GANRYUJIMA BLOG巌流島ブログ

仇討ちで真っ先に思い浮かんだのが、青木真也 vs 田村潔司。桜庭の仇討ちでした!

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お題………9・2巌流島・舞浜大会の見所

文◎谷川貞治(巌流島イベントプロデューサー)

文◎谷川貞治(巌流島イベントプロデューサー)




皆さん、お待たせしました。

いよいよ9月2日(土)、舞浜アンフィシアター大会まであと2ヶ月弱と迫ってまいりました。毎回、コンセプト至上主義の巌流島ですが、今回のコンセプトはズバリ「仇討ち!」で行きます。

そもそもなぜ仇討ちなのか? そのへんの裏事情を少しお話ししましょう。

まず、2020年東京オリンピックのため、今は首都圏の会場はほとんど改修工事に入っており、どこも会場が本当に取りにくくなっています。まして、土日なんて、小さなプロモーション団体では無理。そんな中、9月2日土曜日という絶好な日にちで、巌流島の聖地・舞浜アンフィシアターが奇跡的に取れました。しかし、抑えてみたものの、その前後の日程はフジテレビの一大イベント「フジサンケイクラシック」というゴルフイベントがあり、今度は放送枠がなかなか取れない。CS放送はライブが売りなので、ナイターもあるし、枠取りの調整にも手間取りました。そんな中、何とか14:30~16:50の2時間半の枠が取れた。でも、トーナメントをやるのは時間的に厳しい。これはワンマッチで何かやらなきゃということになったのです。

しかし、プロデューサーというのは、締め切りとか、予算とか、時間的な制約とか、条件があればあるほど、その中でベストなものを考えなければなりません。そういう規制があった方が腕の見せどころだし、根っからのクリエイターは燃えたりするものなのです。まして、格闘技の場合、選手が怪我をしたり、出ないと言ったり、他のイベントに取られたりして、なかなか思いどおりにならない。そこをどうくぐり抜けるか? そんな土壇場で底力を出せるかどうかにプロデューサーの資質が問われるのです。

そこで、何かワンマッチで面白いことをやらなければと、思い出したのがK-1のワンマッチイベントで一番ヒットした「REVENGE」でした。当時、K-1が使ったREVENGEは松坂大輔がインタビューで口にしたこともあり、流行語大賞にもなりました。「よし、REVENGEで何か考えてみよう」「待てよ、巌流島は武道だから、これは仇討ちだ! 仇討ちというテーマでやってみよう!」ということになったのです。

しかも「仇討ち」を調べてみると、これが実に面白い。日本にはそもそも被害者家族の気持ちを収めるために、警察権の範囲として私刑を制度として認めていた。仇討ちを行うためには、奉行所に届けを出し、「仇討許可書」をもらわなければならない。そこにはルールがあって、目上の人が年下の人に仇討ちをしてはいけない(子供が殺されても、親が仇討ちをしてはいけない)とか、仇討ちの仇討ちをしてはいけないとか、返り討ちにあった遺族が又候仇討ちをしてはいけないとか、いろいろ決まりがある。ルールや手順がきちんとあっての仇討ち制度なのです。中にはいきなり短刀を送りつけて、切腹を迫る仇討ちもあって、これを黙って受けてこそ武士という思想もあったり、ひとつの仇討ちを達成するのに50年以上かかったという例もあります。しかも、仇討ちの成功例は極めて少ないとか。

これだけいろいろあると、やはり仇討ちはドラマになりやすい。歌舞伎でも人気が下がると忠臣蔵をやって盛り返すと言いますが、それだけ仇討ちは物語として日本人に愛されているのです。格闘技に関しても、REVENGEというと負けた選手の個人的な再戦というイメージですが、仇討ちとなるとグンと幅が広がります。親の仇打ち、兄弟の仇討ち、師匠の仇討ち、仲間の仇打ち、流派の仇討ち、ジャンルの仇打ち、ニッポンの仇打ちなど、考えてみればプロレスなんて、ほとんど仇討ちでドラマを継続しているじゃありませんか。僕はこの「仇討ち」は、絶対に流行ると思いました。

最初、この仇討ちをテーマにした時、真っ先に浮かんだのが、青木真也vs田村潔司でした。RIZINでの桜庭和志の仇を田村潔司が討つ! これは美しい! 何とかやりたいなぁと思いましたが、あの2人を口説いていたら、9月2日が終わってしまうので早々と諦めました(いつかやりたい)。

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他には、60歳の合気柔術の達人の弟子が中島大志に仇討ちをする。バル・ハーンの弟星風が関根シュレック秀樹に仇討ちを挑む。見たいのは第1回大会に出た太極拳の山岸正史。ぜひ巌流島でもう一度、空手家でもなんでもいいので、仇討ちしてほしい。極め付けは小見川道大の菊野克紀に対するREVENGE! こういうのやったら、絶対に皆さんに喜んでもらえたと思います。しかし、今回はそれらのカードは実現しませんでした。でも沖縄拳法空手の種市純也vsクンタップの試合でも、「仇討ち」というテーマが入るだけで全然見え方が変わってきます。それほど「仇討ち」は魔法の言葉なのです。

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仇討ちはネタも、ドラマもいっぱい生まれるし、作れる。もしかしたら、巌流島の名物シリーズになるかもしれません。立会人はもちろんファンの皆さんです。現代に蘇った仇討ちを武道の試合で見せる! 試合だから、もちろん助太刀なし。皆さんも「こんな仇討ちが見たい」というのがあれば、ぜひご意見をください!結果的に揃ったカードは、絶対に面白くなる仇討ちばかり。 会場に足を運んで、ぜひライブでご観戦ください!

9・2巌流島の大会情報はコチラ⇒
『ADAUCHI 2017 in MAIHAMA』