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「不適切にもほどがある」世代が「ミレニアル」世代に贈る〜

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文◎谷川貞治(巌流島プロデューサー)

文◎谷川貞治(巌流島プロデューサー)

 

TBSドラマ、クドカン(宮藤官九郎)の『不適切にもほどがある』を見ていて改めて思うことは、昭和と令和は全く社会も人間も違うことだ。

どちらの時代が良かったかはさておき、僕らの時代は目標が単純明快だった。

僕が社会人になった1980年代初頭、格闘技という言葉は猪木さん以外、ほとんど使用しておらず、浸透すらしていなかった。マイナーで、バイオレンスで、不良たちの喧嘩の延長にしか思われていない時代だ。

その中で僕らは「格闘技」を地上波テレビのゴールデンタイムで放送するぞとか、格闘家をテレビのCMに出すぞみたいなことが大きなゴールだった。興行で言えば東京ドームをはじめとする3大ドームや国立競技場を満員にすること。そのためにがむしゃらに熱中して、突っ走った。

新聞で言えばスポーツ紙の一面を飾ること、漫画で言えば『週刊少年ジャンプ』や『マガジン』『サンデー』で格闘技漫画が連載されたり、実際の格闘技が取り上げられること。

それらは90年代〜2000年代のK-1やPRIDEでほとんど達成できた。もっと言えば、紅白歌合戦に視聴率で勝ったこともあるし、ラスベガスやフランスのパリ他、世界中で格闘技イベントを開くこともできた。人生とは、こういった大きな達成感を味わうことだと思えた時代だった。

しかし、国立競技場で『Dymamite!!』をやったのが、今から22年前。ということは、今30歳前後の人たちでさえ、そんな時代の記憶なんてほとんどないだろう。

僕らが目指していた単純な目標や価値観も今や全然正しくない。今の20代〜30代のことを「ミレニアル」世代、もっと幅広くは「Z世代」と呼ぶらしいが、それを検索してみると、

「ミレニアル世代とは、1980年代前半から1990年代半ばに生まれた世代を指します。2023年時点で20代半ばから40代前半(おおよそ27歳〜43歳)を迎える人が該当します。

ミレニアル世代は、デジタルの台頭とともに成長した世代です。インターネット環境の整備が飛躍的に進んだ時代に育ち、情報リテラシーに優れ、インターネットでの情報検索やSNSを利用したコミュニケーションを使いこなします。

ミレニアル世代の特徴には、次のようなものがあります。

* 多様性の尊重と共感性が高い

* モノに対してあまり執着しない

* 環境や社会問題への関心

* ワークライフバランスの優先

* ミレニアル世代は、アメリカ同時多発テロ、長く続く経済不況、気候危機など不安定な世情の中で育ってきました。経済成長に懐疑的であり、成功よりも生活の安定を重視する傾向があります」

とある。我々のような「不適切世代」からすれば、もはや人間が全く違うとしか思えない。実際、僕らはSNSの使い方もよく分かっていないし、暗号通貨とかNFTとか何がなんだか。。

しかし、格闘技界を見渡してみても、運営スタッフやマスコミ、コアなファンの高齢化が目立つ。これは正直ジャンルとして致命的だ。

魔裟斗の現役時代の激闘をリアルタイムで見ていたミレニアル世代はギリギリいるか?

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RIZINのバラさん(榊原信行氏)なんか、同世代として凄く頑張ってるけど、僕らの使命があるとしたら、僕らのもつ知識や経験をそんな「ミレニアル世代」に届かせ、響かせ、引き継ぐことだろう。

僕は決して自分たちの時代が素晴らしかったと言って生きていくつもりはない。同世代とか、我々の先輩たちと古き良き時代の格闘技の復活をめざそうなんてことも考えていない。

ミレニアル世代のファンに何が見せられ、面白がられるか?

熱狂させられるか? そんな思いで始めるのが「バーチャル・ファイト」である。巌流島がまた新しいことに挑戦し、新たな一歩を踏み出す。

次回からはその「バーチャル・ファイト」の全容を少しずつ解き明かしていく。

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