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巌流島発・漫才コンビ「ハトポッポ」M-1落選! ターザン山本、敗戦の弁、かく語りき

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10月13日(木)のブロマガ………「無念! ハトポッポ、M-1二回戦敗退!」

文◎ターザン山本(元『週刊プロレス』編集長)

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『M-1』2回戦、撃沈。見事、敗退。こんなはずじゃなかった?  2回戦ぐらいならという甘い読みはたしかにあった。1回戦を通ったのは、あれは愛嬌だったかも。ボブ・サップがキックのスペシャリスト、アーネスト・ホーストや総合のトップファイター、アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラにぶつかっていったようなものだ。

サッブはその期待に応えて好試合を展開。大きな評価を勝ち取ったが、私はサッブにはなれなかった。あちゃーだ。無謀と言えばあんな無謀なことはない。漫才に関しては完全な素人なのだ。無知にもほどがあるといわれても仕方がない。

反論の余地は全くない。

パートナーは吉本興業所属の芸人、タケトさん。今年、デビュー20年のキャリア。その記念のイベントが12月にある。彼とは『巌流島』のテレビ番組で知り合った。そこでタケトさんは私のことを「クソジジイ!」と何回も言った。それがなぜか私的には気に入って『M-1』に彼と出ようと勝手に決めた。なんとタケトさんは快くそれを了承してくれたのだ。コンビ名は私の思い付きでハトポッポに決定。誰もがそれ何と笑ったけどね。

『巌流島』所属の漫才コンビ誕生の瞬間だ。やったあ。私はどこまでおめでたい人間なんだよ。『巌流島』で仕事をしている柴田君がマネージャー的な立場で私をいろいろヘルプ、サポートしてくれた。おおおおおお、まさしくチーム『巌流島』だよ。

『巌流島』はかつてない異質な異種格闘技戦が売り物。ハトポッポの『M-1』出陣、挑戦はまさしく『巌流島』的な闘いだ。完璧なアウェイでの他流試合。打ち合わせ、会合、密会は新宿にある吉本興業でやった。ネタは全て私が考えた。漫才がなんであるのか何も知らないのにね。まるでマンガだよ。そのため私はもうやる前から勝った気分になっていた。妙にワクワクする。あるいはウキウキする。あれって今、思うとなんだったんだろう。ほかのことが手につかなくなった。読書も映画を見ることもね。

予選で落ちるのか?  それとも通るのか?  それが気になってどうしようもないのだ。さらに言うなら友人、仲間、親友がみんな注目する。もはやどこにも逃げ道はない。性格的に調子に乗りやすい私はそれさえ楽しんでいた。内心、俺の仕掛け、賭けは当たったなと。

だが実際の舞台は想像を超えていた。あれだけ頭の中で何回もネタのシミュレーションを繰り返しやっていたのに無駄だった。現場は怖い。それを痛感。2分の持
ち時間。タケトさんに全部、助けられた格好だ。1回戦を通る確率は半分と見ていた。からくも通過。正直ホッとした。

2回戦は浅草の5656会館。持ち時間は1分増えて3分。それより控え室に行ったら1回戦とはおよそ雰囲気が違った。メンバーのレベルが上がっている。しかし私のような部外者にもなぜか彼らは押し並べて好意的なのだ。壁には今日の出場コンビの名前がずらりと書かれていた。110を超えるコンビ。

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え?  昼の12時からやってるの?  私が会場入りを言われていたのは15時45分。その中から当選するのは16チーム?  昨日がそうだったんだ。ここで100近いコンビか振るい落とされる。その時点で私は2回戦突破はないと諦めた。通るわけないよ。有り得ない。友人が5人ぐらい私の応援に来てくれたが仕方ないよな。彼らはターザン山本に対する思い入れが強い。だがそれとこれは違う。場が違えば、その道のスペシャリストも素人になる。

出番が終わって控え室に帰って来るとあの東京ダイナマイトのハチミツジローさんが入って来た。東京ダイナマイトは1回戦はシード。だって去年は準優勝。この日もトリ。それなのにわざわざ私の舞台を見てくれたのだ。嬉しいやら恥ずかしいやら。私が照れているとジローさんは「ターザンさんは自分がやれると思ったことをやったんだから……」。なんて優しい人なんだよ。私はその言葉にシビれた。名言中の名言だ。救われた。ホント、救われたよ。

私が『M-1』に関わってきたことの意味をジローさんはひと言で言い切った。自分の中にあったモヤモヤが綺麗に一掃された。あのジローさんの言葉がなかったら私は自分をどうおさめていいのか悩んでいただろう。総括出来なかったかも。ジローさん、ありがとう。

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このあと応援してくれた友人、4人と浅草の中華料理店へ。彼らはそれでも合格への望みを捨てていなかった。19時30分頃、メールでハトポッポ、落選の知らせがあった。私はショックもなかったし落ち込みもしなかった。終戦。

たしかに無茶な挑戦だった。70歳を売り物にしたけどね。その挑戦したことで見えて来たことがある。漫才、芸人の人たちへのリスペクト。尊敬の念だ。それって私が挑戦しなかったら永久にわからなかったことでもある。ああ、そうか。何かを学ぶということはこういうことなのだ。挑戦、学ぶ、尊敬は三位一体だったのだ。それにしても私は無邪気だ。それがいいことなのか?  それともよくないことなのか?  『M-1』に限らず70にしてあらゆることに挑戦。そう自分に言い聞かせた。迷わず挑戦。やればわかるさ。

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