GANRYUJIMA BLOG巌流島ブログ

何があったんだ!? 岩倉選手自ら「勝手に巌流島・沖縄決闘」を勝手にリポート!

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niconico動画の『巌流島チャンネル』でほぼ毎日更新していた「ブロマガ」が、オフィシャルサイトでパワーアップして帰ってきました。これまでの連載陣=谷川貞治、山田英司、ターザン山本、田中正志、山口日昇に加え、安西伸一、クマクマンボ、柴田和則、菊野克紀、平直行、大成敦、そして本当にたまに岩倉豪と、多種多様な方々に声をかけていく予定です。ぜひ、ご期待ください!

5月24日(火)のブロマガ………お題『巌流島・公開検証Final』に期待すること

文◎岩倉豪(小川柔術・格闘家)

文◎岩倉豪(小川柔術・格闘家)

 

3・25巌流島シーズン3が終わり、巌流島は世界の様々なジャンルの格闘技の強豪達を発掘し、巌流島ルールという前人未到の統一ルールで、新しいジャンルを切り開こうとしている。今までの格闘技とは大きく違うポイント、まずは転落。転落が武道においていかに危険かは、自分自身が試合中に雲海の演出広がる土俵下に転落した際に亜脱臼という怪我を負い、中国武術の試合場である擂台から「落ちたら負け」が、いかに危ないかという怖さを身をもって体験した。

次に、武道打撃を追及する巌流島ルール。立ち技に重きをいれている巌流島ルールに「関節技は必要か?」。 武道において「倒れた相手にパウンドでの追撃が必要か?」。これについては空手などで取り入れられている、倒れた相手に止めを示す「残心」について議論されています。そして自分が考えることは、これらの議論を踏まえて「巌流島公式の土俵以外で戦ったらどうなるか?」。倒れた相手へのパウンドでの追撃、関節技を「武道」の仮想シミュレーションばかりで展開すると、仮想ゆえの実証を得られず、議論が袋小路に陥りやすい。そうなると、結果の出ない絵空事となり巌流島の発展自体を妨げます。

そこで、前回の3.25巌流島に出場予定だった琉球空手の熊澤伸哉に決闘の挑戦状を出し、公式以外での様々な勝手な公開検証をすべく沖縄に向かい、実戦で確かめることにしました。

 – 勝手に巌流島・沖縄決闘 –

1(サムネ)

5月21日(土)、沖縄市「虎の穴ジム」にて私、岩倉豪と熊澤伸哉との私闘が行われた。熊澤伸哉は古くから知っている選手で、様々な格闘家をぶつけて闘ってきた選手。打撃、関節技ともに実力は十分把握している。

まず、この闘いは決闘といえどもスポーツとして行う。ジャケットで行うMMAは日本でもまだ確立されていない。ヨーロッパではコンバット柔術、ロシアではコンバットサンボなどがあるが、日本では特に打撃で道着をきて闘う統一ルールがない。日本には様々な空手流派が存在するが、流派の垣根を超えたルールがなく、他流試合ができない。今回の闘いは単に決闘をやるだけではなく、日本で道着を着た打撃格闘技を学んでいる人間が、同じ土俵で闘ったらどうなるかを検証するのにもいいと思った。それが私、岩倉のコンセプト。

熊澤選手との決闘は、ルールはあるけど全力で相手を潰す。ガチスパとは違う位置づけの闘いを、沖縄の言葉で「カキダミシ(技の掛け試し)」と言う。互いに強いと認め合った昔の沖縄の空手家達が、暗黙のルールでやる道場外の腕試しを「カキダミシ」と呼んでいた。

他流派であるが故のガチの決闘! 競技としての正々堂々とした決闘! その中で「空手の残心の構えが真に勝ちとなるのか?」 それを琉球空手に実証してもらう。私、岩倉は「関節技を琉球空手に仕掛けられるか?」もこの戦いで検証していく。

そして熊澤選手と自分のもう一つの目的、7月31日に公開検証が終わりルールが確立されれば、プロだけではなく、この先に「アマチュア巌流島」の始動も考えている。谷川貞治が行うのがプロ巌流島であるなら、日本のまだ見ぬ未来の強豪を育てるアマチュア巌流島もあってしかるべき。プロ、アマチュアのピラミッド体制が出来れば競技人口も増え、世間に認知される。必然的に大会規模も大きくなり、アマチュアから世間に認知されれば観客動員数も増え、エンターテイメントとしてプロの巌流島で闘うという夢が大きく広がると、勝手に思い込んでいる。

自分が考えるに、K-1が最盛期の時にアマチュアを組織的に確立し、アマチュアとプロで構成されたピラミッド型のスポーツ競技、エンターテイメントとして確立されていればもっと広がっていたと思うのだ。特に今の世間の空手道場は子供の時に習い、大人になれば辞めていくという流れなので、巌流島がアマチュア、プロで確立されれば流れを変えられると考える。

今回は公式がやらないコンセプト2つを検証に盛り込んだ。寝技1分間の関節技あり。そしてリングを使用。レフリーはパンクラスの元ライト級1位で、総合格闘技で名を馳せた花澤大介が行ってくれた。

いざ実戦!

