【10.19 JMAEXPO】照強、シュレックが勝利! レロはK-1サッタリにKOでやぶれる!
10月19日、『JAPAN MARTIAL ARTS EXPO PROLOGUE』(横浜BUNTAI)が開催された。
RIZIN、K-1、QUINTET、巌流島の選手が一堂に会するこのイベント。巌流島ルールでの異種格闘技戦は「マーカス・レロ・アウレリオvsマハムード・サッタリ」「関根“シュレック”秀樹vsルアン・ヴィッセル」「照強vs城戸康裕」の3試合が行われた。
K-1 vsカポエイラ 異次元の異種格闘技戦
マーカス・レロ・アウレリオ(カポエイラ)vsマハムード・サッタリ(K-1)
巌流島ルール/3分×3R/88kg級
WINNER:マハムード・サッタリ TKO 1R 2分28秒 ※パウンド連打
巌流島とK-1の外国人エース対決となったこの一戦。サッタリはこれまでキックボクシングの試合しか経験がなく、投げや寝技のある巌流島ルールでは不利となる。一方のレロは適正体重が77kgだが、今回はサッタリの階級に合わせて希望より10kg以上重いウェイトでの試合を承諾。それぞれ同等のアドバンテージを得て勝負にのぞんだ。
レロはまず代名詞といえるカポエイラの回転蹴りを披露するもクリーンヒットはせず。グラウンドにもつれこむとレロの独壇場かと思われたが、サッタリは落ちついたガードポジションで対処しスタンドへ戻す。
パンチの打ち合いから、レロが巌流島ルールを活かしてサッタリを場外に突き出し、転落ポイントを獲得。一方のサッタリは右ロー、左右のパンチをヒットさせ、有利なスタンドの打撃で攻勢に出る。さらにサッタリはグラウンドでも上になるとパウンドを連打。試合では未体験のグラウンドの攻防でも驚くほどの対応力を見せて、レロにダメージを与えていく。
再びスタンドに戻ると、サッタリは飛びこむような左フックでダウンを奪う。あきらかにダメージが残るレロに対し、サッタリは強烈なパウンドで追撃。レフェリーストップでサッタリのTKO勝利となった。
不安視されていた投げやグラウンドの攻防にも動じず、むしろ終始レロを圧倒する闘いを展開したサッタリ。格闘家としてのさらなる可能性を示したK-1戦士の今後の活躍が楽しみだ。
また、やぶれたカポエイラマスター・レロの勇姿もぜひまた巌流島の闘技場で見たい。
地響き轟くメガトン対決
関根“シュレック”秀樹vsルアン・ヴィッセル
巌流島ルール/3分×3R/無差別級
WINNER:関根“シュレック”秀樹 判定2-1 ※29-28、28-29、28-28
ヴィッセルは身長207cmをほこる巨人ボクサー。あのマイク・ベルナルドを育てた名伯楽スティーブ・カラコダが送りこんだ刺客だ。そんな怪物に対して、シュレックは持ち前の“漢気”で立ち向かう。
1R、スタンドで見合う両者。シュレックには投げや寝技の武器があり、ヴィッセルには一撃KOできる重爆パンチがあるため、お互い不用意に動けない。そんな中、まずはシュレックが右フックで先手をうつ。さらにシュレックはタックルでテイクダウン狙い。これは場外に逃れられ、スタンドで再開。
2R、シュレックはやはりタックルでテイクダウンを狙う作戦。ヴィッセルはこれを左右のフックで迎撃。再度のタックルでヴィッセルを寝かせたシュレックは、パウンドを見舞うもKOフィニッシュにはいたらない。
3R、シュレックがテイクダウンからのパウンドで攻勢に出る。寝技で30秒経過しブレイクとなるも、シュレックは愚直にタックルを狙い、パウンドへ。不屈の闘志で前に出続けたシュレックが判定2-1で勝利をつかみとった。
キックvs相撲 王道の異種格闘技戦
照強(大相撲)vs城戸康裕(K-1)
巌流島ルール/3分×3R/無差別級
WINNER:照強 一本勝ち 1R 1分29秒 ※転落3回
無差別級マッチでおこなわれたこの試合、ヘビー級の照強とミドル級の城戸の体重差は38kg。くわえて、力士の照強には巌流島のルール特有の“押し出し”という大きな武器がある。
これに対して城戸は試合前から、「力士が押し出しで勝っても当たり前で何もおもしろくない。打撃で勝負しましょう」と再三、煽りを入れ、照強に揺さぶりをかける。
