GANRYUJIMA BLOG巌流島ブログ

「リアルファイトでさえ、制約のないシチュエーションはない!」 全く未経験のアマチュア武道家が見た巌流島

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

お題………賛否両論! 全日本武術選手権。刃牙の世界は実現できるか?

文◎KENGO(現代空手道研究会)

文◎KENGO(現代空手道研究会)

 

この度は巌流島・全日本武術選手権2018に出場させていただきまして、誠にありがとうございます。

出場された選手の皆様お疲れ様でした。

試合を観戦した島民(巌流島ファンの事をこう呼ぶそうです)達により賛否両論、様々な議論が沸騰しているようです。

論の中心は、優勝した奥田選手の勝ち方について。

奥田選手は巌流島のお約束である「相手選手を卑下する煽りは行わない」ことに関し、掟破りのパフォーマンスを行いました。

このこと自体は氏のホームグラウンドであるプロレスらしさの一部でもあるものだと思うので、私としては(奥田選手が行う分には)悪い印象はありません。

ただし、私としても1つ掟破りをして、

舞台裏から見たからこそ垣間見えたもう1つのストーリーを暴露したいと思います。

大会前日、記者会見の席上、

緊張感漂うものの、対戦相手をリスペクトする巌流島独特の清々しい雰囲気を引き裂くように、奥田選手がマイクに向かって吠えました。

「オレは昨日もシュートボクシングのリングに上がって来た。オレの対戦相手は立ってリングから降りられると思うな。遺書を書いて、家族にお別れをして来い!」

これで初戦対戦相手の禅丸選手はじめ出場選手は(パフォーマンスとは知りながら)「激しい打撃戦を挑んで来る」という、無意識の印象が形成されたと思います。

当日もパイプ椅子を蹴飛ばして倒すなど、ブルファイトのイメージを最大限、定着させる努力を怠りませんでした。

ちなみに自陣営の方が、舞台裏で事前にパイプ椅子を自分で物色する奥田選手を見かけて怪訝に思ったそうです。

そのような巧みな印象操作と、プロレスらしい派手な技(あのドロップキックは最高に美しかった…)を織り交ぜ、実に「クレバー」に、しかも覚悟を持って、

「タックルからの場外押し出し」で勝利を重ねる奥田選手に対し、複数の空手家を含む対戦選手達は、次々に場外へと屠られていったのです。

もうお分りかと思いますが、これは事前に綿密に計画され実行された戦略、戦術です。

これを実行するには

打撃をかい潜りタックルを決める技量と覚悟、

批判を受け入れ、勝ちを取りに行く覚悟、

今回出場したどの選手よりも、覚悟の上では奥田選手が優っていたと思います。

これぞ武術!

これぞ巌流島!

武蔵も小次郎も、今日は奥田選手に微笑まざるを得ないはずです。

試合後、控え室の廊下で

あんなに気丈に振る舞っていた奥田選手が、声を上げて男泣きに泣いていました。

最高にカッコいいよ、あんた……。

「リアルファイト」という言葉があります。

「実戦ではあんな技は使えない」

「グローブ前提のパンチはリアルでは不利」

「全ての制約を解除したリアルファイト」など…。

路上でも戦場でも「制約のないシチュエーション」などは存在しません。

サムネ

相手の人数。

自分の持っている武器、相手の使える武器。

地面は舗装か、ぬかるみか?

誰かが見ているか?

法的に社会的にどこまで認められるか?

守るものはあるか?

勝利条件をどう設定するか?

など、考慮すべき制約は、いわゆるストリートのほうがずっと多いのが普通です。

場合によっては声の大きさや木登りの下手さが、勝利要因になることだってあるのです。

「リアルファイトなんてない」

のではなく

「全ての闘いはリアルファイト」

なのだと知るべきです。

空手家、プロレスラー、合気道家、サラリーマン、OL、主婦、学生、満員電車、それぞれの立場のリアルファイト、刃牙の世界があるだけです。

ほら、あなたの足元にも。

その意味からも奥田選手の闘いは間違いなく、

リアルファイトであり、

巌流島であり、

子供に見せたい闘いであり、

刃牙の世界であったと感じます。

今大会に対する議論や反省点を踏まえ、巌流島運営はルールの改定や調整を検討しているかもしれません。

ですが、そんなに大きなメンテナンスは必要ないかも知れません。

何故なら、巌流島出場選手達が今回の対策を打たない事などあり得ないからです。

私の案は

「試合分数に合わせ、5分の試合なら押し出し5本で一本勝ち」で丁度バランスが良いかと思います。

最後になりましたが

お相手くださいました

草MAX選手

クンタップ選手

には多くの事を教えていただきました。

応援にいらしていただいた諸先生方、先輩方、武友、幼馴染、会場にいらした観客の皆様の応援と、ご支援のお陰で今回のような挑戦と得がたい経験をさせていただきました。

谷川プロデューサーはじめ大会運営の皆様方も短い期間に会場を満員にするなど、ご苦労も多かった事と存じます。

この度の参戦に際し出稽古をお許しくださり、また、ご指導、アドバイスをくださった岩間先生、小用先生、植村先生、遠山先生、高久先生、山城先生、大関先生、寺島先生、吉田先生、杉本先生、蔵岡先生、加藤さん、塩浜さん、…

先生方の教えが闘技場で私を守ってくれました。

たくさんの教えを入れる事の出来る器を育んでいただいております、現空研会長 園田先生と奥様、私の家族……。

道場や出稽古にてご一緒させていただいた皆様、

当日セコンドについてくださった森川さん、横関さん

皆様の力を沢山お借りして闘うことが出来ました。

(リアル元気玉)

皆様へ言葉では伝え切れないくらい、感謝しております。

ありがとうございます。

愛する人を守るために。

現代空手道研究会
KENGO

 

9.17巌流島のレポートはコチラ⇒『全日本武術選手権 in MAIHAMA』