5・6巌流島・舞浜大会の二つのコンセプト!菊野・小見川が体重差倍の相手に挑む!
お題………5・6巌流島・舞浜大会、ここに注目!
文◎谷川貞治(巌流島イベントプロデューサー)
皆さん、驚きましたか? まさか菊野克紀の相手が、体重差倍のジミー・アンブリッツになるとは? これは私も想像すらしていませんでした。
昨日、5・6巌流島・舞浜アンフィシアター大会のカードを発表しました。巌流島は毎回コンセプト勝負のイベントですが、今回のテーマは「ニッポン」と「無差別級」です。
巌流島が公開検証の段階で見せたのは、「ルール作り」と「世界にはこんなに知らない格闘技があるんだ」という二点でした。そこに巌流島の武道コンセプトにピッタリとはまった菊野克紀という選手が現れた。さらに、柔道の小見川道大。彼らはいわゆるテレビ格闘技全盛の時代のスター選手ではありません。テレビ格闘技全盛の時代は、魔裟斗やKIDのような華があり、太陽のような輝きを持った選手中心の時代です。それに対して菊野や小見川は、対極にいる月のような存在に見られていたでしょう。イケメンで、発言も過激な魔裟斗・KIDに比べて、彼らから滲み出てくるのは、確実な強さと“まじめ”さしかない。それでは、視聴率なんて取れないよと関係者さえ思っていたに違いありません。
しかし、それが「武道」という空間ならば、むしろ彼らの方がイキイキとし、彼らの意外な魅力、輝きが発揮される。それを菊野と小見川が証明したと思うんです。分かりやすくいうと、極真の大会ではどんなイケメンよりも、武道家、サムライのような佇まいの選手が輝いて見えるようなものです。
では、そんな菊野や小見川のような選手は他にいるのか?
いや、意外にも結構いるのです。その中で今回注目したのは、空手家の鈴木信達、柔道家の吉田善行、柔術家の関根シュレック秀樹の3人です。私は彼らと直接話したことはありませんし、噂しか知りません。しかし、鈴木は初期UFCで大道塾の市原海樹がホイス・グレイシーに敗れたことにショックを受けて、総合格闘技に挑戦し始めた空手家です。私はこの市原vsホイス戦を記者として金網越しに見ていましたが、確かに忘れられないほどの強い衝撃を受けました。それがきっかけの総合挑戦ならば、そのエピソードだけで私はじゅうぶん鈴木選手が好きです。しかも、ONE FCのチャンピオンにも輝いているし、MMAの中でも空手がいかに通用するかを探求している。まさに巌流島向きの選手です。
そんな鈴木選手の対戦相手は、カポエイラのマーカス・レロ・アウレリオ。私が初めてカポエイラを知ったのは『空手バカ一代』。鈴木vsレロはまさに『空手バカ一代』ロマンです。
柔道の吉田善行は、一度だけ試合を見たことがあります。当時、私はHERO’Sという総合格闘技イベントをやっており、慧舟會の久保代表に誘われてCAGE FORCEというイベントを見に行ったのですが、その時に久保代表に「いい選手がいるんですよ」と言われていたのが吉田でした。しかも、その時の対戦相手がHERO’Sにも出ていたKIDのジムの実力者・修斗世界王者の菊池選手。その菊池を相手にフィジカルの強さで圧倒していたのが吉田でした。おそらく金メダリストの瀧本や小見川のMMA試合を初めて見た時以上のインパクトが吉田にはありました。その後、私は総合格闘技イベントをDREAMに手渡し、吉田もUFCに挑戦し始めたため、縁はなかったのですが、小見川と同様、気にかけていた選手です。
そして関根シュレック秀樹。シュレックはK-1時代でもスターになっていたであろうキャラクターを持った選手です。あの風貌と筋肉、そして元警察官という肩書き。しかし、つい最近までは警察官だったため、公務員としてプロの試合に出るのはご法度でした。しかし、昨年、警察官を辞職して、プロに転向。40過ぎてからの決断は、相当な覚悟だったと思います。そんなシュレックですが、K-1時代ではむしろ色モノとして扱われていたかもしれません。しかし、巌流島では武道エンターテイメントを標榜しているので、武道家としてのシュレックの良いところが見えるかもしれません。
今回の5・6巌流島・舞浜大会では、そんな菊野や小見川に続く、新しいニッポンの武道家を紹介し、「ニッポンの底力」をお見せしたいと思います。また、この後発表しますが、そんな隠れたニッポンの実力者だけでなく、今後のニッポン格闘技を背負う20代の実力者も数選手出場する予定です。「ニッポンの底力」と同時に「ニッポンの未来」をお見せしたい。それが今回のテーマです。
一方、こういった隠れた実力者が巌流島に多数出場するようになったきっかけを作ってくれたのは、やはり菊野と小見川の存在があったからでしょう。その2人は今回、こぞって「無差別級」に挑戦したいと言ってきました。私が彼らに提案したのではなく、同時期に彼らの方からそんな提案をしてきたのです。けしてモンスター路線を狙ったのではありません(笑)。
彼らの思いはこうです。武道とはそもそも「無差別」が大前提にあります。武道の元となっている武術は、実戦で身を守る、相手に勝つ、相手を殺す術です。実戦とは、戦であり、現代でいうストリートファイト。その中で相手と闘うことになった時、「あなたは私と体重が違うから闘えない」と言って回避することはありえない。そもそも武道では体重差がある無差別級が当たり前の世界。だからこそ、武道には柔よく剛を制す、小よく大を制すという言葉があるのです。体重差があるのは確かに体重が少ない方が不利ですし、スポーツとして平等な条件ではない。しかし、武道ではそれが当たり前。危険ではありますが、そんなテーマに巌流島として臨もうと思うのです。
菊野も小見川も相手は体重差が倍近くもある相手。この大きなチャレンジに挑もうとしています。菊野vs小見川、菊野vsソウザとは違う魅力のこの一戦。ぜひ、またまた新たな局面に入った5・6巌流島・舞浜アンフィシアター大会にご注目ください。チケットは3月18日(土)より一斉発売しております! 全カードは来週にでも発表します!
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