距離をとって様子をうかがう城戸に対し、照強が前に出て押すと、城戸はあっさりと場外転落。気づいたら転落してしまい「しまった!」という表情の城戸。やはりキックボクシングとは勝手が違い、前後の距離が測れないか。
城戸はそれでも左ローキック、さらに得意のハイキックで一発KOを狙うも、これは照強の頭をかすめて空振り。結果的には、これが城戸の最大のチャンスであり、本人の狙いであったのかもしれない。
城戸はその後も相手との距離を大きく取り、闘技場の際の近くに立つ。一見、「押してくれ」という合図にも取れるスタンス。これに対し、中央に立っていた照強が前に出て押すと、城戸は軽々と場外へ転落。三たび転落を繰り返し、1R 1分29秒で勝負ありとなった。
勝敗は別として、場内は笑いを含め、大いに盛り上がった。一見するとただのコント。しかし、それは壮大なコントであって、おちゃらけて弛緩した空気の中に、ときおり一瞬の殺気が垣間見える異形の空間。
冗談なのか、本気なのか。お気楽なのか、過酷なのか。
巌流島という世界観の自由度が、また新たに提示された一戦にも思えた。
選手の試合後コメント
【マハムード・サッタリ】
初めてのオープンフィンガーグローブ、初めてのMMAルールで良かったです。今後も行けそうでした。(相手は変則の動きだったが)たしかにやりにくかったです。でも、ずっとプレッシャーをかけて、その動きをさせないようにしてました。距離を近づいたら、相手は何もできなかった。
(寝技の場面)
そこは負けないようにいました。テイクダウンされても大丈夫のように対応してきました。(良かった攻撃は)パンチが良かったと思います。すべてパンチが入りました。(最後はパウンド)楽しかったです。練習はしてなかったけど、いろんな試合を見て勉強していました。
(MMAは今後もやりたい?)
それは自分のチームと一緒に考えていきたいです。MMA用の練習に変えないといけないので。ただ自分はチャレンジしたい。やろうかなという感じです。もっと強くなりました。ハングリーになりました。
(K-1の試合は?)
試合はしたいけど、どうなるかは、まだ分かりません。2週間前に試合をして、それは嬉しいんですけど、できれば家族との時間も作りたい。その時間を作って、チームと話し合って、次のステップを決めたいです。
(K-1で悔しい思いをした)
2つ負けたけど、前回の試合(リュウ・ツァー戦)は判定で負けて、でも負けたとは思っていません。本戦はドローだったと思います。今後は、ジャッジに決められないように倒しに行こうと思っています。
(以前、朝倉海と一緒に練習したがUFCタイトル挑戦をどう思ったか?)
いいことだと思いました。頑張って練習してきて、UFCの大きいイベントでタイトル挑戦できるのは、とてもいいことですし、応援しています。タイトルとって、UFCを日本へ連れてくることは大きいことです。
【関根“シュレック”秀樹】
ホッとしています。生きて帰ってきたなと。(大きい相手だった)最初はもともと別の選手だったんですけど、谷川さんから南アフリカの選手をオファーされて、いいですよと安請け合いしたものの、とんでもないやつで。ガヌーやウシクとスパーリングをしているとんでもないやつで。眠れない毎日でした。
(パンチは)
自分のストライキングのコーチが、鈴木博昭選手、怪物君なんですけど、椅子に立ってもらってミット打ちをやりました。パンチを額で受けることになっていたんですけど、ジャブなのにとんでもないパワーでした。(打たれながら笑って打ってこいという感じだったが)あまりにもパワーが凄くて、もう笑うしかないやという感じでした。ここまでかと。
(タックルを潰されたが)
想定はしていました。タックルの倒し合いになって倒すことにできると思いましたが、そこで体力は使いたくない。下になってもスイープできるので、あえて逆らわずに下になりました。その証拠に、すぐに上になったと思います。テイクダウンしても、下になってもいい。これが柔術家ですよね。彼にはもっと入ってきてもらってと思いましたが、アウトボクサーみたいなので踏み込みがなく、ああいう展開になってしまいました。
(腕をとりにいかなかったのは?)
