GANRYUJIMA BLOG巌流島ブログ

興行の中にいかに波を作れるか。起承転結の転と結をつないだ「レロvsベルギネリ」の名勝負

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今週のお題………「2016年 私が選ぶ巌流島ベストバウト」

文◎平直行(巌流島・審判長)

文◎平直行(巌流島・審判長)

 

今回のお題は「2016年 私が選ぶ巌流島ベストバウト」。これは難しい。選ぶのが難しいというよりも、前回大会の全アジア武術選手権大会2016決勝以外思い浮かばない。他の人も同じ試合を選んで書いたら…… そんなことを考えると難しいのだ。悩むと時間が止まる…… なので今回のブログには……が多い。(笑)。

 

菊野克紀選手と小見川道大選手の決勝戦は、今後の巌流島の可能性を感じさせる紛れもない名勝負だった。皆があの試合を書いたらどうするのですか?、谷川さん……。またしても……が出てくるのです。まぁ、皆さん文章のプロなので、その辺りは大丈夫なのでしょう……。

そんなことを思いながらウダウダしていたら、もう一試合思い浮かんできた。決勝戦前のセミの試合、マーカス・レロ・アウレリオVSミケ-レ・ベルギネリの試合。決勝に比べれば劣るが、こちらも間違いなく良い試合。決勝が良過ぎたのだ。カポエイラVSイタリアの喧嘩サッカーの試合は、対戦カード的には何だか分からない、まさに巌流島的な好カード。試合は案外まともな名勝負となった。お互いに正々堂々と持っている技を繰り出したフルタイムの名勝負。清々しいスポーツよりの武道エンターテインメントの好勝負により、会場を爽やかな空気が覆った。

これが次の決勝を引き立ててくれた。セミでカポエイラと喧嘩サッカーの見たこともないような技の攻防だらけだったら、決勝は少し色褪せたかもしれない。爽やかな闘志むき出しの試合。あの試合は意外な展開で、それが良い方向に進んだ名勝負。あの試合の後であの異次元のような「空手VS柔道」があったから、起承転結の転と結が綺麗に揃った。その結果、興行は素晴らしい締めくくりになったような気がする。

あの試合で2人は巌流島で認知された選手になった。認知された選手は、バックステージから花道に出て歩き出した瞬間に声援を浴びることができる。試合が始まる前に観客の注目を集められる選手がプロとして認知される。認知された選手には安心感がある。プロとして観客に安心感を抱かせることができる選手が多ければ興行は安定する。観客との信頼関係がある選手を多く抱える興行は、観客動員でアドバンテージを握ることができる。巌流島にはそういった選手が集まってきている。

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実は興行のマッチメークとは全試合に最高のカードを組むだけではなかなか成功しない。それで上手くいくのなら、お金があれば素人でも興行を組んで成功できる。興行とは流れであって、全部良いカードでは全部同じ流れなので、案外面白くない興行になる。しかも良い試合になると思ったカードが、いざ始まると意外とつまらない試合になったりするのが興行なのだ。

単純に強い選手同士をぶつけても興行として案外上手くいかない。興行とは流れであり、高くても低くても足りない。観客が観たいのは流れの中の波なのだ。大波が観たいのだ。流れとは起承転結であるから面白い、最高の試合を並べるだけでは上手く行かないのが興行の難しさと面白さだったりする。プロとは観客の予想を超える内容を見せられるからプロであり、興行も同じなのだ。えっ、こんなことがあるんだ!? そういった見たこともない試合や興行が見れるから、観客はわざわざ時間とお金をかけて会場にやって来てくれる。想像した通りだったら、何も時間とお金を使う必要はない。だからマッチメークの中にいかに波を作れるかに、興行を成功させる鍵がある。

良い意味で観客の期待を裏切る。裏切るのではなく、観客の想像と期待を超える。これがすべての興行とプロの仕事になる。観客が観たいカードを提供するだけではファンの延長でしかない。プロモーターとは、観客の想像と期待を超えるカードを提供できるから、プロモーターとして存在できる。

金曜8時の新日本プロレスが大ブームだった頃に、控え室にこんな話を伝えに来ていたと聞かせてもらったことがあります。「今日のお前の相手、やってくるぞ」と試合の前に伝えにくる。“やってくる”とはプロレスを超えた試合、いわゆるシュートを仕掛けてくるということ。それにより予定調和の試合に異常な緊張感が生まれて、何が起こるか分らない興行が生まれる。興行の中に誰にも予想できないような大波をわざと作り、興行をかき混ぜるのだ。

この話が本当なのかは分らない。でも、そういえば昔リングスに出場した時に、前田日明さんが試合前の控え室にやって来て、僕にこう言ったことがある。「あいつ、お前を殺すって言ってるぞ」って。ははは。瞬間的に絶対言ってないなと僕には分かりましたが、むしろ新日本プロレスの伝説って本当だったんだと感動しました。

いつのまにか興行論になりましたが……。おっと、また……が出てきました(笑)。私が選ぶ巌流島ベストバウトは、10.21武術トーナメント決勝戦に至る興行の流れだったような気がします。

1.3巌流島の大会チケット情報はコチラ⇒

『世界武術団体対抗戦 2017 in MAIHAMA 日本代表 vs 世界選抜』