武術の一部になる。本来、鍼灸は3つで構成される。鍼灸に武術的な手技と漢方を併用する事で、鍼灸は本来の効力を発揮出来る。西洋的な格闘技の価値観や知識では、理解不能な闘い方が出来る選手が集ってくると、巌流島は本当にUFCに対抗しうる競技団体に化ける可能性がある。町田選手、うちに話を聞きに来ないかな?