課題なんですけど、この身体の大きさの違いレベルで極められるのは、ボンサイ柔術でいったらサトシやクレベル、マルキーニョスくらいしか難しいかなと思います。自分の練習では、あのくらいデカイ相手がいないのと、サイズの違いで腕を極められるイメージがなかったです。関節の位置が違ってくるので。
(関節技を仕掛けて失敗したくなかったと)
寝技のうちはスクランブル得意なので問題ないんですが、上になったら体力を奪うことを考えていました。
(帰る時に流した涙は)
受けてから彼のバックボーン見て、毎日、本当に逃げ出したい思いで寝れない毎日でした。言ってみれば、筋肉マンが風呂敷担いで逃げたくなるような、そんな心境でした。でも僕には仲間がいるので、逃げるわけにはいかない。そのせめぎ合いで、あんな相手とやって解放感がありました。
(セコンドに怪物君がついてくれた影響)
自分は弱い人間なので、弱虫なんで。弱気になる時があるんで。すごいパンチを受けて下がりそうになった時に、“前へ出ろ”と言ってくれる。的確な勇気をくれる。まさに超人パワーを送ってくれました。
(自分には時間がないと言っていました)
自分は戦う舞台を選んでいるつもりはない。自分は上田幹雄君と戦って負けて、その後にシュートボクシングで勝ったんですけど、その後はMMAやキックの試合に出れていなくて。グラップリングは本職なので、打撃有りのMMAは挑戦。子どもたちに挑戦という背中を見せられるのは打撃有りの格闘技なのかなと。
柔術で日本一になって、弱いと言われる打撃で日本一になることが勇気を与えることになるのかなと思っています。
【照剛】
もう少し殴り合えたらと思ったんですけど、向こうが際に下がっていったんで。それだったら押しちゃえばと思いました。(押し出しで決まりました)もう少しプレッシャーをかけてくるのかなと思ったら、一方的に下がるんで。ああなってしまったら、自分の思う壺でプレッシャーをかければいいので。
(ハイキックは?)
中盤に出してきたハイキックはかわしたんで、そこは良かったかなと。(想定済?)というか見えたので、練習もしましたけど、うまくかわせてバックブローも出してきたけど、距離を潰しました。課題としてはできた。素人が見たらしょうもない格闘技に見えたかもしれないけど、やっていた感じではそこはありましたね。
(城戸が押し出しはダメと言っていたが)
ダメと言われてもプレッシャーもかけてこないし、あそこまで下がったらね。逆にあれはフリなのかなと。押し出してくれよという。押さないでというダチョウ俱楽部の(笑)。インスタでフラメンコやダチョウみたいな恰好をしているので、そういうフリなのかなと。ケガしないように。
(終わったら、ちゃんこ食べようと言ってたが)
そうですね。試合後に会ったら、拍子抜けするくらいいい人だったんで(笑)。自分も相撲時代は、土俵の外はフレンドリーだったんで。試合場は、また別なので。
(殺気立っていなかった?)
あれ見て、殺気立っていなかったように見えた?立っている人間にしか分からないかもしれませんけど、駆け引きが何かしらあるんです。向こうもインローとかハイキックを蹴ってきましたし、やるべきことをやってああいう結果になった。自分たちの中ではピリピリはありました。
(今後は?)
