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小見川道大こそ、嘉納治五郎が理想とする柔道! 菊野克紀こそ、現代版マス大山!

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9月17日(土)のブロマガ………お題「10・21巌流島・全アジア武術選手権大会の見所」

文◎谷川貞治(巌流島イベントプロデューサー)

文◎谷川貞治(巌流島イベントプロデューサー)

 

10月21日(金)、代々木第2体育館で開催する『巌流島 全アジア武術選手権大会2016』。その8人トーメントの組み合わせが決定した。

ファンの人には自信を持ってお届けする「全アジア武術選手権大会」と銘打つには十分な顔ぶれ。しかし、アジアにはミャンマーラウェイやクラブマガ、シラット、シルム、日本拳法、少林寺拳法、合気道、チャクリキなどの武術が無限にあるので、まだまだ選手は尽きない。ルールを安全にして、16人トーナメント、32人トーナメントだって、できた。巌流島はあくまでもコンセプト勝負。いい大会か、いい大会でないかは、メインを中心にいかにコンセプトがはっきりしているかで勝負が決まる。前回大会では、起爆剤として田村潔司の「猪木vsアリ」ルールを持ってきて、メインで菊野克紀を見せたかった。何をやりたいか分からないメインやトーナメントでは、いい選手を集めてもファンに見透かされてしまう。そういう意味では、アジア武術選手権というのも、新鮮で、できるだけコンセプトをハッキリさせようと打ち出したものです。

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その中で、やはり期待するのは、空手の菊野vs柔道の小見川の決勝戦。空手vs柔道は典型的な異種格闘技戦の組み合わせだが、意外と実現していない。最近で思い浮かぶのは、佐竹雅昭vs小川直也、佐竹雅昭vs吉田秀彦、秋山成勲vs金泰泳だが、柔道家の方に分がある。

菊野克紀と小見川道大はすでにキャラクターのついた選手だが、僕にとっては未知の強豪だ。むしろ、菊野と小見川のついている今までのイメージの方が僕にとっては厄介で、皆さんには全く新鮮な目で見てほしいと思っている。2人とも空手と柔道に誇りを持つ生粋の武道家で、この世代でよくこんな感性を持った選手がいるなと思うほどの巌流島向きの選手だ。

菊野は簡単に言うと現代のマス大山。UFCに挑戦する時も、完璧なMMAファイターになろうとしているのではなく、空手が他流試合でどこまで通用するかをひたすら追い求めている。沖縄拳法空手で術を体得したり、型稽古で強くなろうとしたり、ガチ甲冑戦に出て精神を着たようとしたり、およそ現代の合理的な科学トレーニングや試合で勝つためのスパーリングで強くなろうとしている他のファイターの逆行をしている。僕は菊野の存在を知った時、「若いのによくこんな感性を持つ選手が出てくるなぁ」と思ったほどの驚きがあった。梶原一騎で育った僕らの世代にとって、まさに理想的なファイターだ。

一方の小見川も、今回初めて話をしたのだが、一言で言うと僕のカンは正しかった。小見川がPRIDEに出た時、僕はある意味こういう柔道家こそほしいなと思っていた。根拠は彼の醸し出す雰囲気。他の柔道選手がアスリートとしてのエリートの雰囲気を醸し出しているのに対して、小見川と秋山成勲だけは違った。その理由に関して、僕は今回初めて分かった。

小見川はパンチやキックのような打撃を「当て身」と表現し、まさに「柔道家が喧嘩のような実戦をやったらこうなる!」という闘いを体現しようとしていることが分かった。それはどういうことかというと、普通、柔道家の異種格闘技の闘い方のイメージはホイス・グレイシーにある。タックルや引き込みで相手に密着し、寝技になって抑え込む。そして、ジワジワと形を作って、関節技や絞め技で極めるという闘い方だ。ところが、小見川の考える柔道家の異種格闘技戦は、道着を掴んで相手を崩し、掴みながら当て身を入れる。あるいは、KOできるような危険な投げ技で相手を叩きつける。そういう柔道家の喧嘩殺法であり、古流柔術のような闘い方をイメージしているのだ。

以前、秋山成勲から「受け身を知らない打撃系の選手と闘ったら、道着があれば、僕らは簡単に頭から落として相手を殺せますよ」と聞いたことがある。格闘技の技では、パンチやキック、関節技より、この投げ技が一番危険だ。巌流島の道着を袖なしにしたのは、柔道家に両袖を掴まれたら、キック系の打撃選手は何も動けなくなってしまうからである。しかし、これまでの巌流島は道着を着ているのに、道着を使った攻撃をする選手はいなかった。その意味で、僕はクラブマガやセネガル相撲も神秘的だけど、道着を使って闘う柔道家の試合が見たかった。巌流島では柔道こそ、未知の格闘技なのだ。

しかも、この小見川の闘いは、ある意味嘉納治五郎がめざした「理想の柔道」に近いかもしれない。競技化されていく柔道を見て、嬉しい反面、嘉納治五郎は複雑な心境だったという。「これは私の理想とする柔道ではない」いう言葉も実際に残しているし、沖縄から空手家を呼んで、柔道に当て身を取り入れようと考えていた。ならば、小見川の柔道こそ、嘉納治五郎に通じるかもしれない。

プロデューサーとしては、誰に優勝してもらいたいかというと、未知の強豪で、優勝することで根こそぎ流れを持っていけるヤツが一番だ。第1回UFCのグレイシー柔術であり、ボブ・サップなんかも、勝った瞬間から根こそぎ流れを持っていった。そういう選手の登場が、今の巌流島に必要である。今回で言えば、カンフートーアとか、ハンド・トゥ・ハンド。

しかし、個人的に僕の中で巌流島の小見川は、まだ見ぬ強豪である。だから、決勝ではぜひ菊野克紀vs小見川道大の闘いが見たい!これぞ、まさに嘉納治五郎が理想とする柔道家と現代版マス大山の闘いじゃないか。今回の巌流島は格闘技ファンとしての自分の血が騒ぐ!

 

  • 『全アジア武術選手権大会 2016 in TOKYO』チケット情報

https://ganryujima.jp/?grjm_events=%e5%b7%8c%e6%b5%81%e5%b3%b6-%e5%85%a8%e3%82%a2%e3%82%b8%e3%82%a2%e6%ad%a6%e8%a1%93%e9%81%b8%e6%89%8b%e6%a8%a9%e5%a4%a7%e4%bc%9a2016intokyo