GANRYUJIMA BLOG巌流島ブログ

クールジャパンの申し子たちが共同創作した「リアル天下一武道会」

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11月1日(火)のブロマガ………お題「10.21 巌流島・全アジア武術選手権大会の感想」

文◎柴田和則(巌流島・事務局 海外選手ブッキング担当)

文◎柴田和則(巌流島・事務局 海外選手ブッキング担当)

 

素晴らしい大会となった「10.21 全アジア武術選手権」。今大会はコンセプトも出場メンバーもよく、大会当日に至るまで大きなトラブルもなく、良い流れを感じていました。そのため、好イベントになる予感はしていましたが、結果的にこちらの期待を上回る内容となり、観客と一緒に興奮しながら大会の模様を見守りました。

目に見えない空気感というものはバカにできず、有形無形の影響を及ぼすものです。そういう意味では、今回は空気が澄んでいました。大会コンセプトがよかったし、カンフートーア、ハンド・トゥ・ハンド、コシティ等の謎めいた武術の参戦があり、トーナメントの組み合わせもカチッとはまった。ミスター巌流島ことマーカス・レロ・アウレリオの参戦があり、喧嘩フットボールのベルギネリの再登場もあった。

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全外国人選手が滞りなく来日し、万全の気力で当日の闘技場に向かって行った。そうして、すべての正のエネルギーが、あの闘技場の上でぶつかりあいました。そのえもいわれぬ空気感は、客席やテレビ画面の先にも届いたはずです。

今回妙に気になる存在だったのが、謎の多い中東イランからやって来た謎だらけの武術カンフートーア。その王者であるアリは、MMAやプロの試合は未経験のいち武術家。そんな未知数の武術家が持てる技で武闘の原点的な攻防を繰り広げる姿は壮快でした。彼は年齢もまだ23歳と若く、伸び代はまだまだあります。

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閉じられてきた大国イランは今、徐々に開放に向かっていると聞きます。現地での格闘技のテレビ放送は、これまで禁止されてきたようですが、それも変わりつつあり、イランでの巌流島のテレビ放送に興味があるという声も届いています。地元の英雄的選手が世界規模の武術トーナメントで活躍する姿を見れば、イランの格闘技人気は爆発するかもしれません。期待に胸が躍ります。

今回、コシティの選手を招待したインドも、イラン同様にプロ格闘技ビジネスの未開拓地域です。人口13億の巨大市場は魅力的。日本発の巌流島がその市場に参入していくところを見てみたい。

巌流島がアニメ、ゲーム、サムライのように、日本発の「ガンリュージマ」として世界に広まっていくところを目撃したい。

アニメといえば、喧嘩フットボールのベルギネリが、なんと隠れジャパニーズ・アニメファンだったようで、巌流島のポスターを作成しているイラストレーターの須田正巳先生にコンタクトを取り、巌流島の会場で先生にプレゼントを渡していました。

イラストレーターの須田正巳先生と、イタリア喧嘩フットボールの英雄ベルギネリ

イラストレーターの須田正巳先生と、イタリア喧嘩フットボールの英雄ベルギネリ

 

ベルギネリは「北斗の拳」の大ファンとのことで、同作のイラストを担当していた須田先生と対面し、感激しきり。人気のアニメ作を手がけてきた須田先生はイタリアでも大人気で、現地のアニメイベントにゲストで招待されるほど。ベルギネリは、須田先生から直筆イラストのプレゼントを約束してもらったようで大喜びでした。

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ベルギネリは他にも「ガンダム」「あしたのジョー」「タイガーマスク」といったアニメがお気に入りとのこと。これはベルギネリがアニメオタクな変わり者だからということではなく、イタリアでは日本のアニメが大人気で、みんなが子供の頃からテレビでアニメを観て育っているためであって、ごく普通の反応なようです。

▼イタリア語版の「あしたのジョー」

我々が大人になっても北斗の拳やガンダムが好きなように、彼らもまた幼少期に日本アニメから得た影響が強烈な体験として心に残っているのです。つまり、我々は日本とヨーロッパで遠く離れながらも、同じものを観て育って、同じ価値観を共有しているわけです。日本産コンテンツの可能性は、我々日本人が思う以上に大きなものです。

また、今大会にはベルギネリの応援で、同じイタリア出身の競馬騎手ミルコ・デムーロ氏も駆けつけてくれました。

日本で活躍する名騎手ミルコ・デムーロ氏が、郷友ベルギネリの応援のため会場にかけつけた

日本で活躍する名騎手ミルコ・デムーロ氏が、郷友ベルギネリの応援のため会場にかけつけた

 

強力な応援団からパワーをもらって百人力となったベルギネリは、不利と思われたレロとの闘いを怒濤の勢いで制して勝利。前回大会の消化不良を吹き飛ばすイタリア男の本当の強さを見せつけて、トーナメント戦に劣らぬインパクトを残しました。

ちなみに敗れた対戦相手のレロもまた、ドラゴンボールなどの日本アニメを観て育ったといいます。すなわち、あの闘技場で繰り広げられた闘いは、クールジャパンの申し子たちが表現した「俺たちのリアル天下一武道会」だったといえるのです。

さらに、これら個性的なキャラクターが全世界から集まる中で、「武道エンターテインメント」の真髄たる闘いを見せつけ、大会を締めた菊野克紀選手と小見川道大選手がまた凄かった。

「武道」「日本産コンテンツ」「選手のアイデンティティ」。これらの魅力が渾然一体となって、巌流島の理想像の投写に成功したのが『10.21巌流島』でした。

2016年、この一年で大きく躍進した巌流島。今から2017年の展開が楽しみでなりません。