負けてもないし、練習して強くなって巌流島を盛り上げれば。ずっとやり続けるのは変わらないです。僕は、谷川さんにスカウトされたので誰がきても受けます。
【城戸康裕】
さあ、始めましょう!どんどん質問してください!(この結果に納得いっていない?)納得いくいかないではなく、もっと手前の話。まず、体重差がめちゃくちゃあると。で、それで押し出しって。あれをやられたら勝てるわけないです(笑)。誰もが分かっていることじゃないですか。煽り映像でも、会見でもそれを言ってきて。主催者も怒るなと思っていたので、まさかそれはやらないよねって。めちゃくちゃ緊張したし、こうきたら右を入れてとか。めちゃくちゃやった。短い期間でも、やることやって。入場の時バクバクで、いくぞーとセコンドで盛り上がって。それが、押し出しで終わって。どこかにYouTubeのドッキリでも入っているのかなって。ドッキリでした。
(この負けは)
何も失ってないです。キャリアに1mmも傷ついてないよ。何ももらっていないし。息も上がってないし、ケガもない。
(照強が押し出ししないでと言っておいてのやれというフリかと)
そんなわけないでしょう(笑)。見てれば分かるけど、ちゃんと構えているし、タックルやられないようにとか、めちゃくちゃ考えてきて。インローとか、顔面ヒザとかめちゃくちゃ考えて用意してきた。でも、相撲で勝負されたら(笑)。でも、そのルールでやったんだから文句を言うなよって。言ってない、俺は。文句じゃない。何も失っていない。これでファイトマネーもらえるから、何でもいい。正直、ファイトマネーいいし。でなかったら、6日前のオファーなんて受けるわけがない。4週間後、中国で試合ありますし。無傷で終わったので、何も失うことがない。
一つ言えることがあるとしたら、場外に粉とか用意してほしかった。粉サイド、とりもちサイド、泥サイドがあって、落ちたら粉だらけとか。ドライアイスとかではなく、そういうのがいい!
でも力士と身体がぶつかると、無理無理。どんと押されたら吹っ飛ぶ。場外なしか、3回までじゃなくて10回までにしてほしい。10回あれば18秒に1回なので、それまでに蹴りを効かせる。
(駆け引きはあった?)
めちゃくちゃありました。KOを狙っていたし。でもうまかったのは、攻撃をもらわないように距離をあけているんです。土俵の立ち回りがうまいんですね。足使えば逃げられると思っていたけど、そこはうまかったですね。
1回目の転落はホントに気が付かずにヤベーと思いましたが、2回目は少しオーバーに転んでしまいました。会場が受けていたので、それで十分です。あれがエンタメだと。4週間後に向けて、オッケーです。
(蹴りが入らなかった)
もらわない作戦だったんでしょうね。リングだったら詰まるんですけどね。リングとかケージだったら、勝負論が出てきます。でも、勝った負けたとかなくないですか。
(ウキペディアには)
載るのかな。84戦やっているので85戦目になるんですかね。100戦を目指しているので、ウキペディアは戦績に入れてもらって1押し出しで!(押し出されでは?)ああ、そうか。1押し出されで!
(足を使ったら押し出されない自信があった?)
でも、スピードもあったんで場外に出してやろうという戦法で、こられたら無理じゃないですかね。コーナーを背負った戦い方では、リングがないから詰められたら無理だなと。100歩違って、相手の戦法が分かっていても勝てない。結果は同じ。何発かローキックは当たるかもしれないけど、押し出されます。まあ、受けたからいいや。
(タッグを組むのは?)それも、面白いね。
(マイティ・モーをKOした体格の小さいガオグライになろうとした?)
このルールだったら、ガオグライも押し出されていますよ。寄り切りで負けですね。ただただ面白かった。
大会概要
名称:能登半島地震チャリティ・イベント JAPAN MARTIAL ARTS EXPO PROLOGUE
主催:Japan Martial Arts Consortium
日時:2024年10月19日(土) 12:30開場 14:00開演
会場:横浜BUNTAI (〒231-0032 神奈川県横浜市中区不老町2丁目7番1)
内容:MMA、ボクシング、キックボクシング、QUINTET、巌流島等によるスーパーファイト
放送:U-NEXTで国内独占配信
チケット料金(税込み):アリーナ指定席 10,000円(税別)/入場料(自由席) 3,000円(税別)
チケット発売日:一般発売 2024年10月1日(火)~
チケット発売所:
e+(イープラス)
https://eplus.jp/jmaexpo/ (PC&スマートフォン)
チケットぴあ
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2454524