闘いが始まり、熊澤選手の正面に向かい合うと踏み込んで打てない。前蹴りでスイッチしながら攻めるが、軸線をずらしながら入ってくる熊澤選手の攻撃に一瞬の踏み込みで蹴りの間合いを詰められ、右正拳突きを正面から入れられて倒れた。だが、そこから残心を残し寝技に持ち込まず、いつでも止めを刺せる状況で立ち止まる熊澤。空手を体現したような動きで止まる。ロープから転落し場外1。

レフリーに立ち上がるよう指示を与えられ、すぐさま立ち上がると、岩倉は長距離の蹴りの攻撃に切り替えるが、踏み込んだ熊澤の蹴りを受け「バキッ!」と音がして、3・25巌流島で折れた手をまた折ってしまう。そこで場外2。

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熊澤は立ち上がれと示唆し、レフリーも立ち上がるよう言う。これは「決闘ルール」だ。再び立ち上がる。ここから熊澤の容赦ない猛攻が再び襲う。琉球空手で鍛え上げられたパンチの猛攻で、岩倉をコーナーに追い詰め倒す。寝技を仕掛けようと岩倉が動くが、残心の姿勢をして、寝技への引き込みを空手の腰の強さで踏ん張り再び立ち上がる。まさに空手家の闘い。

最後は熊澤が突きで追い込み、ロープに持たれ倒れた岩倉に残心の姿勢から止めの一撃を入れ、場外に落とし転落3で勝利する。

私の完敗だ。圧倒的な琉球空手の強さだった。

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●試合後の熊澤選手

「岩倉選手、ありがとうございました。岩倉選手は純粋で熱い方です。試合後に『やわらぎ』の話をすることができました。武術の神様といわれた塩田剛三様のお言葉です。弟子が塩田様に『合気道で一番強い技はなんですか?』と尋ねたところ、こう答えたそうです。『自分を殺しにきた相手と友達になること』だと。その域に達するまであと何年かかるか… 俺の師は腰が低く、誰からも愛される人格者です。僕もその境地を目指します!」

●試合後の岩倉

「良い真剣勝負でした。熊澤選手は数年前に比べて進化していたので、琉球空手を学んで、これほど強くなったのかと驚きました。対戦後に池田先生から原理原則を教えてもらい、古流の奥深さに驚きました。熊澤選手は以前の国内で闘っていた時よりも格段に上達していて、海外でも十分通用するレベルになっていると思います。だが武道に終わりはありません。これからは良き強敵【友】として自分の弟子を鍛え上げ、熊澤選手に勝てるように頑張ります。死ぬその瞬間まで鍛練は続きます。お互い頑張りましょう!」

試合後に沖縄の空手の先生に「巌流島ルールをアマ化する意義ってありますか?」と聞かれた。私は答えました。

「MMAの頂点がUFC、新たな格闘技ビジネスを模索すると道着ルールは世界的なビジネスになります。巌流島をアマチュア化すると、現在各流派で散らばる空手の道場の一定の統一された闘う場所ができます。ブラジリアン柔術のように、世界規格の打撃を中心とした道着武道を巌流島で実現すれば、今まで統一に失敗してきた空手を競技ルールで統一できます。K-1の元チャンピオンが『自分のSNSのコミュニティに、同じ階級のキックボクシングのチャンピオンが10人もいる。これではキックボクシングは、世間が認知するスポーツにならない』と言っていました。日本のボクシングはここを20年かけて、統一に向けて頑張ってきた。空手などの道着系打撃を統一するのは夢があり、プロ化された道着格闘技は必要です。それに一番近いのが巌流島だと考えます」

その先生からは「なるほど。道着系の格闘技にプロの道が開けたと解釈しました。私と同じように巌流島ルールに疑問や戸惑いを感じているファンは多いと思います。これから巌流島に注目していきたいと思います」と面白そうに言っていただけました。

この試合の後、熊澤選手の師匠である。琉球空手の劉衛流・池田先生に空手の極意を習いに行きました。この話は次回のブロマガでお話ししたいと思い、今回はここで筆を置きたいと思います。

●勝手に巌流島・沖縄決闘「岩倉豪 vs 熊澤伸哉」の試合動画
→ https://www.youtube.com/watch?v=S0bSShzCa8o