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小見川選手の巴投げを見て、巌流島最大の特徴「転落」の面白さが分かってきた!

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11月8日(火)のブロマガ………お題「10.21 巌流島・全アジア武術選手権大会の感想」

文◎安西伸一(フリーライター)

文◎安西伸一(フリーライター)

 

大会当日、オープニングのアトラクション終了後、出演していた瀬戸信介選手とすれ違った。

今大会に出場しなかった理由は、前日まで中国に行っていたから。これはすでに以前から決まっていたスケジュールで、中国武術の型の大会に出場し、銀メダルを獲得したそうだ。瀬戸選手のような個性的な選手は、プロ格闘技界の宝の一人。今後の巌流島参戦が楽しみだ。

さて、巌流島には転落という、特異なルールがある。このゲーム性を帯びたルールがあるため、試合がどうなっていくか、なかなか先の展開が読めないのが、巌流島の特徴だ。

現代の総合格闘技では、UFCが始めた金網の中で闘うスタイルが代表的なものだが、金網があると両者スタンド状態の場合、片方がフェンスに押しつけられる状態になり、そこからもつれるように倒れるか、どちらかが投げるか、あるいは足を掛けて相手を転倒させ、フェンス下で密着状態になることが多い。そこからどうやって自分が有利なポジションを取るかが、判定勝ちを得るための一つの重量なポイントになるのだが、巌流島の場合、フェンスがないので、総合格闘技で培ったフェンス際の寝技の技術は、ほとんど役にたたない。

もちろん巌流島でも、寝技で下になった時、ただ殴られてじっとしているだけでは負けを取られるので、まったく寝技の技術が活かせないわけではないが、フェンス下の攻防には、ここでは書き尽くせないくらい、こまかな手足を使った攻防があるので、それと比較したら、ほとんど役にたたない…… と書いたまで。フェンス下の攻防が膠着としか見えず、つまらない……. と感じるとしたら、それは単に見る人が、両選手が何をしようとしているか、技術がわからないからだろう。

話がそれたが、巌流島のルールではこのあたりの、密着の中にある寝技の醍醐味は排除されている。そのかわり転落という、未知の面白さが提示されている。

最初、僕にはこの転落の面白さが理解できなかった。そもそも、ビルの屋上や崖の上や船の上など、落ちたら危ない所で喧嘩なんかするバカがいるのか、と思っていたし、ビルの屋上にだってフェンスぐらいあるだろう、落とす方が非現実的だと思っていた。

でも、落ちたら危ない場所で喧嘩がないとも限らない。崖っぷちで闘うという条件闘争も、それはそれで面白いんだ、と大会を見ているうちに気がついた。特に今大会では、小見川選手の巴投げで菊野選手が軽々と場外に吹っ飛んだシーンは、視覚的に見て超絶面白かった!

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奈落の底に、ふわりと投げられ落ちて行く菊野選手。こんなシーンはほかの格闘技ではまず、お目にかかれないだろう。

でも、菊野選手は崖から這い上がってきた‼ そして最後は小見川選手が敗れてしまう。あの劇的幕切れにはビックリしたなあ。

菊野選手の、相手選手との間合いの取り方にはシビレタ! 次回参戦もとっても楽しみだ。